デリバティブの公正価値の会計処理、ヘッジ会計を使うかの判断、公正価値のレベルの判定、自己資本比率の計算のそれぞれの場面で、CVA と DVA の扱いが分かれます。

CVA と DVA が公正価値に入る理由

会計基準が CVA と DVA を公正価値に含めるのは、負債の公正価値に、自社が債務を履行しないリスクが入るためです。IFRS 第 13 号のもとでは、デリバティブを公正価値で測るとき、自社と取引相手の双方の信用リスクを評価額に織り込み、信用評価調整として反映する必要があります1。公正価値の定義、出口価格、3 つのレベルは時価評価(IFRS 第13号、ASC 820、時価のレベル)で扱います。

企業が債務を履行しないリスクを不履行リスクといい、企業自身の信用リスクを含みます。負債の公正価値には、ASC 820 でも IFRS 第 13 号でも、不履行リスクの影響が入ります23。ASC 820 では、不履行リスクは負債の移転の前と後で同じだと仮定します。従来の IFRS は報告企業自身の信用リスクに触れていませんでしたが、IFRS 第 13 号で、負債の公正価値に企業自身の信用リスクが入ることがはっきりしました4。

デリバティブは、公正価値がプラスの側が資産、マイナスの側が負債です。資産には取引相手の信用リスクが、負債には自社の不履行リスクが効きます。取引相手の信用リスクを反映する調整がCVAで、自社の信用リスクを反映する調整がDVAです5。会計では、取引相手に加えて自社の信用力も考慮するのが一般的で、両方を入れたものを双方向の CVA と呼びます6。調整後の公正価値は、リスク・フリーの公正価値を基にした次の式で表せます。

調整後の公正価値=リスク・フリーの公正価値−CVA+DVA\text{調整後の公正価値} = \text{リスク・フリーの公正価値} - \mathrm{CVA} + \mathrm{DVA}

CVA は取引相手の信用力が悪化すると増えて公正価値を下げ、DVA は自社の信用力が悪化すると増えて公正価値を上げます。計算の中身はCVA と DVAで扱います。

米国基準(Topic 820)でも、DVA を公正価値に反映することが原則です7。FVA は、会計基準が公正価値への算入を求めているわけではありませんが、2017 年の論文の時点で、多くの金融機関が会計処理に取り込んでいました8。

正味のエクスポージャーで測る例外

金融資産と金融負債を組にして、正味のリスクで測る例外があります。この例外で信用リスクを正味で測るには、債務不履行のときにエクスポージャーを減らす取り決めが取引相手との間に要ります9。

CVA は、個々の取引ではなく、ネッティング契約ごとにまとめて計算するのが普通です。取引相手がデフォルトしたとき、同じ契約の下の債権と債務を一括清算ネッティングで相殺できるためです10。

損益に出る向き(P 社の架空の例)

IFRS 第 9 号は、デリバティブである負債を、純損益を通じて公正価値で測る負債に含めます11。公正価値で測る金融資産と金融負債の損益は、ヘッジ会計などの例外を除いて損益に出ます12。ヘッジ会計を使わないデリバティブでは、CVA と DVA の変動が損益に出ます。

P 社がヘッジ会計を適用しないデリバティブをある取引相手と持つ、架空の例で考えます。取引は同じネッティング契約の下にあり、リスク・フリーの公正価値は期首も期末も 1,000 万円で変わりません。期首の CVA は 20 万円、DVA は 8 万円で、調整後の公正価値は、期首が 1,000 − 20 + 8 = 988 万円です。期末の信用力の動きごとに、損益は次のとおりです。

期末の状況 CVA(万円) DVA(万円) 調整後の公正価値(万円) 損益(万円)
取引相手の信用力が悪化 30 8 1,000 − 30 + 8 = 978 −10
P 社の信用力が悪化 20 12 1,000 − 20 + 12 = 992 +4
両方が悪化 30 12 1,000 − 30 + 12 = 982 −6
P 社の信用力が改善 20 5 1,000 − 20 + 5 = 985 −3

損益は、期末の調整後の公正価値から期首の 988 万円を引いた値で、「−(CVA の増加)+(DVA の増加)」に一致します。取引相手の信用力が悪化すると CVA が増えて P 社の損失になり、P 社自身の信用力が悪化すると DVA が増えて利益になります。信用力が改善すれば、向きは逆です。

自社の信用力の悪化が利益になる点は、直感に反する報告になります。IFRS 第 13 号の公開草案には、負債の公正価値に自己の信用リスクの変化を入れて損益に認識すると、信用の悪化で利益、改善で損失という報告になり、直感に反するとの意見が寄せられました13。IASB は、この懸念を 2010 年に公表した IFRS 第 9 号の開発で扱ったと述べています3。

