資金流動性リスクに当たるのは、次のうちどれですか。
理解度チェック: 流動性・資金調達のリスク
最終確認日: 2026年10月15日
下書きです。公開前の確認のために表示しています。
「流動性・資金調達のリスク」の章の内容を確かめる 5 問の問題です。選択肢を選んで「回答する」を押すと、正解と解説が出ます。「正解と解説」を開いて、先に答えを見ることもできます。
問 1
正解と解説
正解: B
資金流動性リスクは、日々の業務や財務の状態を損なわずには、予定した支払いや予定していない支払いに応じたり、求められた担保を用意したりできなくなるリスクです。デリバティブでは、時価の動きに応じて求められる追加の担保が、その原因の 1 つになります。
市場の厚みが足りなかったり市場がうまく働かなかったりして、ポジションを市場の価格で売ったり打ち消したりしにくくなるリスクは、市場流動性リスクといい、資金流動性リスクと区別します。取引相手が破綻して時価のプラスの分を受け取れなくなるのは、取引相手の信用リスクです。証拠金の仕組みはこのリスクを抑えるうえで重要ですが、レバレッジをかけた参加者の流動性のリスクを高める面もあります。
詳しくは: 変動証拠金と当初証拠金の資金負担
問 2
架空の例として、銀行が事業会社と金利スワップを結び、同じ想定元本の反対の取引をヘッジ先の銀行と結んでヘッジしています。その銀行とはクレジット・サポート・アネックス(CSA)で変動証拠金を毎日全額受け渡し、互いに当初証拠金 2 億円を差し入れます。事業会社との取引の時価は銀行から見て 5 億円のプラスで、受け取った現金の担保は 1 億円です。銀行が調達している資金の残高は、合わせていくらですか。
正解と解説
正解: C
銀行が調達している資金は 6 億円です。2 つの取引は同じ想定元本の反対の取引で、時価は銀行から見て同じ大きさで向きが逆なので、ヘッジ先の銀行との取引の時価は 5 億円のマイナスです。銀行はヘッジ先の銀行に変動証拠金 5 億円を払っています。事業会社との取引の時価のプラスのうち、担保として受け取っていない分は現金になりません。変動証拠金のために調達する資金 は、事業会社との取引の時価 と、事業会社から受け取っている担保の額 から、 で求めます。 億円です。証拠金規制では、受け取った当初証拠金は信託などで管理し、担保に出したり貸したりできません。差し入れる当初証拠金 2 億円は別に用意するので、合わせて 4 + 2 = 6 億円です。
7 億円は、事業会社から受け取っている担保 1 億円を差し引かずに、 を 5 億円とした値です。4 億円は、ヘッジ先の銀行から受け取った当初証拠金 2 億円を、差し入れる当初証拠金に回せると考えた値です(4 + 2 − 2)。2 億円は、事業会社との取引の時価のプラスで変動証拠金の支払いを賄えると考え、当初証拠金だけを数えた値です。
金利が逆に動き、事業会社との取引の時価が銀行から見て 2 億円のマイナスになり、事業会社から受け取っている担保が 0 だとすると、 です。このとき銀行はヘッジ先の銀行から変動証拠金を受け取り、CSA で受け取った変動証拠金を再び使えるなら、その現金を資金繰りに使えます。当初証拠金の 2 億円は、この場合も用意します。
詳しくは: 変動証拠金と当初証拠金の資金負担
問 3
2026 年 9 月時点の日本証券クリアリング機構(JSCC)の業務方法書では、金利スワップ取引の清算で、変動証拠金の所要額を計算します。円建ての取引で払う側になった清算参加者は、何で、いつまでに預託しますか。
正解と解説
正解: B
変動証拠金は円の現金で、計算した日の翌営業日の 11 時までに預託します。清算機関の JSCC は、清算中の取引の正味現在価値の前営業日からの変動に応じて変動証拠金の所要額を計算し、変動証拠金は取引の通貨の現金で受け払いします。円建ての取引では、払う側の清算参加者が翌営業日の 11 時までに預託し、JSCC は受け取る側に 13 時 30 分以降遅滞なく払います。
