対数正規分布では、値 の自然対数 が正規分布に従います1。正規分布は負の値もとりますが、対数を戻した は 0 から無限大の範囲の値しかとりません1。たとえば なら 、 のように負でも は約 0.14 で、0 以下にはなりません。
価格のモデルでは、対数収益率(連続複利の収益率)が正規分布に従うと考えると、価格は対数正規分布に従い、負の値になりません。講義資料は、これを対数収益率が好まれる理由の 1 つ(有限責任の原則との整合)に挙げ、ブラック・ショールズ・モデルなどが使う対数正規モデルとも整合するとしています2。
ただし、実際の株式収益率は、正規分布と比べて極端なマイナスの値をとる可能性が高く、裾野が厚い(極端な値が出る確率が大きい)と、同じ資料は指摘しています3。対数正規分布は、ブラック・ショールズ・モデルなどが置く仮定であり、実際の分布そのものではありません。
注
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NIST/SEMATECH e-Handbook of Statistical Methods「Lognormal Distribution」(1.3.6.6.9)。冒頭の定義(Y = ln(X) が正規分布に従うとき X は対数正規分布に従う)と、Common Statistics の Range(0 から ∞)。 ↩ ↩2
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祝迫得夫「Lecture 2」(一橋大学経済研究所)p2「なぜ対数リターンの方が好ましいのか?」の (1)(有限責任の原則との整合性)と (3)(ブラック・ショールズ等で用いられる対数正規モデルとの整合性)。ページは PDF のページ。 ↩
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同じ資料 p3「株式収益率の分布について,対数正規性を仮定することの問題点」の (1)(極端なマイナスの値)と (2)(裾野の厚い分布)。 ↩