公正価値が常にプラス側にある商品では、DVA は出ません。金利のキャップを買う側は、受け取る権利だけを持ち、支払う義務を負いません。川上の論文の数値検証では、この場合に DVA はゼロになり、認識されないという結果です14。

ヘッジ手段のデリバティブの公正価値に CVA と DVA が含まれると、ヘッジで相殺しきれない部分が増減して、損益のぶれが大きくなることがあります15。IFRS 第 9 号は、ヘッジ会計の要件の一つに、信用リスクによる価値の変動が、経済的関係から生じる価値の変動を支配しないことを置いています16。

DVA と自己の信用リスクの出る先

デリバティブの DVA は損益に出ます。一方、企業が公正価値オプションを選んで公正価値で測る負債は、自己の信用リスクの変動の扱いが違います。IFRS 第 9 号では、当初認識のときに、会計上のミスマッチを解消する場合などに、金融負債を純損益を通じて公正価値で測るものとして取り消せない形で指定できます17。指定した負債の公正価値の変動のうち、その負債の信用リスクの変動による額は、その他の包括利益(OCI)に出します。残りは損益に出します18。

例外があります。信用リスクの変動を OCI に出すことで、損益の会計上のミスマッチが生じるか広がる場合は、信用リスクの変動を含め、すべて損益に出します。貸出コミットメントと金融保証契約は、指定しても、すべて損益に出します18。

はいいいえ公正価値で測るものとして指定した負債か指定なしなら、原則としてデリバティブのDVA は損益いいえはい貸出コミットメントか金融保証契約か信用リスクの変動も含め、すべて損益に出すいいえはいOCI に出すと、損益のミスマッチが生じる、または広がるか信用リスクの変動も含め、すべて損益に出す原則として、信用リスクの変動分は OCI、残りは損益に出る
図 1公正価値で測る負債の信用リスクの変動の出る先(IFRS 第 9 号)
図の説明

図 1 は、公正価値で測る負債の信用リスクの変動が OCI と損益のどちらに出るかを、指定の有無から順に確かめる図です。この図で OCI を通るのは、指定した負債の信用リスクの変動分だけです。指定は、当初認識のときに、会計上のミスマッチを解消する場合などに、取り消せない形で行います。

デリバティブの DVA が OCI に出す扱いの対象外なのは、OCI に出す定めの対象が、公正価値で測るものとして指定した負債だからです。デリバティブである負債は、指定がなくても純損益を通じて公正価値で測ります。OCI に出す定めにデリバティブの DVA は含まれないため、ヘッジ関係の一部でない限り、DVA の変動は損益に出ます19。

米国基準も、公正価値オプションを選んだ金融負債について、自己の信用リスクによる変動を別に OCI に出します20。IFRS 第 9 号との違いは、負債の消滅時の扱いです。米国基準は、OCI に出していた信用リスクの累積額を、消滅時に純利益に含めます。IFRS 第 9 号は、OCI に出した額を、後から損益に振り替えることを認めません(資本の中での振替は可)21。あわせて米国基準は、公正価値オプションを選んだ負債について、固有の信用リスクの変動による期中と累計の変動額と、その決め方の開示を求めます22。

項目 デリバティブの DVA 公正価値オプションの負債の自己の信用リスク(IFRS 第 9 号) 同(米国基準)
変動の出る先 損益 原則として OCI。ミスマッチが生じるか広がるなら損益 OCI
対象になる条件 指定は不要。純損益を通じて公正価値で測る負債 当初認識のときに指定した負債 公正価値オプションを選んだ負債
負債の消滅時 損益に出済み 損益への振替なし 損益に含める
深掘り負債の信用リスクの範囲と切り出し方

IFRS 第 9 号が OCI に出す対象は、発行体が特定の負債を履行しないリスクの変動です。必ずしも発行体の信用力の変化とは一致しません。同じ発行体が出した、ほかの条件が同じ担保付きの負債と担保なしの負債は、信用リスクが違います23。

米国基準は、負債の公正価値の変動のうち、リスク・フリー・レートや基準金利のような基礎となる市場リスクの変動による額を除いた残りを、固有の信用リスクの変動とみなすことを認めています。忠実に表す別の方法を使ってもよく、どちらも負債ごとに毎期同じ方法を適用します20。

