架空の例として、原資産の価格 100、行使価格 100、残存期間 0.5 年、金利 1%(連続複利)のコール・オプション(コール)を 10 単位売ります。インプライド・ボラティリティ 20% のブラック・ショールズ・モデルで求めた 1 単位のデルタは 0.5422 です。デルタ・ニュートラルにするには、原資産をどう売買しますか。
理解度チェック: ヘッジ
最終確認日: 2026年9月26日
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「ヘッジ」の章の内容を確かめる 6 問の問題です。選択肢を選んで「回答する」を押すと、正解と解説が出ます。「正解と解説」を開いて、先に答えを見ることもできます。
問 1
正解と解説
正解: B
原資産を 5.422 単位買います。オプションが何単位もあるときは、1 単位のデルタに数量を掛けて、ヘッジする原資産の量を求めます。0.5422 × 10 = 5.422 です。コールの売りは原資産の価格が上がると損になるため、反対の向きに原資産を買って持ちます。このようにデルタを使ってオプションの値動きのリスクを抑える方法を、デルタ・ヘッジといいます。持ち高のデルタを 0 にした状態が、デルタ・ニュートラルです。
5.422 単位を売ると、コールの売りと同じ向きの持ち高が増え、デルタは 0 になりません。10 単位を買うのは、売った数量の全部を原資産で持つ場合で、デルタは 0 を超えてしまいます。0.5422 単位は、1 単位のデルタに数量を掛け忘れた量です。
ブラック・ショールズ・モデルで求めると、原資産の価格が 100 から 101 に上がったとき、コールの価格は 1 単位あたり 5.8760 から 6.4322 へ 0.5562 上がります。10 単位の売りでは 5.562 の損になります。買った 5.422 単位の原資産は合わせて 5.422 値上がりし、益になります。合わせると、打ち消せずに残るのは差の 0.140 の損だけです。原資産の価格が下がるときは、コールの売りが益、原資産が損になり、向きが逆になります。ただし、デルタは原資産の価格や時間の経過で変わるため、決めた時点ごとに原資産の量を直します(リヘッジ)。
詳しくは: デルタ・ヘッジ
問 2
架空の例として、原資産の価格 100、行使価格 100、残存期間 0.5 年、金利 1%(連続複利)のコールを、インプライド・ボラティリティ 20% のブラック・ショールズ・モデルの価格 5.88 で 1 単位売ります。デルタ・ヘッジを何度も繰り返し、原資産は平均して金利の率で増え、実現ボラティリティは 25%、25% で値付けした価格は 7.28 です。損益の平均は、どの値に近づきますか。
正解と解説
正解: D
損益の平均は、実現ボラティリティ(実際に起きた値動きの大きさ)で値付けしたオプションの価格と、売った価格の差に近づきます。売った価格 5.88 から、実現ボラティリティ 25% で値付けした価格 7.28 を引くと、5.88 − 7.28 = −1.40 です。オプションの価格はボラティリティが高いほど高いため、売ったときのインプライド・ボラティリティより実現ボラティリティが大きいと、デルタ・ヘッジした売り手は平均して損をします。
ほぼ 0 になるのは、実現ボラティリティがインプライド・ボラティリティと同じ 20% のときです。デルタ・ヘッジをしても、2 つのボラティリティが違えば、損益の平均は 0 になりません。5.88 の利益は、デルタ・ヘッジで値動きの損益がすべて消え、受け取った価格がそのまま残ると考えた値です。13.16 の損失は、5.88 と 7.28 を引かずに足した値です(5.88 + 7.28 = 13.16)。
コールを買ってヘッジした側では、損益の符号が逆になり、平均しておよそ 1.40 の益です。実現ボラティリティが 15% なら、15% で値付けした価格は 4.4730 です。売った価格を小数第 4 位まで書くと 5.8760 で、売り手の損益の平均は 5.8760 − 4.4730 = 1.4030 です。およそ 1.40 の益になります。どの場合も平均の値で、1 本 1 本の経路の損益は、原資産の価格がたどった経路によって平均の周りにばらつきます。
詳しくは: デルタ・ヘッジ
問 3
架空の例として、原資産の価格 100、行使価格 100、残存期間 1 年、金利 1%(連続複利)、インプライド・ボラティリティ 20% のコールを 1 単位買い、デルタ・ヘッジしています。ブラック・ショールズ・モデルのガンマは 0.0197 です。1 日(1 年を 365 日)で原資産の価格が 100 から 98.5 に下がったとき、ガンマとセータに分ける近似式で見積もった損益はいくらですか。
正解と解説
正解: C
損益はおよそ 0.0114 の利益です。デルタ・ヘッジしたオプションの買いの、短い期間 の損益は次の式で近似できます。 はガンマ、 は原資産の価格、 は値動き、 はインプライド・ボラティリティです。
は、0.5 × 0.0197 × 100 × 100 = 98.5 です。値動きの率の 2 乗は、0.015 × 0.015 = 0.000225 です。インプライド・ボラティリティが見込んだ分は、0.2 × 0.2 ÷ 365 = 0.00010959 です。差の 0.00011541 に 98.5 を掛けると 0.011368 で、およそ 0.0114 の利益になります。
