ブラック・モデルでは、ボラティリティは定数です。確率的ボラティリティのモデルは、ボラティリティ自身に別のブラウン運動を持たせます。SABR モデルでは、原資産の動きとの相関 ρ\rho を置きます。市場には落ち着いた時期と荒れた時期があり、ボラティリティが一定でないことを反映した考え方です1。

財務省の資料は、ボラティリティ・スマイルを表すための拡張として、ボラティリティを原資産の価格などの関数にする、ボラティリティに確率構造を入れる、ジャンプの項を足す、の 3 つを挙げています。確率的ボラティリティは、2 つ目にあたります2。債券市場の実務ではボラティリティを確率的でない変数とするのが通常で、SABR モデルは確率的ボラティリティが実務で使われている一例です2。

ボラティリティの動かし方はモデルごとに違います。SABR モデルでは、ボラティリティが平均回帰しない形(dαt=ναt dWtd\alpha_t = \nu \alpha_t \, dW_t)で動きます。パラメータの意味はモデルごとに違うため、ほかのモデルの値とは直接比べません。

注

  1. Hagan, Kumar, Lesniewski, Woodward, "Managing Smile Risk"(Wilmott magazine, 2002)の 1 節(印刷ページ 84。ブラックのモデルでは理論上ボラティリティは定数)と 2.3 節(印刷ページ 88。ボラティリティをランダムな関数とする理由として、落ち着いた時期と荒れた時期があることを挙げている)。 ↩

  2. 服部孝洋「スワップション入門(モデル編)」(「ファイナンス」2021 年 10 月号)の 4.2 節(印刷ページ 62)。 ↩ ↩2