日本の時価算定会計基準での扱い

日本の企業会計基準第 30 号「時価の算定に関する会計基準」は、IFRS 第 13 号の内容をほぼ全面的に採用しています24。

負債の不履行リスクは、現在価値技法で市場参加者の観点から考慮する要素の一つです25。

正味の例外も置かれています。企業会計基準第 30 号では、IFRS 第 13 号と同じ趣旨で、金融資産と金融負債を相殺した正味に基づく時価を算定できます。信用リスクを正味で測るには、債務不履行時に信用リスクを減らす取り決めがあることが条件で、その取り決めが法的に効力を持つかどうかの市場参加者の見方を、時価に織り込みます。取り決めの例は、マスターネッティング契約と、正味の信用リスクに基づく担保の授受契約です26。

規制資本での DVA の扱い

会計では DVA が公正価値と損益に入りますが、自己資本比率規制は DVA を自己資本から外します。金融財政事情の解説は、規制上の自己資本の計算では、モラルハザードの防止を理由に、DVA を普通株式等 Tier 1(CET1)の計算から差し引く扱いだと説明します27。日本の告示でも、国際統一基準を使う銀行の連結ベースで、負債の時価評価による差額が調整項目に入ります。対象は、銀行または連結子法人等自身の信用リスクの変動に基づく差額のうち、自己資本に算入されている分です28。

CVA の資本賦課の標準的方式(SA-CVA)は、銀行自身はデフォルトしない前提の片方向の CVA を使い、DVA は勘案せず、CET1 から直接控除します29。会計の CVA は公正価値なので、リスク中立確率で評価します。規制の内部モデル方式などは実確率の過去データを使う場合があり、会計と規制の CVA に差が生じていたと、金融財政事情は述べます30。

観測可能性とレベルの判定

CVA と DVA を含めた公正価値のレベルは、測定全体にとって重要な入力のうち、最も低いレベルの入力で決まります。観測できる入力を、観測できない入力で調整し、その調整で公正価値が大きく上下するなら、測定全体はレベル 3 になります31。

CVA の計算には、取引相手のデフォルト確率と損失率の入力が要ります。実務では、市場で観測できるCDSなどのスプレッドからデフォルト確率を割り出し、その計算で置く前提を損失率(1 − 回収率)にも共通して使います32。SA-CVA では、取引相手の信用スプレッドが非流動的なら、代わりの値(プロキシー・スプレッド)を使います33。ASC 820 の Deloitte の解説は、デフォルト率を市場で観測できるデータから導けるなら、自社の過去データや自社の想定で代えてはならないとします34。

この規則を CVA に当てはめると、取引相手のスプレッドが流動的でなく、代わりの値の作り方に観測できない仮定が入り、その仮定で CVA が大きく変わる場合は、デリバティブ全体がレベル 3 になりえます。CVA が測定全体にとって重要かどうかは、デリバティブごとに判断します。

CVA と DVA の大きさは、モデルと前提で変わります。リスク中立測度を使うか実確率を使うかで、計算の結果が違います。川上の論文によれば、はじめは実確率を使う例も多かったものの、近年は資本規制や会計の求めに沿って、リスク中立測度で計算するのが主流です35。IFRS 第 13 号の導入後の見直しでも、デリバティブの評価調整の実務にばらつきがあるとの指摘が一部の回答者からありました。IASB は、この指摘に対応すべき大きな問題はないと見ています36。

この記事が扱わないこと

日本の金融機関が CVA と DVA をどの方法で計算し、どの科目に表示するかは、この記事では扱いません。

注

  1. 川上高志「ヘッジ取引におけるデリバティブ信用評価調整の影響についての考察」(日本銀行金融研究所『金融研究』2018 年 4 月)の 1 節(120 ページ)。IFRS 第 13 号の要請として、デリバティブの評価に両当事者の信用リスクを織り込む調整が必要になると説明しています。 ↩

  2. Deloitte の解説「10.2 Definition of Fair Value」が引用する ASC 820-10-35-17(Nonperformance Risk)。負債の公正価値への反映と、移転の前後で同じという仮定を定め、同じ箇所の用語集の引用は不履行リスクを企業自身の信用リスクを含むが、それに限らないものと定義します。 ↩

  3. 「IFRS 13 Fair Value Measurement Project Summary and Feedback Statement」(2011 年 5 月)の 20 ページ。負債の公正価値が不履行リスクの影響を反映することと、自己の信用リスクへの懸念を IFRS 第 9 号の開発で扱ったことを書いています。 ↩ ↩2

  4. 川上、同論文の 120 ページの脚注 1。IFRS 第 13 号の結論の根拠として、従来の基準が自社の信用リスクに触れていなかった点(BC92)と、負債の公正価値に自社の信用リスクが入るとはっきりさせる趣旨(BC93)を紹介しています。 ↩

