デジタル・オプションでは、満期の受け取りが行使価格の上下で飛ぶため、満期が近づくと、行使価格の近くでデルタが限りなく大きくなります。デルタに合わせて原資産を持つヘッジは、価格が行使価格をまたぐたびに、大きな数量の売買を求めます1。

行使価格 100 円で、満期に価格が 100 円を超えれば 1 単位あたり 10 円を払うデジタル・コールを売る架空の例で考えます。満期の 1 日前(1/250 年)に価格が 100 円で、金利 1%、ボラティリティ 20% なら、デルタは 3.15 です。ヘッジの原資産は 1 単位の売りにつき 3.15 単位、金額で約 315 円で、払う額の最大 10 円の 30 倍を超えます。満期に 100 円を超えていれば 10 円を払い、超えていなければ払いません。

注

  1. Alison Etheridge "A Course in Financial Calculus"(Cambridge University Press、2002 年)の第 6 章 6.1 節 Example 6.1.1(140〜141 ページ)。小さな価格の動きによるリスクと売買の費用が、売ったデジタルの最大の負債を上回りうることを書き、"pin risk" と呼んでいます。 ↩