ハードル・レートの値は、取締役会が株主と相談して決める社内のパラメータで、外から見えないことがあります。近い代わりの値は、銀行が示す自己資本利益率(ROE)の目標で、Green らの論文は数値例で 10% を使っています1。Green らの論文は、資本コストを、株主が派生商品の取引に資本を投じる判断に応じて、規制資本に対して支払う収益率としています。このサイトでは、KVA で規制資本に掛ける率(Green らと斎藤の論文でいう資本コスト)を、ハードル・レートと呼びます。
規制資本 1 億円を使う取引にハードル・レート 10% を使う架空の例で考えます。1 年に 1,000 万円が資本のコストで、収益がこれを下回れば、基準を満たしません。ハードル・レートを 12% にすれば基準は 1,200 万円に上がります。
2017 年の日本銀行金融研究所の論文の時点で、KVA を取引の価格に入れない金融機関も、KVA を取引の採算の基準(ハードル・レート)として使っていました2。