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デリバティブ・コンパス

理解度チェック: その他のデリバティブ

最終確認日: 2026年9月25日

下書きです。公開前の確認のために表示しています。

「その他のデリバティブ」の章の内容を確かめる 8 問の問題です。選択肢を選んで「回答する」を押すと、正解と解説が出ます。「正解と解説」を開いて、先に答えを見ることもできます。

  1. 問 1

    架空の例として、天候デリバティブの指数に使う暖房デグリーデー(HDD)を、基準の気温 18℃ で数えます。4 日間の日平均気温は、12℃、16℃、20℃、15℃ でした。この 4 日間の HDD はいくつですか。

    正解と解説

    正解: C

    HDD は、日平均気温が基準より低い日の差を足したものです。12℃ の日は 6、16℃ の日は 2、15℃ の日は 3 の差があります。基準より高い 20℃ の日は 0 と数えます。6 + 2 + 0 + 3 = 11 で、HDD は 11℃日です。

    2℃日は、日平均気温が基準より高い日の差を足した冷房デグリーデー(CDD)の値です。この 4 日間では、20℃ の日の 2℃日だけが CDD に入ります。13℃日は、20℃ の日の差 2 も HDD に足した値です。9℃日は、20℃ の日の差 2 を HDD から引いた値です。HDD では、基準より高い日は足しも引きもしません。

    詳しくは: 天候デリバティブ

  2. 問 2

    天候デリバティブが保険と違う点として、正しいものはどれですか。

    正解と解説

    正解: D

    天候デリバティブは、損害の有無や大きさを査定せず、気温などの観測値が条件を満たせば決めた金額を払います。査定の手続きがないため、早く受け取れます。

    天候による損失に備える点が保険と似ているため、支払いの決め方も保険と同じだと考えると、損害を査定する選択肢を選びやすくなります。

    実際の損害を査定し、限度額の範囲で補うのは保険です。天候デリバティブは自然災害の損害に限らず、暑さや寒さによる売上の減少や費用の増加にも使えます。

    一方で、支払いは観測値だけで決まるため、受け取る額が実際の損失と必ず同じになるわけではなく、ずれることがあります。このずれが生じるリスクをベーシスリスクといいます。損失が出ても指数が条件を満たさなければ受け取れず、損失が出なくても指数が条件を満たせば受け取ります。

    詳しくは: 天候デリバティブ

  3. 問 3

    VIX 指数(Cboe のボラティリティ指数)は、何から求めた、何を表す指数ですか。

    正解と解説

    正解: A

    VIX は、S&P 500 指数のオプションの価格から、米国の株式市場が今後 30 日にどれだけ動くと市場が見ているかを求めた指数です。オプションの価格には、ボラティリティ(価格の変動の大きさ)についての市場の見方が織り込まれています。VIX は、多くのオプションの価格に織り込まれた見方を 1 つの数値にまとめたものです。

    過去の値動きから求めた実績とする選択肢は、ボラティリティという語から、過去の値動きのばらつきを思い浮かべると選びやすい誤りです。VIX が使うのはオプションの価格で、過去の値動きではありません。VIX 先物は、VIX を対象にした先物です。VIX 先物の値段から VIX を求めるのではなく、VIX の値で VIX 先物を決済します。

    VIX は年率の変動率を % で表した数値ですが、見ている期間は今後 30 日です。たとえば VIX が 20 なら、今後 30 日の変動の大きさを、市場が年率 20% 程度と見ていることを表します。

    詳しくは: VIX 先物などのボラティリティ商品

  4. 問 4

    架空の例として、今日の VIX は 16.00、1 か月先の満期の VIX 先物は 18.00、2 か月先の満期の VIX 先物は 19.50 です。2 か月先の満期の先物を 19.50 で 2 枚買い、1 か月後に VIX と期間構造がまったく同じ形のままだったとします。VIX 先物の取引単位は 1 ポイントあたり 1,000 ドルとして、1 か月後の先物の損益はいくらですか。

    正解と解説

    正解: C

    損益は 3,000 ドルの損失です。1 か月後には、買った先物は 1 か月先の満期の先物になっているので、値段は 18.00 に下がります。1 枚あたりの損益は (18.00 − 19.50) × 1,000 ドル = −1,500 ドルです。2 枚なので、−1,500 ドル × 2 = −3,000 ドルです。この例のように満期が遠いほど値段が高い形をコンタンゴといい、期間構造が変わらなければ、先物を持っているだけで値段が下がります。

    1,500 ドルの損失は、1 枚分だけの値です。7,000 ドルの損失は、1 か月後に先物の値段が VIX と同じ 16.00 まで下がると考えて、(16.00 − 19.50) × 1,000 ドル × 2 と計算した値です。1 か月後の先物には、まだ 1 か月の残りがあります。3,000 ドルの利益は、損益の向きを取り違えた値です。

    反対に、1 か月の間に相場が急落し、この先物が 24.00 に上がったとします。1 枚あたりの損益は (24.00 − 19.50) × 1,000 ドル = 4,500 ドルです。2 枚で 9,000 ドルの利益になります。

    詳しくは: VIX 先物などのボラティリティ商品

  5. 問 5

    架空の例として、損害保険会社 Y 社が 100 億円のキャットボンドを発行しました。期間は 3 年で、トリガーは、Y 社の台風の保険金が 3,000 億円を超えた部分の額だけ元本が減り、減る額の上限は 100 億円です。投資家が受け取る 3 年分のクーポンは 18 億円です。元本の減少が 3 年目の末に確定し、Y 社の台風の保険金が 3,040 億円だったとき、投資家の損益はいくらですか。

