架空の例として、額面 100 万円、期間 1 年のEB 債(他社株転換債)は、年 6% の利息を満期に現金で受け取ります。株価が一度でもノックイン価格の 2,800 円以下になり、満期の株価が当初価格の 4,000 円を下回れば、額面÷当初価格の株数で償還され、他は額面の現金です。株価が途中 2,600 円まで下がり満期に 3,000 円だったとき、配当と税を除く損益は、利息込みでいくらですか。
理解度チェック: 仕組債
最終確認日: 2026年9月25日
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「仕組債」の章の内容を確かめる 7 問の問題です。選択肢を選んで「回答する」を押すと、正解と解説が出ます。「正解と解説」を開いて、先に答えを見ることもできます。
問 1
正解と解説
正解: D
損益は 19 万円の損失です。期間中にノックインし、満期の株価 3,000 円が当初価格 4,000 円を下回っているため、株式で償還されます。株数は 100 万円 ÷ 4,000 円 = 250 株で、満期の株価によらず決まっています。250 株の時価は 250 株 × 3,000 円 = 75 万円です。利息 6 万円を足した受け取りは 81 万円で、損益は 81 万円 − 100 万円 = −19 万円です。
6 万円の利益は、満期の株価がノックイン価格を上回っているので額面で償還されると考えた値です。そうした型もありますが、この問題の条件では、満期の株価を当初価格と比べます。25 万円の損失は、利息 6 万円を足し忘れた値です(75 万円 − 100 万円)。29 万円の損失は、株式の時価を期間中の最安値の 2,600 円で計算した値です(250 株 × 2,600 円 + 6 万円 − 100 万円)。交付される株式の時価は、満期の株価で決まります。
ノックインしなければ、満期の株価によらず額面の 100 万円で償還され、損益は利息の 6 万円の利益です。株価が当初価格を上回っても、受け取りは利息までです。EB 債の投資家は、対象株式のプット・オプションのうち、ノックインした後にだけ効くノックイン・プットを売ったのと同じ立場にいます。
詳しくは: EB 債(他社株転換債)
問 2
架空の例として、額面 100 万円、期間 5 年、クーポンなしで、日経平均株価に連動する元本確保型の株価指数連動債があります。当初価格の日経平均株価は 10,000 円で、満期の償還額は額面に、100 万円 × 50% × 指数の上昇率を足した額です(下がったときの上乗せは 0 円)。この債券を 2 つの取引の組み合わせとして見るとき、正しいものはどれですか。
正解と解説
正解: B
満期に額面を返す割引債と、指数のコール・オプションの買いの組み合わせです。額面に上乗せされる額は、指数が当初価格以下なら 0 円で、当初価格を超えると上昇分に応じて増えます。この形は、行使価格を当初価格にした指数のコールの買いと同じです。例えば 5 年の割引債の価格が 90 万円なら、投資家が払う 100 万円のうち残りの 10 万円が、コールの代金と費用に充てられる計算です。
プットの売りでは、指数が下がると受け取りが減ります。これはノックイン付きの型で、ノックインして満期の指数が当初価格を下回ったときの償還額の減り方です。プットの買いでは、指数が下がると受け取りが増えるため、上乗せの形と逆になります。コールの売りでは、指数が上がると受け取りが減るため、これも逆です。
満期の指数が 14,000 円なら上昇率 40% の半分の 20% が上乗せされ、償還額は 120 万円です。8,000 円なら償還額は額面の 100 万円ですが、5 年間クーポンを受け取っていないため、同じ期間の普通の債券より受け取りは少なくなります。額面での償還は、発行体が払えることが前提で、満期まで持ったときにだけ当てはまります。
詳しくは: 株価指数連動債
問 3
架空の例として、額面 100 万円、期間 5 年、利率 年 2%(利払いは年 1 回)で、2 年後、3 年後、4 年後の利払日に発行体が額面で期限前償還できるコーラブル債があります。2 年後の利払日に、発行体と同じ信用の残り 3 年の債券の利回りが年 1% に下がっていました。このとき起きやすいことはどれですか。
