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デリバティブ・コンパス

理解度チェック: ヘッジ会計

最終確認日: 2026年10月3日

下書きです。公開前の確認のために表示しています。

「ヘッジ会計」の章の内容を確かめる 5 問の問題です。選択肢を選んで「回答する」を押すと、正解と解説が出ます。「正解と解説」を開いて、先に答えを見ることもできます。

  1. 問 1

    架空の例として、ある事業会社が、変動金利の借入金 10 億円の利息を固定するために、想定元本 10 億円の金利スワップを結び、固定金利 1.5% を払って変動金利を受け取ります。変動金利は、1 年目が 1.0%、2 年目が 2.0% です。IFRS 第 9 号のキャッシュ・フロー・ヘッジとしてヘッジ会計を使い、割引、税、非有効部分を無視するとき、1 年目と 2 年目の損益は、それぞれいくらですか。

    正解と解説

    正解: B

    ヘッジ会計を使うと、スワップの時価の変動は、借入金の利息が損益に出るまでその他の包括利益に置きます。損益に入るのは、借入金の利息とスワップの受払いだけです。

    1 年目の借入金の利息は、1.0% × 10 億円 = 1,000 万円です。スワップは 1.5% を払って 1.0% を受け取るので、差の 500 万円を払います。合わせて −1,000 万円 + (−500 万円) = −1,500 万円です。

    2 年目の借入金の利息は、2.0% × 10 億円 = 2,000 万円です。スワップは 1.5% を払って 2.0% を受け取るので、差の 500 万円を受け取ります。合わせて −2,000 万円 + 500 万円 = −1,500 万円です。どちらの年も、固定金利 1.5% × 10 億円 = 1,500 万円の負担が出ます。

    1 年目も 2 年目も −1,000 万円とするのは、1 年目の変動金利を 2 年目にも使った誤りです。

    ヘッジ会計を使わず、スワップの時価の変動も損益に入れると、1 年目は −1,000 万円、2 年目は −2,000 万円で、変動金利の動きのまま出ます。−500 万円と +500 万円は、スワップの受払いだけの額です。2 年を通した損益の合計は、どちらの処理でも −3,000 万円です。ヘッジ会計が変えるのは、期ごとの出方です。

    詳しくは: ヘッジ会計の基本

  2. 問 2

    IFRS 第 9 号のキャッシュ・フロー・ヘッジで、ヘッジ会計をやめるとき、その他の包括利益に累積した額の扱いとして正しいものはどれですか。

    正解と解説

    正解: C

    累積した額の扱いは、ヘッジ手段がいつなくなったかではなく、ヘッジ対象の将来のキャッシュフローが今も発生すると見込まれるかで変わります。

    見込まれるなら、キャッシュフローが発生するまで、その他の包括利益にそのまま置きます。見込まれなくなったなら、ただちに損益へ振り替えます。ヘッジ会計をやめるのは将来に向かってで、始めた期にさかのぼって直すことはしません。

    詳しくは: ヘッジ会計の基本

  3. 問 3

    日本基準のヘッジ会計で、棚卸資産の購入を予定取引としてヘッジし、繰延ヘッジを使っていたとします。2019 年に最終改正された実務指針(会計制度委員会報告第 14 号。2024 年 7 月に廃止される前の版)では、予定取引が実行されたとき、繰延ヘッジで純資産の部に計上していた繰延ヘッジ損益を、どのように処理しますか。

    正解と解説

    正解: A

    繰延ヘッジ損益が損益に戻る時期は、ヘッジ対象で決まります。棚卸資産や有形固定資産の購入を予定取引としてヘッジしたときは、取引の実行時に、繰延ヘッジ損益を資産の取得価額に加減します。そのため、損益に出るのは、その資産が費用になる期です。

    取引の実行時に当期の純損益にするのは、売上や金利など、純損益がすぐ出る予定取引の処理です。引き続き純資産の部に置き、各期に配分するのは、社債や借入金など、利付負債の発生を予定取引としたときの処理です。

    詳しくは: 日本基準の繰延ヘッジ

  4. 問 4

    2019 年に最終改正された実務指針(会計制度委員会報告第 14 号。2024 年 7 月に廃止される前の版)の日本基準のヘッジ会計では、有効性を、ヘッジ開始時から判定時点までの、ヘッジ対象とヘッジ手段の変動額の累計を比べて判定します。変動額の比率が、どの範囲内のとき、高い相関関係があると認められますか。

    正解と解説

    正解: D

    有効性の判定では、変動額の比率がおおむね 80% から 125% の範囲内なら、高い相関関係があると認められます。

    たとえば、ヘッジ手段の損失が 80、ヘッジ対象の利益が 100 なら、比率は 80 ÷ 100 = 80% です。ヘッジ手段の利益が 100、ヘッジ対象の損失が 80 なら、100 ÷ 80 = 125% です。どちらも範囲の端にあたり、範囲内です。

    この評価は、ヘッジの指定期間を通して、決算日には必ず、少なくとも 6 か月に 1 回程度も行います。開始時の評価だけでは足りません。

    詳しくは: 日本基準の繰延ヘッジ

  5. 問 5

    架空の例として、ある会社が、原材料の購入に備え、コール・オプションを 800 万円で買い、その全部が時間的価値です。IFRS 第 9 号のキャッシュ・フロー・ヘッジで本質的価値の変動だけをヘッジ手段に指定し、ヘッジ対象は取引に関連するものとします。原材料の購入時に本質的価値が 300 万円、時間的価値が 0 で、非有効部分、割引、税を無視すると、取得原価は調整で差し引きいくら変わりますか。

    正解と解説

    正解: C

    時間的価値の変動は、累計で 0 − 800 万円 = −800 万円です。ヘッジ対象が取引に関連するときは、この変動をその他の包括利益に置き、原材料の購入時に、取得原価に加えます。取得原価は 800 万円増えます。

    本質的価値の変動は、0 から 300 万円への +300 万円です。これもその他の包括利益に置いていたので、購入時に取得原価から差し引きます。差し引きは、+800 万円 − 300 万円 = +500 万円で、取得原価は 500 万円増えます。

    800 万円増えるとしたものは、本質的価値の分を差し引いていません。300 万円減るとしたものは、時間的価値の分を加えていません。1,100 万円増えるとしたものは、本質的価値の分を、差し引かずに加えています。

    詳しくは: IFRS 第9号と ASC 815 のヘッジ会計