金利スワップや債券、貸出の利息を計算し、支払額を確認する担当者は、契約で決めた日数計算の慣行に沿って利息を求めます。

利息は期間を年に直して計算する

利息は、期間の日数を年に直した値を、元本と金利に掛けて求めます。元本 1 億円を金利 2% で、2026 年 3 月 15 日から 8 月 31 日まで運用する架空の例で考えます。この期間の実際の日数は 169 日です。169 日を 360 で割ると 0.469444 年で、利息は 1 億円 × 2% × 169 ÷ 360 の 938,889 円です。365 で割ると 0.463014 年で、利息は 926,027 円になります1。

同じ期間と金利でも、1 年を何日とみなすかで利息が 1 万 2 千円あまり違います。このように、期間の日数の数え方と、それを 1 年の何分の何とみなすかを決めたものを日数計算の慣行といいます。欧州銀行連盟(EBF)などが提供する契約書式(European Master Agreement)では2、利息の計算に日数計算の割合(Day Count Fraction)を使います。固定金利の利息は、元本、固定金利、当事者が選んだこの割合の 3 つを掛けた金額です3。この計算は、期間の中では利息に利息を付けない単利の計算で、利息に利息を付ける複利とは違います。

期間の日数は、開始日を含め、終了日を含めずに数えます4。例の期間なら、3 月は 15 日から 31 日までの 17 日、4 月から 7 月は 30 日、31 日、30 日、31 日、8 月は 1 日から 30 日までの 30 日です。合わせて 169 日になります。

Act/360 と Act/365F

Act/360 と Act/365F は、期間の実際の日数(Actual)を数え、Act/360 は 360 で、Act/365F は 365 で割って年に直します5。Act/365F の F は Fixed の頭文字で、うるう年でも 365 で割ることを表します。Actual/365(Fixed) や Actual/Fixed 365 とも書かれます。

実際の日数が同じなら、360 で割る Act/360 のほうが年に直した期間が長くなり、金利がプラスなら利息も大きくなります。その比は 365 ÷ 360 で約 1.014 倍です。2026 年 1 月 1 日から 2027 年 1 月 1 日までの 365 日で、元本 1 億円、金利 2% なら、Act/365F の利息は 1 年分の 2,000,000 円です。Act/360 では 365 ÷ 360 の 1.013889 年とみなすため、利息は 2,027,778 円になります。

深掘りうるう年を 366 日で数える慣行

Act/365F とは別に、うるう年には 366 で割る慣行もあります。EBF の契約書式の「Actual/365 or Actual/Actual」という名前の慣行は、実際の日数を 365 で割り、うるう年なら 366 で割ります。期間の一部がうるう年にかかるときは、うるう年でない部分の日数を 365 で、うるう年の部分の日数を 366 で割り、2 つを足します6。Act/365F はうるう年でも 365 で割るため、うるう年にかかる期間では 2 つの慣行の結果が違います。

30/360 と 30E/360

30/360 と 30E/360 は、実際の暦にかかわらず、1 か月を 30 日、1 年を 360 日とみなして日数を数えます。米国の地方債の規則を定める MSRB(Municipal Securities Rulemaking Board)の規則 G-33 では、年の差に 360 を、月の差に 30 を掛け、日の差を足して日数を求めます7。例の期間は、年の差が 0、月の差が 5(3 月から 8 月)なので、月の分は 150 日です。

2 つの慣行の違いは、31 日の扱いです。30/360 は、開始日が 31 日なら 30 日に直します。終了日が 31 日のときは、開始日が 30 日か 31 日の場合に限って、終了日も 30 日に直します7。30E/360 は、開始日と終了日が何日かにかかわらず、どの月も 30 日として数えます。そのため、開始日も終了日も、31 日なら 30 日として扱います89。

数え方 30/360 30E/360
年の差 × 360(日) 0 0
月の差 × 30(日) 150 150
開始日(直した後) 15 15
終了日(直した後) 31 30
日の差(日) 16 15
期間の日数(日) 166 165

例の期間は、開始日が 15 日なので、30/360 では終了日の 31 日を直さず、日の差は 16 日です。30E/360 では終了日を 30 日に直すため、日の差は 15 日になります。

計算例:4 つの慣行で利息を比べる

元本 1 億円、金利 2%、2026 年 3 月 15 日から 8 月 31 日までの例で、4 つの慣行の利息を並べると、Act/360 がいちばん大きく、30E/360 がいちばん小さくなります。利息は、元本 1 億円に金利 2% と年に直した期間を掛けて求めます。

