IFRS 第 13 号は、公正価値の測定に使う入力を 3 つのレベルに分けます。測定の結果がどのレベルになるかは、何によって決まりますか。
理解度チェック: 時価評価
最終確認日: 2026年10月3日
下書きです。公開前の確認のために表示しています。
「時価評価」の章の内容を確かめる 5 問の問題です。選択肢を選んで「回答する」を押すと、正解と解説が出ます。「正解と解説」を開いて、先に答えを見ることもできます。
問 1
正解と解説
正解: B
公正価値は評価技法で見積もりますが、レベルが優先するのは、技法ではなく技法への入力です。たとえば、現在価値技法で求めた公正価値は、測定全体にとって重要な入力がどのレベルかによって、レベル 2 にもレベル 3 にもなります。
デリバティブのレベルも、商品の種類ではなく、測定に使う入力で決まります。マーケット・アプローチ、インカム・アプローチ、コスト・アプローチは、評価技法の考え方の分け方で、レベルとは対応しません。保有や決済の意図は、公正価値の測定そのものに関係しません。
問 2
IFRS 第 13 号が、公正価値の測定で認めていない調整はどれですか。
正解と解説
正解: D
保有する数量が相場の日々の取引量より多いことを理由にした調整(ブロッケージ・ファクター)は、認められません。
市場参加者が取引で考慮する特性を反映したプレミアムや割引は、公正価値に入ります。負債の公正価値は、自己の信用リスクを含む非履行リスクの影響を反映します。デリバティブの公正価値には、自己と取引相手の信用リスクを加味するよう求められています。
問 3
日本の時価算定会計基準(企業会計基準第 30 号)では、市場価格のない株式等はどのように扱いますか。
正解と解説
正解: A
市場価格のない株式等は、何らかの方法で価額を算定できても時価とはしない、従来の考え方を引き継ぎました。そのため、取得原価で貸借対照表に載せ、時価の注記も要りません。
観察できないインプットでも時価を算定する考え方に、時価を把握することが極めて困難と認められる有価証券という区分は合わないため、この区分は削除されています。観察できないインプットで算定した価額をレベル 3 の時価とするのは、市場価格のない株式等には当たりません。
詳しくは: 日本の時価算定会計基準
問 4
架空の例として、時価の算定に重要な影響を与えるインプットに、レベル 1 のものが 2 つ、レベル 3 のものが 1 つあるとします。日本の時価算定会計基準では、その時価を何に分類しますか。
正解と解説
正解: C
時価は、算定に重要な影響を与えるインプットが属するレベルに応じて分類します。レベルの違う複数のインプットが重要な影響を与えるときは、そのうち優先順位が最も低いレベルに分類します。優先して使うレベルのインプットが含まれていても、レベル 1 や、レベル 1 とレベル 3 の間のレベル 2 にはなりません。レベルごとに分けて分類するのではなく、時価全体で 1 つのレベルに分類します。この問題では、レベル 1 のインプットのほうが数は多いものの、レベル 3 のインプットが 1 つでも含まれるため、ほかのインプットのレベルや数にかかわらず、レベル 3 の時価です。
詳しくは: 日本の時価算定会計基準
問 5
架空の例として、ある企業が、ヘッジ会計を適用しないデリバティブを、ある取引相手との 1 つのネッティング契約の下で持っているとします。IFRS 第 9 号(2025 年版)のもとで、リスク・フリーの時価は期首も期末も 1,200 万円、CVAは期首 40 万円から期末 50 万円、DVAは期首 10 万円から期末 30 万円です。この期の、CVA と DVA の変動による損益はいくらですか。
正解と解説
正解: E
調整後の時価は「リスク・フリーの時価 − CVA + DVA」です。期首は 1,200 − 40 + 10 = 1,170 万円です。期末は 1,200 − 50 + 30 = 1,180 万円です。
損益は期末と期首の差で、1,180 − 1,170 = 10 万円の利益です。CVA の増加(10 万円)は損失、DVA の増加(20 万円)は利益なので、−10 + 20 = 10 万円とも一致します。
誤りの値は、よくある取り違えから出ます。30 万円の損失は、CVA の増加と DVA の増加を、どちらも時価を下げる調整として足した値です。20 万円の損失は、CVA の変動を損益に出さず、DVA の増加を損失の向きに取り違えた値です。10 万円の損失は DVA の変動を損益に出さず、CVA の増加だけを損失にした値、20 万円の利益は CVA の変動を損益に出さず、DVA の増加だけを利益にした値です。
ヘッジ会計を使わないデリバティブは、公正価値の変動が損益に出ます。デリバティブである負債は、公正価値オプションの指定がなくても純損益を通じて公正価値で測るため、DVA の変動も損益に出ます。DVA の増加は自社の信用力の悪化を表しますが、時価を上げて利益になります。反対に、取引相手の信用力の悪化は CVA を増やし、損失になります。
詳しくは: 会計上の CVA と DVA