  5. 川上、同論文の 2 節(1)(123 ページ)。デリバティブの評価に取引相手と自社の信用リスクを織り込む調整の総称が信用評価調整で、取引相手側の分が CVA、自社側の分が DVA だと書いています。 ↩

  6. 前田壮一、長谷川達也「CVAリスク計測の枠組みの見直し」(『金融財政事情』2018 年 2 月 12 日号)の「信用評価調整(CVA)とは」(32〜33 ページ)。取引相手の信用力だけを考慮するものを単方向 CVA、会計上は自社の信用力も考慮するのが一般的で、これを双方向 CVA と呼ぶと書いています。 ↩

  7. 斎藤祐一「金融規制の複合的影響を考慮したXVA」(日本銀行金融研究所『金融研究』2017 年 4 月)の 1 節(110 ページ)。欧米の会計基準は自社の債務についても DVA を公正価値に反映することを原則として求めるとし、IFRS 第 13 号と米国の ASC の Topic 820 を挙げます。 ↩

  8. 斎藤、同論文の 2 節(1)(112 ページ)。FVA は会計基準が公正価値への算入を求めてはいないが、実際には多くの金融機関が既に会計処理に取り込んでいると述べています。 ↩

  9. 「IFRS 13 Fair Value Measurement Project Summary and Feedback Statement」の 22 ページ。例外は、公正価値で継続して測る金融商品が対象で、信用リスクについては、債務不履行時にエクスポージャーを軽減する取り決めが取引相手とあることが条件です。 ↩

  10. 前田、長谷川、同記事の 32 ページ。取引相手がデフォルトしたとき、同じ契約の下にある複数の取引の債権と債務を相殺でき、証拠金の授受も契約ごとに行われるため、CVA は個々の取引でなく契約ごとにまとめて計算するのが通例だと説明しています。 ↩

  11. IFRS 第 9 号(IFRS 財団の 2025 年版)4.2.1 項(a)。純損益を通じて公正価値で測る金融負債に、デリバティブである負債が含まれるとしています。 ↩

  12. IFRS 第 9 号 5.7.1 項。公正価値で測る金融資産と金融負債の損益は、ヘッジ関係の一部であるなどの例外を除き、損益に認識します。 ↩

  13. 「IFRS 13 Fair Value Measurement Project Summary and Feedback Statement」の 19 ページ。自己の信用リスクの変化を損益に認識すると、信用の悪化で利益、改善で損失という直感に反する報告になるとの回答者の意見を書いています。 ↩

  14. 川上、同論文の 4 節(138 ページ)。スワップのようにオプション性のない取引では、エクスポージャーが正にも負にもなるため CVA と DVA の両方が認識される一方、キャップの買いでは、ペイオフの構造から常に正にとどまるので DVA がゼロとなり、認識されないという数値検証を示しています。 ↩

  15. 川上、同論文の 3 節(2)(129 ページ)。ヘッジ手段のデリバティブには、市場要因の動きだけでなく CVA と DVA の変化も加わるため、ヘッジが効かない部分が変動し、期間損益のぶれが大きくなりうると説明しています。 ↩

  16. IFRS 第 9 号 6.4.1 項(c)(ii)。信用リスクによる価値の変動が、ヘッジ対象とヘッジ手段の経済的関係による価値の変動を支配しないことを、ヘッジの有効性の要件の一つにしています。 ↩

  17. IFRS 第 9 号 4.2.2 項。当初認識のときに、会計上のミスマッチを減らすか解消する場合などに、金融負債を純損益を通じて公正価値で測るものとして取り消せない形で指定できると定めています。 ↩

  18. IFRS 第 9 号 5.7.7 項から 5.7.9 項。信用リスクの変動による額は OCI に、残りは損益に出し(5.7.7 項)、ミスマッチが生じるか広がる場合(5.7.8 項)と貸出コミットメント・金融保証契約(5.7.9 項)は、すべて損益に出します。 ↩ ↩2

  19. IFRS 第 9 号 4.2.1 項(a)、4.2.2 項、4.3.5 項、5.7.1 項、5.7.7 項からの整理です。5.7.7 項は 4.2.2 項か 4.3.5 項で指定した負債が対象で、デリバティブである負債は 4.2.1 項(a)で指定なしに公正価値で測り、変動は 5.7.1 項で損益に出ます。 ↩

  20. Deloitte の解説「12.4 Presentation」が引用する ASC 825-10-45-5。公正価値オプションを選んだ金融負債は、固有の信用リスクの変動による部分を OCI に別に表示します。基礎となる市場リスクの変動を除いた額をその変動とみなしてよく、別の方法も使えますが、方法は毎期継続します。 ↩ ↩2