    正解と解説

    正解: C

    投資家の損益は 22 億円の損失です。保険金は 3,000 億円を 3,040 − 3,000 = 40 億円超えているので、元本が 40 億円減ります。3 年分のクーポン 18 億円から元本の減少 40 億円を引くと、18 − 40 = −22 で、22 億円の損失です。

    18 億円の利益は、元本が減らなかったときの値で、保険金が 3,000 億円以下の場合にあたります。40 億円の損失は、元本の減少だけを見て、受け取ったクーポンを足し忘れた値です。34 億円の損失は、3 年分のクーポンの代わりに 1 年分の 6 億円だけを足した値です。

    反対に、保険金が 3,000 億円以下なら、元本は減らず、投資家の損益はクーポンの 18 億円です。この場合の利益は、クーポンの分で頭打ちです。損失は元本の減少に応じて増え、保険金が 3,100 億円以上では 82 億円の損失で一定になります。

    詳しくは: 保険リンク証券(キャットボンドなど)

  6. 問 6

    架空の例として、年金基金が、受給者への年金を対象に長寿スワップを結び、受け払いは差額だけで決済します。ある年の固定の支払い(基金から受け手)は 9.0 億円、実績の年金に当たる額は 9.6 億円で、基金が受給者に払った年金も 9.6 億円でした。受給者が想定より長生きしたこの年、受け払いと基金の正味の負担はどうなりますか。

    正解と解説

    正解: A

    実績の年金に当たる額が固定の支払いより多いので、差額は 9.6 − 9.0 = 0.6 億円で、受け手が基金に払います。基金は受給者に 9.6 億円の年金を払い、受け手から 0.6 億円を受け取るため、正味の負担は 9.6 − 0.6 = 9.0 億円で、固定の支払いにとどまります。

    正味の負担が 9.6 億円に増えるとする選択肢は、スワップが長生きの負担を移さないと考えた値です。受け手が 0.6 億円を払っても負担は変わらないとする選択肢は、受け取った差額を引き忘れた値です。基金が受け手に払う向きで 10.2 億円とする選択肢は、差額の向きを逆にした値です。この向きになるのは、受給者が想定より短命で、実績の年金に当たる額が固定の支払いより少ない年です。

    受け手の側から見ると、損得は基金と逆になります。受給者が想定より短命なら、基金は差額を受け手に払い、スワップがなければ減っていたはずの負担が減りません。

    詳しくは: 長寿リスクのスワップ

  7. 問 7

    架空の例として、A 社が時価 100 億円の賃貸オフィスを持ち、不動産の指数を対象にしたスワップを想定元本 100 億円で結んでいます。A 社は指数の総合収益率に応じた金額を払い、ディーラーは想定元本の年 3% にあたる 3 億円を払います。指数と物件の総合収益率がともに +8% の年、スワップの差引と物件の総合収益を合わせた A 社の合計はいくらですか。

    正解と解説

    正解: D

    合計は 3 億円の利益です。指数が +8% の年、A 社は 100 億円 × 8% = 8 億円を払い、3 億円を受け取るので、スワップの差引は −5 億円です。物件の総合収益は +8 億円なので、−5 + 8 = +3 で、合計は 3 億円です。

    5 億円の損失は、スワップの差引だけを見て、物件の収益を足し忘れた値です。8 億円の利益は、物件の収益だけを見て、スワップの支払いを引き忘れた値です。11 億円の利益は、物件の収益 8 億円に金利の受け取り 3 億円だけを足し、指数の支払い 8 億円を引き忘れた値です。指数の総合収益率がプラスの年は、A 社が払う側です。

    物件の総合収益率が指数と同じになる仮定のもとでは、合計は指数の動きによらず、毎年 3 億円です。たとえば指数が −4% の年は、スワップの差引が +7 億円、物件の総合収益が −4 億円で、やはり合計は 3 億円です。その代わり、指数が上がっても、A 社は物件の値上がり益を受け取れません。

    詳しくは: 不動産デリバティブ

  8. 問 8

    架空の例として、運航会社の B 社が、ケープサイズの運賃の指数を対象にした運賃先物(FFA)を、契約の運賃 20,000 ドル/日、30 日分(1 日を 1 枚とする)で買いました。決済期間に公表された運賃の指数の算術平均は 17,000 ドル/日でした。船と貨物の受け渡しはなく、差額を現金で決済するとき、B 社の FFA の受け払いはどうなりますか。

    正解と解説

    正解: B

    B 社は 90,000 ドルを払います。FFA の買い手の損益は、指数の平均から契約の運賃を引いた額に、日数を掛けて求めます。(17,000 − 20,000) × 30 = −90,000 で、B 社が 90,000 ドルを払います。

    600,000 ドルを払う選択肢は、契約の運賃 20,000 ドル/日に 30 日を掛けた値で、差額ではなく契約の運賃の全額を払うと考えたものです。3,000 ドルを払う選択肢は、1 日あたりの差額で、日数の 30 を掛けていません。510,000 ドルは、指数の平均 17,000 ドル/日に 30 日を掛けた値で、船を借りる費用にあたります。FFA の決済は、船を借りる費用ではなく、契約の運賃との差額です。

    反対に、指数の平均が 23,000 ドル/日なら、(23,000 − 20,000) × 30 = 90,000 ドルを B 社が受け取ります。B 社が船を借りる費用が指数と同じになる場合、FFA の受け払いを合わせると、費用は運賃が上がっても下がっても、契約の運賃 20,000 ドル/日に 30 日を掛けた 600,000 ドルに固定されます。

    詳しくは: 運賃先物(FFA)