所要資本は、取引相手のデフォルトへの資本、CVA 資本、レバレッジ比率の資本などで、将来の時価をシミュレーションして各時点の額を見積もります。この資本の時間変化が資本のプロファイルで、KVA はプロファイルにハードル・レートを掛けて足し合わせた額です1。

ある取引に必要な規制資本が 1 年間 1 億円で、ハードル・レートが 10% の架空の例で考えます。その 1 年の資本のコストは 1,000 万円です。資本が減っていく取引では、資本の額に応じてコストも減ります。

KVA を取引の価格に入れるかについて、2017 年の日本銀行金融研究所の論文の時点で市場の合意はなく、価格に入れない金融機関も、取引の採算の基準として KVA を使っていました1。CVA を適格ヘッジで減らすと CVA 資本が減って KVA も減るため、CVA と KVA を重ねて価格に入れると二重計上になりえます。

注

  1. 斎藤祐一「金融規制の複合的影響を考慮したXVA」(日本銀行金融研究所『金融研究』2017 年 4 月)の 1 節(113〜114 ページ)と 5 節(3)(130 ページ)。Green ほか "KVA: Capital Valuation Adjustment"(arXiv:1405.0515v3)の 3.1 節(10 ページ)は、資本コストを規制資本に対して株主へ支払う収益率としています。 ↩ ↩2