ある金融機関が、同じ相手と金利スワップを何本か結びます。ISDA マスター契約のような基本契約書と確認書は、どのように使い分けますか。
理解度チェック: 契約書
最終確認日: 2026年10月3日
下書きです。公開前の確認のために表示しています。
「契約書」の章の内容を確かめる 5 問の問題です。選択肢を選んで「回答する」を押すと、正解と解説が出ます。「正解と解説」を開いて、先に答えを見ることもできます。
問 1
正解と解説
正解: B
基本契約書は、同じ相手と今後結ぶ取引すべてに共通する条件を、あらかじめ 1 回で決めておく契約書です。たとえば、金利スワップ 2 本と通貨スワップ 1 本を結んでも、基本契約書が 1 つあれば 3 本は同じ条件の下に置かれます。取引ごとに取り交わすのは、その取引の条件を書いた確認書です。2002 年ごろの店頭デリバティブの市場では、取引の相手ごとに基本契約書を結ぶのが通例でした。基本契約書を取引ごとに作り直す使い方や、取引ごとの条件を基本契約書に書き込んで確認書を取り交わさない使い方は、この分け方と違います。確認書を相手ごとにまとめて取り交わす使い方も、取引ごとに取り交わす分け方と違います。
詳しくは: ISDA マスター契約とスケジュール
問 2
正解と解説
正解: D
一括清算では、基本契約書に基づく取引の評価額を、プラスもマイナスも合算して 1 つの金額にします。日本の一括清算法も、基本契約書に基づく全取引の評価額を合算して 1 つの債権か債務にすることを、一括清算と定めています。同じ日の同じ通貨の支払いを差し引いて 1 本にするのは、支払いのネッティングです。ネッティングの条項のうち、一括清算とは別の仕組みです。評価額がプラスの取引だけ、または債務を履行していない取引だけを合算する形は、プラスもマイナスも含めた全取引を合算する一括清算と合いません。
詳しくは: ISDA マスター契約とスケジュール
問 3
架空の例として、CSAで、閾値は双方 5 億円、最低受渡額は 1 億円、担保は現金だけでヘアカットなしと決めています。金融機関から見た取引の時価の合計が 8 億円で、金融機関が今受け取っている担保はありません。このとき、相手が新たに差し入れる額はいくらですか。
正解と解説
正解: C
閾値は、相手に担保の差し入れを求めない限度額です。担保で埋めるのは、時価が閾値を超えた分だけです。時価 8 億円から相手の閾値 5 億円を引くと 3 億円です。今ある担保はないため、必要な担保と今ある担保の差も 3 億円です。この 3 億円は最低受渡額の 1 億円を超えるので、受け渡します。時価の全額(8 億円)は、閾値の範囲に収まる分も含めた額で、閾値を引いていません。閾値の額(5 億円)は、担保を求めずにリスクを持つ範囲の大きさで、求める額ではありません。2 億円は、3 億円から最低受渡額の 1 億円を引いた額です。最低受渡額は、これを超えたときだけ受け渡すための下限で、必要な額から引く額ではありません。
詳しくは: CSA(担保契約)
問 4
架空の例として、日本の証拠金規制の対象の変動証拠金で、双方が計算した担保の額が食い違いました。金融機関は相手に 12 億円の差し入れを求め、相手は同じ向きで 8 億円と計算したとします。CSA の紛争解決の条項が「争いのない額」を受け渡す方法を定めているとき、まず受け渡す額はいくらですか。
正解と解説
正解: A
日本の内閣府令は、変動証拠金の額に差異があるとき、当事者があらかじめ約した方法で算出した額を受け渡すと定めています。2015 年 12 月の意見募集では、その実務の方法として、双方の算定額の平均を使う方法と、争いのない額を使う方法が挙がりました。争いのない額は、双方の算定額のうち小さい方です。この例では、小さい方の 8 億円です。10 億円は、平均を使う契約での額です。12 億円は、金融機関の算定額で、相手の算定額とは食い違っています。4 億円は、12 億円と 8 億円の差で、差異の額を受け渡す額と取り違えた値です。なお、双方の受け渡しの方向が違うときは、争いのない額は 0 です。
詳しくは: CSA(担保契約)
問 5
架空の例として、ある会社が、ISDA マスター契約を結んでいる相手として、批准した A 銀行と、批准していない B 社を持っているとします。この会社が ISDA プロトコルのうち IBOR フォールバック・プロトコルに批准したとき、B 社との契約はどうなりますか。
正解と解説
正解: C
IBOR フォールバック・プロトコルは、批准した当事者の間の対象の契約を、一斉に修正します。相手が批准していなければ、その相手との契約には修正が及びません。B 社と同じ内容にしたいときは、両社がフォールバック条項を入れるための相対の契約(個別の契約)を結びます。批准の単位は、批准した当事者の間の取引すべてで、取引ごとには批准できません。また、このプロトコルは、批准した当事者の間の既存の契約を修正します。新しい取引に適用されるフォールバック条項は、定義集の追補として別に用意されました。なお、批准の状況は ISDA が公表する一覧で確かめられます。
詳しくは: ISDA プロトコル