正解と解説
正解: A
発行体が期限前償還を選びやすくなります。市場の金利が債券の利率を下回っているため、発行体は債券を償還し、低い金利で借り直せるからです。投資家は償還されるかどうかを選べず、戻った資金を低い金利で運用し直すことになります(再投資のリスク)。戻った 100 万円を年 1% の 3 年の債券で運用すると、5 年間の利息は最初の 2 年の 4 万円と、その後の 3 年の 3 万円の合わせて 7 万円です。償還されなければ受け取れた 10 万円より 3 万円少なくなります。
売り戻して高い金利で運用し直すのは、投資家がプットを持つプッタブル債で、市場の金利が債券の利率を上回ったときの動きです。償還を選ばず年 2% の利息が続きやすいのは、金利が上がったときです。観測日の条件で自動で償還されるのは、早期償還条項(オートコール)が付いた債券で、コーラブル債では償還するかどうかを発行体が選びます。
2 年後の利回りが年 3% に上がっていれば、発行体は償還しにくく、投資家は 5 年間で 10 万円の利息を受け取ります。ただし、市場の利回りが年 3% のときに年 2% の債券を持ち続けることになり、途中で売ると額面より安い価格になります。
詳しくは: 早期償還条項付き債券とコーラブル債
問 4
架空の例として、転換価額 1,000 円の転換社債(CB。正式には転換社債型新株予約権付社債)を、額面 100 万円分持つ投資家がいます。満期に、発行体の株価は 500 円まで下がっていました。発行体が払えなくなっていないとき、投資家が満期に受け取るものはどれですか。
正解と解説
正解: C
投資家は額面の 100 万円の償還を受けます。CB の投資家は、発行体の株式を転換価額で買うコールを持ち、株式に換えるかどうかを自分で選びます。株式に換えると 100 万円 ÷ 1,000 円 = 1,000 株で、時価は 1,000 株 × 500 円 = 50 万円です。額面の 100 万円を下回るため、投資家は株式に換えず、額面の償還を受けます。満期の CB の価値は、株式に換えたときの価値と額面の高い方です。
1,000 株の株式を受け取ると考えるのは、EB 債との取り違えです。EB 債では、対象株式の価格が決めた価格を下回ると、額面の代わりに株式が交付されます。CB では、株価が下がったときに株式に換えるかどうかも、投資家が選びます。2,000 株は、株数を満期の株価で計算した値です。株数は額面を転換価額で割って決まります。50 万円は株式に換えたときの価値で、CB の満期の価値は額面を下回りません。
満期の株価が 1,600 円なら、投資家は株式に換え、1,000 株の価値は 160 万円です。一方で、この CB を市場で 110 万円で買っていれば、株価が 1,000 円以下のまま満期を迎えると、額面を上回って払った 10 万円が損失になります。発行体が倒産すると、利息も額面も受け取れないことがあります。
詳しくは: 転換社債(CB)
問 5
架空の例として、SPC が額面 10 億円、期間 5 年のクレジット・リンク債を発行し、払込金で年 0.5% の国債を買い担保にします。参照組織のCDSでプロテクションを売って年 1.5% を受け取り、投資家に毎年 2% の利息を払います。3 年後の利払後にクレジット・イベントが起き(即償還、利息なし)、債務の価格が額面の 30% のとき、費用なし、国債は額面売りで、利息込みの損益はいくらですか。
正解と解説
正解: B
損益は 6 億 4,000 万円の損失です。SPC は担保の国債を売り、CDS の相手方(プロテクションの買い手)に 10 億円 ×(100% − 30%)= 7 億円を払います。残りの 10 億円 − 7 億円 = 3 億円が、投資家への償還金です。毎年の利息は 10 億円 × 2% = 2,000 万円です。イベントまでの 3 年分で 6,000 万円を受け取ります。受け取りは 3 億 6,000 万円で、損益は 3 億 6,000 万円 − 10 億円 = −6 億 4,000 万円です。
