公益事業の会社のように物価に連動する資産や収入を持つ事業者が、インフレ・スワップを使って物価の動きに備えます。実際に使うときの立場と目的の組はどれですか。
理解度チェック: インフレ・デリバティブ
最終確認日: 2026年9月25日
下書きです。公開前の確認のために表示しています。
「インフレ・デリバティブ」の章の内容を確かめる 5 問の問題です。選択肢を選んで「回答する」を押すと、正解と解説が出ます。「正解と解説」を開いて、先に答えを見ることもできます。
問 1
正解と解説
正解: D
物価に連動する収入を持つ事業者は、物価に連動する側を払い、固定の率による金額を受け取ります。備えるのは、物価が上がらなかったときの収入の不足です。物価が上がらなかったときは収入の増加が小さくなりますが、スワップで差額を受け取るので、収入の不足を補えます。物価が大きく上がったときは収入が増えますが、その増加はスワップの支払いで打ち消されます。
物価に連動する側を受け取り、物価が上がったときに備えるのは、物価に連動した支払いの義務を負う年金基金や保険会社です。備えるのは、物価が上がったときの支払いの負担の増加です。物価に連動する側を払う立場では、物価が上がるとスワップの支払いが増えるので、物価が上がったときには備えられません。物価に連動する側を受け取る立場では、期間の平均の物価の上昇率が固定の率を下回ると差額を払うので、物価が上がらなかったときには備えられません。
詳しくは: インフレ・スワップ
問 2
架空の例として、ある投資家が、2013 年度以降に発行した日本の物価連動国債を、額面で 50 億円分持っています。表面利率は年 0.2% で、利子は年 2 回、半年分ずつ受け取ります。償還時の連動係数が 0.96 だったとき、償還の額と最後の利子の組はどれですか。
正解と解説
正解: A
償還の額は 50 億円、最後の利子は 480 万円です。2013 年度以降に発行した物価連動国債には元本保証(フロア)があり、償還時の連動係数が 1 を下回ると、想定元金額ではなく額面で償還します。元本保証は償還の元本にだけ付き、利子には付きません。最後の利子は、連動係数 0.96 で求めた想定元金額 50 億円 × 0.96 = 48 億円をもとにします。その額は 48 億円 × 0.2% × 1/2 = 480 万円です。
最後の利子を 500 万円とする 2 つの選択肢は、利子にも元本保証が付くと考えた値です。償還の額を 48 億円とする 2 つの選択肢は、元本保証のない 2008 年度までの銘柄(旧型)の償還の額です。
仮に償還時の連動係数が 1.05 に上がっていたとします。想定元金額は 52.5 億円で、償還の額も 52.5 億円です。最後の利子は 52.5 億円 × 0.2% × 1/2 = 525 万円です。
詳しくは: 物価連動国債と BEI
問 3
架空の例として、年限 10 年の物価連動国債のブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は 1.0%、同じ年限の名目金利は 1.5% で、価格は今の想定元金額 100 円あたり 95.18 円です。利子を無視し、満期まで BEI と同じ率で物価が上がると見込みます。次のうち、この物価連動国債の価格が下がるのはどの動きですか。
正解と解説
正解: B
価格が下がるのは、名目金利だけが上がる動きです。この価格は、BEI の率で満期まで増やした元本を、名目金利で割り引いた値です。名目金利だけが 50bp 上がって 2.0% になると、割り引く率が上がるので、価格は 90.62 円に下がります。
BEI だけが 50bp 上がって 1.5% になると、満期に見込む元本が増えるので、価格は 100.00 円に上がります。名目金利だけが下がると、割り引く率が下がるので、価格は上がります。BEI と名目金利がともに 50bp 上がると、2 つの効果がほぼ打ち消し合い、価格は 95.20 円でほとんど変わりません。物価連動国債を持つ投資家は、BEI が上がると得をし、BEI が下がるか名目金利が上がると損をします。
詳しくは: 物価連動国債と BEI
問 4
2013 年 5 月のニューヨーク連邦準備銀行の資料が示した、米国のインフレ・スワップで受け払いの額を決める物価の上昇率の期間はどれですか。
正解と解説
正解: C
米国の取引では、開始日の 3 か月前から満期の日の 3 か月前までの物価の上昇率で受け払いを決めます。物価指数はその月が終わってから公表され、米国の消費者物価指数(CPI)も、ある月の値は翌月の半ばまで分かりません。そのため、取引の開始日や満期の日の物価ではなく、それより前の月の指数を使います。この遅れを、参照の遅れ(ラグ)といいます。
開始日から満期の日までとする選択肢は、公表の遅れを考えていません。満期の日の物価はその日にはまだ分からないため、満期に受け払いの額を決められません。期間の片方の端だけを 3 か月ずらす 2 つの選択肢は、比べる 2 つの指数の時点がそろっていません。開始と満期の両方を同じ 3 か月だけずらします。
詳しくは: インフレ・スワップ
問 5
架空の例として、ある事業会社が、想定元本 50 億円、期間 2 年、ストライクが年 2% の、満期に 1 回受け取る形(ゼロクーポン型)のインフレ・キャップを買います。開始時の物価指数は 100 で、2 年後の満期に参照する指数は 110 でした。プレミアムを考えないとき、満期の受け取りはいくらですか。
正解と解説
正解: B
満期の受け取りは 2 億 9,800 万円です。この形のキャップでは、想定元本に「指数の変化の比と、ストライクを複利にした値の差(正の分)」を掛けます。複利にしたストライクは 1.02 × 1.02 = 1.0404、指数の変化の比は 110 ÷ 100 = 1.10 です。差は 1.10 − 1.0404 = 0.0596 なので、50 億円 × 0.0596 = 2 億 9,800 万円です。
5 億円は、指数の上昇率 10% にストライクを反映せず、50 億円 × 10% とした値です。3 億円は、ストライクを複利にせず、2% × 2 年 = 4% として 50 億円 × (10% − 4%) とした値です。2 億 200 万円は、複利にしたストライクの分 50 億円 × 0.0404 だけを計算した値で、指数の変化とは関係がありません。
仮に満期の指数が 103 までしか上がらなかったとします。比は 1.03 で、1.0404 に届かないので、受け取りはなく、買い手の負担はプレミアムだけです。
詳しくは: インフレ・キャップとフロア