慣行 期間の日数(日) 1 年の日数(日) 年に直した期間(年) 利息(円)
Act/360 169 360 0.469444 938,889
Act/365F 169 365 0.463014 926,027
30/360 166 360 0.461111 922,222
30E/360 165 360 0.458333 916,667

いちばん大きい Act/360 といちばん小さい 30E/360 の差は 22,222 円です1。利息は元本と金利に比例するため、元本が 10 倍の 10 億円なら、差も 10 倍の 222,222 円になります。

期間によって入れ替わる慣行の大小

どの慣行の利息が大きいかは、期間がどの月を含むかで入れ替わります。2026 年 2 月 15 日から 3 月 15 日までの 1 か月なら、実際の日数は 28 日ですが、30/360 と 30E/360 では 30 日と数えます。元本 1 億円、金利 2% の利息は、30/360 と 30E/360 がどちらも 166,667 円、Act/360 が 155,556 円、Act/365F が 153,425 円です。30 日と数える 2 つの慣行がいちばん大きくなります。

3 月から 8 月の例で Act/360 の利息が大きかったのは、期間に 31 日の月が多く、実際の日数が 30 日ずつ数えた日数より多かったためです。反対に、2 月 15 日から 3 月 15 日のように 2 月の月末をまたぐ 1 か月では、2 月の実際の日数(28 日、うるう年は 29 日)が 30 日より少ないため、30 日ずつ数える慣行の日数のほうが多くなります。Act/360 と Act/365F の大小は、期間によって入れ替わりません。

シミュレーター日数計算の慣行による利息の違い
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元本 1 億円の利息(円)

Act/360938,889Act/365F926,02730/360(ISDA)922,22230E/360916,667
Act/360(169 日 ÷ 360 = 0.469444)
利息 938,889、割引係数 0.9907
Act/365F(169 日 ÷ 365 = 0.463014)
利息 926,027、割引係数 0.9908
30/360(ISDA)(166 日 ÷ 360 = 0.461111)
利息 922,222、割引係数 0.9909
30E/360(165 日 ÷ 360 = 0.458333)
利息 916,667、割引係数 0.9909

単純化している点

  • 元本は 100,000,000(1 億円)で、単利の利息と割引係数 1 ÷(1 + 金利 × 年換算の期間)を出します。
  • 30/360(ISDA)は 2006 ISDA Definitions の 4.16(f)、30E/360 は 4.16(g) です。2 月の月末についての調整(契約書式ごとに違い、30E/360(ISDA)の調整もその 1 つ)は扱いません。
  • 営業日の調整(休日の繰り延べ)はしません。

このシミュレーターは学習のために単純化した計算で、実際の取引の評価やリスク管理には使えません。(免責事項)

シミュレーターの説明

開始日、終了日、金利を変えると、慣行ごとの日数、年に直した期間、利息、単利の割引係数が変わります。このシミュレーターでは、30/360 を「30/360(ISDA)」と表示します。開始日を 2026 年 3 月 30 日にすると、30/360(ISDA)も終了日の 31 日を 30 日に直すため、2 つの 30/360 の日数が一致します。開始日を 2026 年 2 月 15 日、終了日を 3 月 15 日にすると、30 日と数える 2 つの慣行の利息がいちばん大きくなります。

慣行を決める契約、清算機関の条件、規則

どの慣行を使うかは、取引の契約で当事者が決めます5。清算機関の条件や業界の規則が慣行を定めている取引もあります。また、米ドルの翌日物の金利 SOFR を公表するニューヨーク連邦準備銀行は、SOFR の平均と指数を、米ドルの短期金融市場の慣行に合わせて計算すると説明しています10。

取引 日数計算の慣行 根拠
日本円の金利スワップのうち、日本証券クリアリング機構(JSCC)で清算するものの変動金利 Act/365F JSCC の清算の対象になる取引の条件11
米ドルの短期金融市場(SOFR の平均と指数の計算) Act/360 ニューヨーク連邦準備銀行の SOFR の平均と指数の説明10
米国の地方債の取引での経過利息などの計算 30/360 MSRB 規則 G-3312

JSCC は、固定金利の側は ISDA の定義集に定めた慣行であればよいとしており、変動金利の側と同じ慣行にすることは求めていません11。日本円の OIS の計算例では、固定金利の支払額は 100 億円 × 0.08% × 14 ÷ 365 の 306,849 円です。実際の日数を 365 で割っています13。