7 億円の損失は、受け取った利息 6,000 万円を足し忘れた値です(3 億円 − 10 億円)。6 億円の損失は、イベントの後も満期まで 5 年分の利息 1 億円を受け取ると考えた値です(3 億円 + 1 億円 − 10 億円)。この CLN はイベントの後すぐに償還されるため、その後の利息はありません。2 億 4,000 万円の損失は、プロテクションの買い手に払う 7 億円を、投資家への償還金と取り違えた値です(7 億円 + 6,000 万円 − 10 億円)。
5 年間イベントが起きなければ、投資家は毎年 2,000 万円の利息を受け取り、満期に額面で償還されます。損益は 1 億円の利益で、同じ 10 億円で国債だけを持った場合の 2,500 万円より 7,500 万円多くなります。この差が、参照組織の信用リスクを引き受けた対価のプレミアムです。
詳しくは: クレジット・リンク債(CLN)
問 6
架空の例として、元本の償還が円建てで、クーポンが外貨建てのリバースデュアル債に、クーポンスワップを組み込んだ債券があります。額面は 100 円、クーポン率は「ドル 15% × 利払日の為替レート ÷ 123 円 − 円 9.6%」で、結果が 0% を下回れば 0% です(ゼロフロア)。利払日の為替レートが 1 ドル = 100 円のとき、その回のクーポン率に最も近いのはどれですか。
正解と解説
正解: D
クーポン率は約 2.6% です。式に 100 円を入れると、15% × 100 ÷ 123 ≒ 12.2% から 9.6% を引いて、約 2.6% になります。ゼロフロアが効くのは、式の値が 0 以下になる 78.7 円(123 × 9.6 ÷ 15)以下のときで、100 円はそれより円安のため、式の値がそのままクーポン率になります。
0% は、ゼロフロアが効くと考えた値ですが、100 円は 78.7 円を上回っています。5.4% は、為替レートが 123 円のときの値(15% − 9.6%)です。為替レートが 100 円のときは、15% に 100 ÷ 123 を掛けます。12.2% は、円の 9.6% を引き忘れた値です。
クーポン率は円安で増え、円高で減ります。利払日のレートが 160 円なら約 9.9% ですが、70 円なら 0% です。期間が長い債券では、円高の局面が続くと、低いクーポンを受け取る期間も長くなります。
詳しくは: PRDC 債
問 7
架空の例として、額面 100 万円、期間 3 年の債券は、1 年後、2 年後、3 年後の判定日に日経平均株価が基準価格 10,000 円以上なら額面の 4%(4 万円)のクーポンを払い、未満なら 0 円で、満期に額面を償還します。株価は、1 年後が 10,000 円、2 年後が 9,999 円、3 年後が 12,000 円でした。発行体が払えるとき、満期の額面を含む受け取りの合計はいくらですか。
正解と解説
正解: C
受け取りの合計は 108 万円です。1 年後は 10,000 円で基準価格以上のため 4 万円、2 年後は 9,999 円で基準価格未満のため 0 円、3 年後は 12,000 円で 4 万円です。クーポンの合計は 8 万円で、額面の 100 万円を足して 108 万円になります。クーポンは判定日ごとに 4 万円か 0 円で、基準価格を超えた幅は変えません。3 年後の 12,000 円も 10,000 円も、同じ 4 万円です。
112 万円は、3 回ともクーポンを受け取れたと考えた値です。2 年後は 1 円足りず、クーポンは 0 円です。104 万円は、ちょうど 10,000 円の 1 年後を条件に含めなかった値です。この例では「基準価格以上」なので、1 年後も 4 万円です。106 万円は、同じ期間の年 2%(毎年 2 万円)の普通の債券の受け取りの合計で、この債券の受け取りではありません。
この例では、条件を満たした日が 2 回以上なら、普通の債券を上回ります。3 回とも 10,000 円未満なら、クーポンはなく、受け取りは額面の 100 万円で、普通の債券より 6 万円少なくなります。
詳しくは: デジタル・クーポン債