  21. Deloitte の解説「12.6 Comparison of U.S. GAAP and IFRS Accounting Standards」の 12.6.4。米国基準は消滅時に OCI の変動を損益に出し(12.4 が引用する ASC 825-10-45-6)、IFRS 第 9 号は損益への振替を認めず、資本の中の振替は B5.7.9 項が認めます。 ↩

  22. Deloitte の解説「12.5 Disclosures」が引用する ASC 825-10-50-30。負債について、固有の信用リスクの変動による期中と累計の公正価値の変動額、その決め方、期中に決済した場合にその他の包括利益から純利益に含めた額を開示します。 ↩

  23. IFRS 第 9 号の B5.7.13 項。5.7.7 項(a)は、発行体が特定の負債を履行しないリスクに関わり、発行体の信用力とは必ずしも一致しないとし、担保付きの負債と担保なしの負債の例を挙げます。 ↩

  24. PwCあらた有限責任監査法人「日本基準トピックス 第378号」(2019 年 7 月 4 日)の 2 ページ。時価算定会計基準は、IFRS 第 13 号の規定をほぼ全面的に採り入れたうえで、日本の実務への配慮から個別の取扱いを加えたと説明しています。 ↩

  25. 「時価の算定に関する会計基準」に対する批判的考察(『経営志林』第 57 巻第 3 号、2020 年 10 月)の 29 ページ。企業会計基準適用指針第 31 号の 35 項(1)として、現在価値技法で考慮する要素に、負債については負債の不履行リスクを挙げています。 ↩

  26. 同論文の 26 ページ。企業会計基準第 30 号の 7 項として、正味に基づく時価の算定とその条件を紹介しています。測定の単位は 32 項です。 ↩

  27. 前田、長谷川、同記事の 33 ページ。規制資本の計算では、モラルハザードを避ける考え方から DVA を CET1 の計算で差し引く扱いになっており、前提とする CVA は単方向だと書いています。 ↩

  28. 銀行法第十四条の二の規定に基づく告示(平成十八年金融庁告示第十九号。2026 年 8 月 24 日更新の版)の第 5 条第 2 項第 1 号ヘ(国際統一基準を適用する銀行の連結の普通株式等 Tier 1 資本に係る調整項目)。 ↩

  29. 金融庁、日本銀行「『信用評価調整(CVA)リスクの最低所要自己資本』の概要」(2018 年 2 月)の 8 ページ。SA-CVA の主な要件の一つとして、CVA を片方向で捉えること(自社の債務不履行は考えない)と、DVA は計算に入れずに CET1 から直接差し引くことを示しています。 ↩

  30. 前田、長谷川、同記事の 34 ページ。会計上の CVA は公正価値のためリスク中立確率にもとづくのに対し、内部モデル方式などは実確率の過去データを使う場合があり、会計と規制の差が生じていたと書いています。SA-CVA は会計との整合性を重んじる手法とされています。 ↩

  31. Deloitte の解説「8.1 Introduction」が引用する ASC 820-10-35-37A と 35-38A。本文の CVA への当てはめは書き手によるもので、資料が CVA について明言しているわけではありません。 ↩

  32. 前田、長谷川、同記事の 33 ページ。CVA の計測では、CDS 市場のスプレッドから取引相手のデフォルト確率を割り出す必要があり、そこで置いた前提を損失率(1 − 回収率)の算出にも共通して使うと説明しています。 ↩

  33. 金融庁、日本銀行、同資料の 8 ページ。SA-CVA では、原則として市場で観察される信用スプレッドからデフォルト確率を推計し、信用スプレッドが非流動的な場合はプロキシー・スプレッドを使うとしています。 ↩

  34. Deloitte の解説「8.4 Level 3 Inputs」の Example 8-11。市場で観測できるデータからデフォルト率を導けるときは、企業は自社の過去のデフォルトのデータや、ストレスを加えた自社の想定にも頼れないという例です。 ↩

  35. 川上、同論文の 2 節(126 ページ)。CVA と DVA の計算の枠組みは実確率測度とリスク中立確率測度に大別されると書き、IFRS 第 13 号が出口価格を公正価値とするため、モデル・パラメータの評価に市場で観測できるインプットを使うことを求める流れを述べます。 ↩

  36. 「Post-implementation Review of IFRS 13」の報告書(2018 年 12 月)の 18 ページ。デリバティブの測定における評価調整の実務のばらつきに触れた回答者が少数あり、IASB はこの意見に、現時点で対応すべき大きな問題はないと見たと書いています。 ↩