計算した日の 15 時 30 分は、当初証拠金の一部である日中証拠金の所要額に、預託している当初証拠金が足りないときに、不足額を預託する時限です。日中証拠金は日本国債でも預託できますが、変動証拠金は取引の通貨の現金でしか払えません。そのため、日本国債を持っていても、変動証拠金を払うには円の現金が要ります。反対に、時価が清算参加者に有利に動いて受け取る側になれば、JSCC から変動証拠金を現金で受け取ります。
詳しくは: マージンコールへの対応
問 4
架空の例として、ある会社が、必要な担保の価値 98 億円を、手持ちの国債で差し入れます。この国債のヘアカットは 2% です。会社は、この国債を差し入れなければ、時価の全額を担保にレポ取引で現金を年 0.3% で借り、その現金で、年 1.0% の無担保の借入を同じ額だけ返す予定でした。金利は 1 年間変わらないとして、国債を差し入れることで失うこの金利の差の分は、1 年でいくらですか。
正解と解説
正解: D
失う分は 0.7 億円です。現金以外の担保の価値は、時価から、時価にヘアカットを掛けた額を差し引いて求めます。ヘアカットがあるため、差し入れる国債の時価は、98 ÷ (1 − 0.02) = 100 億円です。この 100 億円をレポ取引に出せば、100 億円の現金を年 0.3% で借りて、年 1.0% の無担保の借入を 100 億円減らせました。その金利の差は年 0.7% で、100 × (1.0% − 0.3%) = 0.7 億円です。
0.3 億円は、100 億円のレポ取引の金利だけを数えた値(100 × 0.3%)です。1.0 億円は、無担保の借入の金利だけを数えた値(100 × 1.0%)です。0.686 億円は、ヘアカットを考えずに、必要な担保の価値の 98 億円で計算した値(98 × 0.7%)です。レポ取引に使えなくなるのは、担保の価値ではなく、差し入れる国債の時価の 100 億円です。
この国債を、ほかに使う予定がなければ、失うものはなく、このコストは 0 です。どちらが割安かは、担保にする資産をほかにどう使うかで変わります。特定の方法を勧めるものではありません。
詳しくは: 担保の調達と差し替え
問 5
架空の例として、銀行はネッティング契約を 2 つ(S1、S2)結び、S1 は時価 300 億円のプラスで現金の変動証拠金を 250 億円受け入れ、S2 は時価 200 億円のマイナスで 150 億円差し入れています。当初証拠金 100 億円を預託し、受け入れた変動証拠金は分別管理です。2026 年 10 月時点の流動性告示で、安定調達比率(NSFR)のデリバティブの所要安定調達額は、いくらですか。
正解と解説
正解: A
所要安定調達額は 345 億円です。算入率は、デリバティブの資産が負債を上回る額が 100%、負債の再構築コスト(変動証拠金を引く前の、再構築コストがマイナスの合計)が 5%、預託した当初証拠金が 85% です。分別管理されている変動証拠金は、デリバティブ資産の額から引く要件を満たさないので引けず、デリバティブ資産の額は 300 億円です。デリバティブ負債の額は、差し入れた現金の変動証拠金 150 億円を引いた 200 − 150 = 50 億円です。資産が負債を上回る額は 300 − 50 = 250 億円で、100% を掛けて 250 億円です。負債の再構築コストの 200 億円に 5% を掛けた 10 億円と、当初証拠金の 100 億円に 85% を掛けた 85 億円を足して、250 + 10 + 85 = 345 億円です。
95 億円は、受け入れた変動証拠金が要件を満たすとして、資産の額から 250 億円を引いた値です(資産 50、負債 50 で差は 0 となり、0 + 10 + 85)。この値になるのは、変動証拠金が分別管理されておらず、時価評価の額以上を受け入れているなど、4 つの要件をすべて満たすときです。260 億円は、当初証拠金の 85 億円を数え忘れた値(250 + 10)です。335 億円は、負債の再構築コストの 10 億円を数え忘れた値(250 + 85)です。
詳しくは: 規制上の流動性指標(LCR、NSFR)での扱い