デリバティブ取引の中途解約で解約清算金が生じるなら、金融機関は約定の前に、その旨と、最悪のシナリオを想定した試算額を書面で説明します1。取引の時価は、取引の途中ではプラスにもマイナスにもなり、一方が相手に時価を払うと取引を途中で終えられます。時価は取引の費用を除いて計算した値です2。期限前に終了した取引の清算金をめぐる議論では、時価に加わるものとして、同じ取引を新たに結ぶ金融機関が負う信用のコストと、ビッド・アスク・スプレッドが挙げられています3。
想定元本 10 億円の金利スワップで固定金利を払う顧客が、時価 −2,000 万円のときに中途解約し、加わるコストが 200 万円の架空の例で考えます。顧客は 2,200 万円を払います。時価が +1,500 万円なら、コストを差し引いた 1,300 万円を受け取ります。
全国銀行協会の苦情の事例には「中途解約清算金」という表記もあります4。
注
-
金融庁「主要行等向けの総合的な監督指針」(2026 年 10 月)のⅢ-3-3-1-2(2)①イ.b(217〜218 ページ)。 ↩
-
Society of Actuaries "Interest Rate Swaps"(2017 年 5 月)の 6 章 "Market Value"(15 ページ)の本文と脚注 8。 ↩
-
全国銀行協会 金融法務研究会「デリバティブ取引に係る諸問題と金融規制の在り方」(2018 年 3 月)の第 2 章(神田秀樹)の「6 店頭デリバティブ取引におけるネッティング後の損害の額の算定」の「(3)コメント」(36〜37 ページ)。 ↩
-
全国銀行協会「全国銀行協会紛争解決等業務の実施状況(平成23年度第2四半期)」の「⑻デリバティブ業務」(8 ページ)。 ↩