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デリバティブ・コンパス

理解度チェック: ブッキングモデル

最終確認日: 2026年10月2日

下書きです。公開前の確認のために表示しています。

「ブッキングモデル」の章の内容を確かめる 5 問の問題です。選択肢を選んで「回答する」を押すと、正解と解説が出ます。「正解と解説」を開いて、先に答えを見ることもできます。

  1. 問 1

    複数の法人を持つ金融機関のグループが、顧客と取引を結びました。このグループの取引の扱いで、「ブッキング」は何を決めることを指しますか。

    正解と解説

    正解: B

    ブッキングは、取引をグループのどの法人の帳簿に載せるかを決めることです。帳簿に載せる法人をブッキング法人といい、顧客と営業をする営業法人と同じ法人のこともあれば、別の法人になることもありえます。

    約定した取引をシステムに記録する約定の入力とは別の意味です。ブッキングで決まるのは、取引を載せる法人であり、システムへの入力の作業や、担保の管理と確認書の照合を受け持つ部署ではありません。

    詳しくは: どの法人で取引を記帳するか

  2. 問 2

    架空の例として、ある顧客と金融機関のグループが 2 つの取引を結んでいます。グループから見た時価は取引 1 が +10 億円、取引 2 が −8 億円です(プラスは受け取る側)。担保は考えず、一括清算は有効とします。顧客が破綻したとき、グループが失いうる額は、同じ法人で基本契約書が 1 つの場合と、別々の法人で基本契約書も別の場合とで、どうなりますか。

    正解と解説

    正解: C

    同じ法人と結んで基本契約書が 1 つなら、一括清算で 2 つの取引の評価額を合算し、1 つの債権か債務にします。+10 億円と −8 億円を差し引くと +2 億円で、グループが失いうる額は 2 億円です。別々の法人と結んで基本契約書が別なら、+10 億円と −8 億円は差し引けず、受け取る側の取引の 10 億円が失いうる額になります。

    時価が逆に動き、取引 1 が −10 億円、取引 2 が +8 億円になった場合も見ます。同じ法人の場合は、差し引くと −2 億円で、グループは払う側なので、失いうる額は 0 円です。別々の法人の場合は、受け取る側の取引の 8 億円が失いうる額です。どちらの向きでも、別々の法人と結ぶほうが失いうる額は大きくなります。ただし、複数の法人との取引を 1 つの基本契約書で差し引けるようにした契約もあるため、実際の額は契約と法的な確認で決まります。

    詳しくは: どの法人で取引を記帳するか

  3. 問 3

    架空の例として、顧客が営業法人と、想定元本 100 億円の金利スワップを結び、固定金利 1% を払って変動金利を受け取ります。営業法人とは、顧客と営業をする法人です。営業法人は、条件が同じで向きが逆の取引を、取引を帳簿に載せるブッキング法人と結びました。1 年の変動金利の平均が 1.5% のとき、受け払いを差し引いた額は、手数料と日数計算を除き、営業法人とブッキング法人でどうなりますか。

    正解と解説

    正解: A

    2 つの取引の想定元本、期間、固定金利などの条件が同じなので、営業法人の受け払いは打ち消し合い、差し引きは 0 円です。顧客の事業会社の得と損が、向きを変えてブッキング法人に現れます。ブッキング法人は、営業法人から固定金利 1 億円(100 億円 × 1%)を受け取り、変動金利 1.5 億円(100 億円 × 1.5%)を払うので、差し引き 0.5 億円の損です。このとき、顧客の事業会社は 0.5 億円の得です。

    変動金利が 0.5% だったときは、向きが逆になります。ブッキング法人は固定金利 1 億円を受け取り、変動金利 0.5 億円を払うので、0.5 億円の得です。顧客の事業会社は 0.5 億円の損で、営業法人はこのときも 0 円です。営業法人に差が残るのは、2 つの取引の条件が違うときです。たとえば営業法人がブッキング法人に払う固定金利が 1.1% なら、1 年に 0.1 億円が営業法人の負担になります。

    顧客と取引した法人が、同じ条件で向きが逆の取引をグループ内の別の法人と結び、顧客との取引の市場リスクにあたる部分(受け払いの変動)をその法人に移す取引を、グループ内のバック・トゥ・バック取引といいます。

    詳しくは: グループ内のバック・トゥ・バック取引

  4. 問 4

    金融安定理事会(FSB)の Key Attributes(主要な特性。2024 年の改訂版)は、破綻処理で当局が事業の移転を行う場面について、どのようなことを求めていますか。

    正解と解説

    正解: B

    主要な特性は、事業の移転で、選んだ資産、負債、権利義務を、健全な第三者か新設のブリッジ・バンクに移せるようにすることを求めています。そのうえで、移転の有効に債権者などの同意を求めず、移転自体を契約上の債務不履行や解約事由としないよう求めています。

    移す対象は資産に限られません。手法は単独でも組み合わせても、順に使ってもよく、事業の部分ごとに別の手法を当てられることも求めています。公的な所有や救済のための基金には頼らずに処理できるよう、法令などの方針を持つことを求めています。処理のために一時的に出した資金の損失は、株主と無担保の債権者から回収する備えを置くよう求めています。

    詳しくは: 再建・破綻処理の計画

  5. 問 5

    架空の例として、米国の規則の下で、大手銀行グループの子会社 J 社が、持株会社の保証する店頭デリバティブを取引先と結んでいます。持株会社が破綻処理の手続に入った時点で J 社の払う純額は 10 億円で、取引先は持株会社の破綻を理由とする解約権を、一時停止の期間の後に行使できます。期間の後に解約したときの純額が 8 億円なら、手数料を除き、取引先の請求額はどうなりますか。

    正解と解説

    正解: D

    早期解約の一時停止(ステイ)は、解約する権利を短い期間、使えなくする措置で、契約をなくすものでも、評価額を止めるものでもありません。止まっている間も、取引の評価額は市場で動くので、請求額は期間の後に解約するときの純額の 8 億円です。10 億円は評価額が手続の開始時の額に固定されるとみる誤り、0 円は契約が消滅するとみる誤り、2 億円は開始時の額との差だけを請求するとみる誤りです。

    手続の開始時の 10 億円より請求額は 2 億円減るので、取引先の損で、J 社の得です。解約するときの純額が 12 億円なら、請求額は増え、取引先の得で、J 社の損です。

    詳しくは: 早期解約の一時停止(ステイ)プロトコル