値動きの率が 2 乗で入るため、上げでも下げでも同じ大きさなら、式で見積もった損益は同じです。原資産の価格が下がるとコールは値下がりしますが、デルタ・ヘッジで売った原資産の益で打ち消されるため、0.0114 の損失にはなりません。0.0222 の利益は、インプライド・ボラティリティが見込んだ分(セータのうち、デルタ・ヘッジの現金につく金利に見合う分を除いた価値の減り)を引き忘れた値です(98.5 × 0.000225 = 0.0222)。0.0108 の損失は、値動きがない日の損益で、デルタ・ヘッジで値動きの損益がすべて消えると考えた値です。
損益が 0 になる値動きは、原資産の価格 100 なら 1.05 ほどです。それより小さい値動き、たとえば 0.5 の日は、98.5 × (0.000025 − 0.00010959) = −0.0083 で、およそ 0.0083 の損失です。コールを売ってデルタ・ヘッジした持ち高では、同じ日の損益の符号が逆になります。
詳しくは: ガンマとベガの管理
問 4
架空の例として、コールの売りと買いを組み合わせて、持ち高全体のベガをほぼ 0 にしました。ブラック・ショールズ・モデルで求めた満期ごとのベガ(インプライド・ボラティリティ 1% あたり)は、3 か月が 5.629、1 年が −39.448、2 年が 33.813 です。2 年のインプライド・ボラティリティだけが 1% 下がったとき、ベガで見積もった損益はいくらですか。
正解と解説
正解: B
損益はおよそ 33.81 の損失です。2 年のベガ 33.813 に、ボラティリティの変化 −1 を掛けると、33.813 × (−1) = −33.813 です。ほかの満期のボラティリティは動かないため、3 か月と 1 年のベガからは損益が出ません。
ほぼ 0 になるのは、3 つの満期のインプライド・ボラティリティがそろって 1% 動くときです。合計のベガを 0 にしても満期ごとのベガは残るため、満期ごとにボラティリティが違って動くと損益が出ます。33.81 の利益は、2 年のボラティリティが 1% 上がったときの損益です。39.45 の利益と 39.45 の損失は、動く満期を 1 年と取り違えた値で、1 年のボラティリティだけが 1% 下がると利益、1% 上がると損失になります。
インプライド・ボラティリティは満期ごとに市場で値が付くため、持ち高のベガは満期ごとに分けて測ります。
詳しくは: ガンマとベガの管理
問 5
満期の近くのデジタル・オプションを売ってデルタ・ヘッジする金融機関が負うピン・リスクは、どのようなリスクですか。
正解と解説
正解: A
ピン・リスクは、満期の近くで原資産の価格が行使価格の近くにあるとき、ヘッジの損失や売買の費用が、売ったデジタルの最大の支払額を上回りうるリスクです。デジタルのデルタは、価格が行使価格の近くにあるまま満期が近づくと限りなく大きくなり、理論どおりのヘッジは大きな数量の売買を急いで繰り返すことを求めます。
スマイルの傾きによる価格の違いと、モデルの選び方によるヘッジの量の違いは、どちらも前提とするモデルの違いから生じるもので、価格が行使価格の近くを行き来することからは生じません。指数と銘柄の相関が想定どおりでないことによるヘッジの誤差は、相関に頼るヘッジの問題です。
詳しくは: エキゾチック商品のヘッジの難しさ
問 6
架空の例として、行使価格 100 円、バリア 120 円、満期 1 か月のアップ・アンド・アウト・コール(バリア・オプション。バリアは常に監視され、払い戻しはありません)を 1 単位売り、デルタ・ヘッジしています。ブラック・ショールズ・モデルのデルタは、110 円で 0.158、115 円で −0.845 です。110 円から 115 円に上がる間に、ヘッジの持ち高を差し引きでどう変えますか。
正解と解説
正解: C
原資産をおよそ 1.003 単位売ります。コールを売った側のヘッジの持ち高は、売ったコールのデルタと同じ数量を、反対の向きに持つ量です。110 円では 0.158 単位を買って持ち、115 円ではデルタが負なので 0.845 単位を売って持ちます。買い持ちの 0.158 単位から売り持ちの 0.845 単位に変わるため、差し引きで売る量は 0.158 + 0.845 = 1.003 単位です。バリアに近づくほど、価格が上がると権利が消える見込みが強まり、デルタの符号が変わります。
0.845 単位を売るのは、115 円での持ち高だけを見て、110 円で持っていた買い持ちを数え忘れた量です。0.687 単位を買うのは、2 つのデルタの大きさを符号を無視して引いた値(0.845 − 0.158 = 0.687)です。0.038 単位を買うのは、バニラ・コールのデルタ(110 円で 0.955、115 円で 0.993)の差で、価格が上がるほど買い増すというバニラの感覚で答えた値です。
ヘッジの対象と合わせた結果は、小さな値動きなら打ち消し合います。たとえば 110 円から 0.01 円上がると、売ったコールは 0.158 × 0.01 = 0.00158 の損、買い持ちの原資産は 0.00158 の益で、合わせて 0 です。115 円から 0.01 円上がると、売ったコールは 0.845 × 0.01 = 0.00845 の益、売り持ちの原資産は 0.00845 の損で、やはり合わせて 0 です。ただし、これは連続して費用なしで売買できる前提で、実際にはバリアの近くの大きなデルタの変化が、そのままヘッジの誤差と費用になります。
詳しくは: エキゾチック商品のヘッジの難しさ