架空の例として、ある銀行の担当者が、顧客と結んだデリバティブの取引の売買の向きを、社内のシステムに誤って逆に入力しました。誤りに気づかないまま損失が出ました。この損失は、自己資本比率の告示が示すオペレーショナル・リスクの損失事象の 7 つの種類のうち、どれに当たりますか。
理解度チェック: オペレーショナル・リスク
最終確認日: 2026年10月5日
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「オペレーショナル・リスク」の章の内容を確かめる 6 問の問題です。選択肢を選んで「回答する」を押すと、正解と解説が出ます。「正解と解説」を開いて、先に答えを見ることもできます。
問 1
正解と解説
正解: C
約定の入力の誤りは、取引処理の失敗として「注文等の執行、送達及びプロセスの管理」に入ります。告示はこの種類を、取引相手や仕入先との関係から生じる損失と、取引処理やプロセス管理の失敗による損失としています。デリバティブの業務では、約定の入力、取引確認書(コンファメーション)の照合、決済といった取引処理の失敗がここに入ります。
「内部の不正」は、詐欺や横領、規制や法令や内規の回避を意図した行為による損失で、役職員が 1 人以上関わるものです。役職員が関わっていても、誤って入力しただけで、回避を意図した行為ではないため当たりません。
「事業活動の中断及びシステム障害」は、システムが止まったり処理を誤ったりして生じる損失です。この例では、システムは入力されたとおりに記録しており、誤りは人の入力にあります。「顧客、商品及び取引慣行」は、特定の顧客への過失による義務違反(適合性など)や、商品の性質や設計から生じる損失です。相手が顧客でも、入力の誤りはこれに当たりません。
詳しくは: デリバティブ取引のオペレーショナル・リスク
問 2
銀行がオペレーショナル・リスク相当額を標準的計測手法で計算するときの説明として、誤っているものはどれですか。
正解と解説
正解: B
BI が 1,000 億円以下の銀行は、ILM に 1 を使うことができます。そうした銀行が損失データの基準を満たさない場合は、1 を使います。損失の実績から計算することが必ず求められるわけではないので、1 を使えないという説明は誤りです。
標準的計測手法では、事業の規模を表す指標(BI)から求める事業規模要素(BIC)に、過去の損失の実績を反映する内部損失乗数(ILM)を掛けて、オペレーショナル・リスク相当額を求めます。ILM を損失の実績から計算する銀行では、事業規模に比べて損失が多いほど額が大きくなります。
標準的計測手法はバーゼル III 最終化で導入され、あわせてオペレーショナル・リスクの内部モデル手法は廃止されました。内部モデルで計算する方法は使えません。
詳しくは: デリバティブ取引のオペレーショナル・リスク
問 3
架空の例として、銀行が顧客と、3 か月後に 200 万ドルを 1 ドル 150 円で売る為替予約を結びました。担当者はこの取引を買いとして逆に入力し、銀行は記録上の買いを打ち消すつもりで、同じ日に同じ条件の売りを市場で結びました。誤りに気づかないまま決済の日を迎え、相場が 1 ドル 152 円だったとき、銀行の実際の持ち高から出る損益はどれですか。
正解と解説
正解: C
実際の持ち高から出る損益は 800 万円の損です。顧客との取引は実際には 200 万ドルの売りで、市場で結んだ取引も 200 万ドルの売りです。実際の持ち高は、合わせて 400 万ドルの売りになります。決済の日の相場は、約束した 1 ドル 150 円より 2 円高くなっています。ドルを 2 円安く売ることになるので、損は 2 円 × 400 万ドル = 800 万円です。
0 円は、記録上の持ち高から出る損益です。記録では 200 万ドルの買いを 200 万ドルの売りで打ち消し、持ち高は 0 に見えます。実際の持ち高とは 400 万ドルずれており、誤りに気づくまで、この持ち高はリスクの管理の外に置かれます。400 万円の損は、2 つの売りのうち 1 つの 200 万ドルだけを数えた値です(2 円 × 200 万ドル)。800 万円の得は、相場が上がったときの向きを取り違えた値です。
どちらになるかは相場の動きしだいです。決済の日の相場が 1 ドル 148 円なら、ドルを 2 円高く売れるので、2 円 × 400 万ドル = 800 万円の得になります。
詳しくは: 約定の入力ミスと確認書の不一致
問 4
架空の例として、ある銀行のトレーダーが、相手と結んだ取引を社内のシステムに入力せず、確認書を自分で相手に送って控えを捨て、相手からの確認書も本人が受け取るようにして、会社が知らない持ち高を作りました。この銀行の確認書の事務は、社内のシステムに記録された取引をもとに進めています。この不正を見つけられる統制はどれですか。
正解と解説
正解: A
相手からの確認書を、取引をした部署から独立した部署が受け取って確かめれば、この不正はすぐに見つかります。相手からの確認書は、この取引が社内のシステムになくても相手から届きます。独立した部署は、自社の記録と合わない確認書や、自社の記録にない取引の確認書を、相手に知らせて確かめます。
バックが確認書を送る統制と、確認できていない取引の数を上級管理職が受け取る統制も、確認書に関わります。ただし、問題文の条件では、この銀行の確認書の事務は、社内のシステムに記録された取引をもとに進めています。この取引はシステムに入力されていないので、バックが確認書を送る対象にならず、確認できていない取引の数にも入りません。どちらの統制でも、この取引は出てきません。
詳しくは: 約定の入力ミスと確認書の不一致
問 5
1995 年に破綻した英国のベアリングスの不正取引の事件で、シンガポールの子会社のトレーダーが損失の出た取引を隠すのに使った方法はどれですか。
正解と解説
問 6
架空の例として、決済日に取引相手へ 100 億円を払う予定だった会社が、事務の誤りで支払いが 2 日遅れ、決済の不履行になりました。相手は代わりの資金を 2 日間、年 1.8% で借りました(1 年を 360 日として計算)。グローバル外為行動規範は、予定の日に払えなかった側に、何を求めていますか。
正解と解説
正解: D
行動規範は、決済の不履行を見つけたとき、予定の日に払えなかった側に、正しい額が届くよう手配するか、補償の費用を払うことを求めています。相手の費用は、100 億円 × 0.018 × 2 ÷ 360 = 100 万円です(100 億円 × 0.018 = 1.8 億円で、2 日分は 1.8 億円 × 2 ÷ 360 = 0.01 億円)。決済の不履行は、取引相手の破綻に限らず、事務の誤りでも起きます。
取引相手が破綻したときに限る、という読み方は、事務の誤りが原因の遅れを外してしまうため、違います。1.8 億円は、年 1.8% を 2 日分に直さず、1 年分の利息を数えた値です。100 万円を自社の費用として負担するのは、遅れたのが取引相手のときの立場です。その場合は、会社が 100 万円を余分に負担し、補償を求める側になります。同じ遅れが、誰が誤ったかで、費用の負担にも補償の請求にもなります。
詳しくは: 決済の失敗と取引報告の誤り