前提と限界

計算例は、開始日と終了日を決まった日付として数えています。実際の取引では、利払日が休日に当たると日付を営業日にずらす営業日の調整を契約で決めることがあります。JSCC の清算の条件も、使える調整の方法を挙げています15。日付がずれると期間の日数も変わります。営業日の調整は営業日の調整と休日カレンダーで扱います。シミュレーターは営業日の調整をしません。また、期間が 2 月の月末で終わるときの扱いを別に定めた契約書式もありますが16、シミュレーターはこの扱いもしません。

日本円の OIS は、変動金利として、一定期間の無担保コール O/N 物レートを複利で計算したものを使います17。この 1 日ごとの計算にも日数計算の慣行を使います。日本円の OIS の計算式では、月曜日が祝日でなければ、金曜日の金利に、土曜日と日曜日を含む 3 日を 365 で割った期間を掛けます4。1 日ごとの金利を複利で積み上げる計算は後決め複利の計算で扱います。

注

  1. 年に直した期間は小数第 6 位に、利息は円未満を四捨五入しています。利息は丸める前の期間から計算しています。 ↩ ↩2

  2. European Banking Federation「EUROPEAN MASTER AGREEMENT (EMA)」。正式な名前は Master Agreement for Financial Transactions で、欧州貯蓄銀行グループ、欧州協同組合銀行協会と協力して提供しています。 ↩

  3. EBF「Supplement to the Derivatives Annex, Interest Rate Transactions」(Edition 2020)の 4 条 (1)「Fixed Amounts」(2 ページ)。 ↩

  4. リスク・フリー・レートに関する勉強会「日本円OIS(Overnight Index Swap)─取引の概要と活用事例─」(2018 年 4 月)の「基本的な取引方式」(5 ページ)。実日数は「起算日算入、満期日不算入」で、金曜日の金利には土日を含む 3 日を当てます。 ↩ ↩2

  5. EBF の Supplement の 4 条 (7)「Day Count Fraction」の (b)「Actual/360」と (g)「Actual/Fixed 365」(3 ページ)。 ↩ ↩2

  6. 同じ資料の 4 条 (7) の (f)「Actual/365 or Actual/Actual」(3 ページ)。 ↩

  7. Municipal Securities Rulemaking Board「Rule G-33: Calculations」の (e)(ii)「Day Count Formula」。同じ項は、期間の日数を、開始日を含め、終了日を含めずに数えるとしています。 ↩ ↩2

  8. European Investment Bank「Offering Circular, European Investment Bank Debt Issuance Programme」(2025 年 11 月 28 日)の「Day Count Fraction」(28〜29 ページ)。 ↩

  9. International Bank for Reconstruction and Development「Prospectus (Global Debt Issuance Facility)」(2021 年 9 月 24 日)の Condition 5(l) の (vi)(26 ページ)。 ↩

  10. Federal Reserve Bank of New York「Additional Information about Reference Rates」の SOFR Averages and Index の計算方法の説明。実際の暦日数を使い、1 年を 360 日とみなします。 ↩ ↩2

  11. 日本証券クリアリング機構「清算対象取引(金利スワップ)」の「11.日数計算式」。資料は変動金利(OIS と日本円 TIBOR)の慣行を「Actual/365(Fixed)」と書き、変動金利の種類は同じページの「4.変動金利の種類」にあります。 ↩ ↩2

  12. Municipal Securities Rulemaking Board「Rule G-33: Calculations」の (e)(i)「Day Count Basis」。償還時にだけ利息を払う証券は、発行者が選んだ慣行で計算するとしています。 ↩

  13. 勉強会の資料の「金利の計算例」(6 ページ)。 ↩

  14. 本文の計算例の値の差を取っています。丸めた利息(916,667 円と 926,027 円)の差の 9,360 円を書いています。 ↩

  15. 日本証券クリアリング機構「清算対象取引(金利スワップ)」の「12.営業日調整」。 ↩

  16. EBF の Supplement の 4 条 (7) の (c)「30E/360」と (d)「30/360」(3 ページ)。European Investment Bank の Offering Circular の「Day Count Fraction」(28〜29 ページ)も 2 月の月末を定めます。 ↩

  17. 勉強会の資料の「2.OIS とは何か」(3 ページ)。 ↩