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デリバティブ・コンパス

理解度チェック: 資本と収益

最終確認日: 2026年10月3日

下書きです。公開前の確認のために表示しています。

「資本と収益」の章の内容を確かめる 6 問の問題です。選択肢を選んで「回答する」を押すと、正解と解説が出ます。「正解と解説」を開いて、先に答えを見ることもできます。

  1. 問 1

    架空の例として、金融庁の自己資本比率の告示(2026 年 8 月更新の全体版)で、国際統一基準の銀行がマーケット・リスク相当額を算入する場合を考えます。ある銀行の信用リスク・アセットの額の合計が 300 億円、マーケット・リスク相当額が 8 億円、オペレーショナル・リスク相当額が 4 億円です。億円未満は四捨五入するとき、RWA は何億円ですか。

    正解と解説

    正解: C

    告示の算式では、RWA は信用リスク・アセットの合計額に、2 つの相当額それぞれを 8% で割った額を足した値です。マーケット・リスク相当額の 8 億円を 8% で割ると 100 億円、オペレーショナル・リスク相当額の 4 億円を 8% で割ると 50 億円です。300 + 100 + 50 で、RWA は 450 億円です。

    3 つの額をそのまま足すと 312 億円になります。8% で割るのは、相当額を信用リスク・アセットと同じ資産の額の単位にそろえるためです。2 つの相当額に 8% を掛けて足すと 301 億円になり、向きが逆です。オペレーショナル・リスク相当額を足さないと、300 + 100 = 400 億円で、50 億円が抜けます。

    詳しくは: リスク・アセット(RWA)

  2. 問 2

    標準的手法で信用リスク・アセットを求める銀行が、適格中央清算機関ではない取引相手と、デリバティブ取引をしています。この取引は、CVA の対象になるものです。この取引から生じる RWA はどれですか。

    正解と解説

    正解: B

    正解の理由は、同じ取引から信用リスク・アセットに入る分が 2 種類出るためです。デフォルトの分は、デリバティブの与信相当額に取引相手のリスク・ウェイトを掛けて求めます。CVA の分は、CVA リスク相当額から求めた額です。どちらも信用リスク・アセットに足します。

    CVA の分は、デフォルトの分(カウンターパーティ・クレジットリスクの分)とは別に加わるため、デフォルトの分に含める見方も、CVA をマーケット・リスクに含める見方も誤りです。CVA の分を、デフォルトの分と同じく与信相当額にリスク・ウェイトを掛けて求める見方も誤りで、CVA の分は CVA リスク相当額から求めます。なお、適格中央清算機関を相手にした取引は、CVA の対象外です。

    詳しくは: リスク・アセット(RWA)

  3. 問 3

    架空の例として、オプションの損益を、前日の感応度に動きを掛けて分けます(ガンマの寄与は動きの 2 乗 × ガンマ ÷ 2)。デルタは 1 円で 10 万円、ガンマは動き 1 円の 2 乗あたり −2 万円、ベガはボラティリティ 1% で 20 万円、セータは 1 日 −8 万円です。原資産が 4 円、ボラティリティが 2% 上がり、実際の損益が +45 万円で、説明できない損益は何万円ですか。

    正解と解説

    正解: D

    デルタの寄与は 10 × 4 = 40 万円です。ガンマの寄与は 0.5 × (−2) × 4 × 4 = −16 万円です。ベガの寄与は 20 × 2 = 40 万円で、セータの寄与は −8 万円です。4 つの合計は 56 万円で、これが説明できた損益です。

    説明できない損益は、実際の損益から説明できた損益を引いた値なので、45 − 56 = −11 万円です。説明できた損益から実際の損益を引くと、符号が逆の +11 万円になります。ガンマの寄与を 2 で割り忘れると、説明できた損益が 40 万円になり、+5 万円になります。セータを数え忘れると、説明できた損益が 64 万円になり、−19 万円になります。

    詳しくは: 損益の要因分析

  4. 問 4

    銀行が、担保の契約がない取引の CVA を、規制上の適格ヘッジ手段でヘッジしました。この取引の KVA は、どうなりますか。

    正解と解説

    正解: B

    KVA の所要資本には CVA 資本が入ります。適格ヘッジで CVA 資本の賦課が減れば、CVA 資本に対する KVA も軽くなります。CVA 資本が減った分だけ、KVA も減ります。

    CVA 資本が所要資本に入らないという見方は誤りで、CVA 資本は KVA の所要資本に入ります。ヘッジ取引にも資本がかかる場合はありますが、全体の資本が増えるとは限りません。取引相手のデフォルトへの資本が、CVA 資本と同じだけ減るわけでもありません。取引相手のデフォルトへの資本や市場リスクの資本の分は残り、KVA がゼロになることもありません。

    詳しくは: 資本評価調整(KVA)

  5. 問 5

    銀行のレバレッジ比率の分母(告示でいう総エクスポージャーの額)は、自己資本比率の分母の RWA と、どう違いますか。

    正解と解説

    正解: A

    レバレッジ比率は、リスク・ウェイトを使わない簡素な指標として、自己資本比率を補うために設けられました。分母の総エクスポージャーは、オン・バランス資産、デリバティブ取引等、レポ取引等、オフ・バランス取引の 4 つの額を足して求めます。分子は Tier 1 資本で、普通株式等 Tier 1 資本とその他 Tier 1 資本の合計です。

    リスク・ウェイトを掛けるのは RWA の側です。デリバティブを分母から外す見方も、総資産の額そのものを分母にする見方も、分子を普通株式等 Tier 1 資本だけにする見方も誤りです。デリバティブ取引等の額も、別の方式で測って分母に入れます。

    詳しくは: レバレッジ比率

  6. 問 6

    2016 年 3 月の米国の連邦準備制度理事会、連邦預金保険公社(FDIC)、通貨監督庁(OCC)の指針に基づくと、銀行の資金移転価格(FTP)とは何を指しますか。

    正解と解説

    正解: C

    FTP は、中央の管理部門が、取引を始めた時点で測った資金のコストと便益を、事業部門、商品、活動に割り当てる手続きです。社内の資金の値決めで、事業部門の採算の測定などに使います。

    国をまたぐグループ内の取引に課税上付ける価格は、税務の移転価格で、FTP とは別のものです。割り当てるのは資金調達のコストと偶発的な流動性のコストの 2 つで、ストレス時の流動性のコストだけではありません。取引の満期までに持つ規制資本のコストを時価に入れる調整は KVA です。KVA は取引の時価に入れる調整で、FTP は事業部門に割り当てる社内の計算である点が違います。

    詳しくは: 社内の資金移転価格(FTP)