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デリバティブ・コンパス

理解度チェック: 数学の準備

最終確認日: 2026年10月4日

下書きです。公開前の確認のために表示しています。

「数学の準備」の章の内容を確かめる 6 問の問題です。選択肢を選んで「回答する」を押すと、正解と解説が出ます。「正解と解説」を開いて、先に答えを見ることもできます。

  1. 問 1

    架空の例として、今 100 円の価格の 1 年後の対数収益率が、平均 0%、標準偏差 20% の正規分布に従うとします。1 年後の価格の中央値と期待値について、正しいものはどれですか。

    正解と解説

    正解: C

    対数収益率は 0% を中心に左右対称の正規分布に従うため、価格が 100 円を上回る確率と下回る確率は半分ずつで、中央値は 100 円です。一方で、対数収益率が正規分布に従うと、価格は対数正規分布に従い、値上がりの側に長く裾を引きます。対数収益率が −20%〜+20% に入る確率は約 68.3% で、価格では約 81.87 円〜約 122.14 円の範囲です。下の幅は約 18.13 円、上の幅は約 22.14 円で、その分だけ期待値は約 102.02 円と中央値より大きくなります。

    対数収益率の平均が 0% だから価格の期待値も 100 円のままと考えると、期待値を 100 円とする選択肢を選びます。しかし、100 円になるのは中央値で、期待値は上の側の幅が大きい分だけ 100 円を上回ります。

    詳しくは: 確率・統計の基礎

  2. 問 2

    架空の例として、損益の標準偏差がどちらも 10 億円の 2 つの持ち高を合わせます。2 つの損益の相関係数が 1 より小さいとき、合計の損益の標準偏差は、2 つの標準偏差の和の 20 億円と比べてどうなりますか。

    正解と解説

    正解: C

    それぞれの分散は 10 の 2 乗の 100 です。合計の損益の分散は、100 + 100 + 2 × 相関係数 × 10 × 10 で求めます(単位は億円の 2 乗)。相関係数が 1 なら分散は 400 で、標準偏差は 2 つの和と同じ 20 億円です。相関係数が小さいほど最後の項が小さくなるため、合計の分散も小さくなり、標準偏差は 20 億円を下回ります。

    相関係数が 0 なら、分散は 200 で、標準偏差は約 14.14 億円です。相関係数が −1 なら、片方の利益ともう片方の損失が打ち消し合い、標準偏差は 0 になります。2 つの標準偏差を足した値と等しくなるのは、相関係数が 1 のときだけです。相関係数は −1 から 1 までの値をとるため、合計の標準偏差が 20 億円より大きくなることはありません。

    詳しくは: 確率・統計の基礎

  3. 問 3

    架空の例として、毎日、前の日と独立に、同じ確率で 1 円上がるか 1 円下がる価格があり、出発点から 100 日後の標準偏差は 10 円です。900 日後の標準偏差はいくらですか。

    正解と解説

    正解: A

    1 日の動きは平均 0、分散 1 で、独立な動きの和の分散はそれぞれの分散の和になります。このため、n 日後の分散は n、標準偏差はその平方根です。100 日後は分散が 100 で標準偏差が 10 円、900 日後は分散が 900 で、標準偏差は平方根の 30 円です。

    90 円は、日数が 9 倍になったから標準偏差も 9 倍になると考えた値です。日数に比例するのは分散で、標準偏差は日数の平方根に比例します。900 円は、900 日後の分散の値です。分散の単位は円の 2 乗のため、平方根をとって円の単位に戻したものが標準偏差です。

    詳しくは: ランダムウォークとブラウン運動

  4. 問 4

    日々の値動きが、前の日と同じ向きに動きやすい相場があります。1 日の標準偏差に日数の平方根を掛けて期間の標準偏差を求めると、実際のばらつきと比べてどうなりますか。

    正解と解説

    正解: B

    前の日と同じ向きに動きやすい(前の日との共分散がプラスの)相場では、期間の分散は、各日の分散の和より、日どうしの共分散の和の 2 倍だけ大きくなります。日数に比例するとして平方根で換算した値は、この共分散の分を含まないため、実際のばらつきを小さく見積もります。

    大きく見積もるのは、反対の向きに動きやすい(共分散がマイナスの)相場です。日々の値動きが独立なら平方根の換算が成り立ちますが、独立でない相場では成り立たないため、実際と同じ値にはなりません。

    詳しくは: ランダムウォークとブラウン運動

  5. 問 5

    架空の例として、株価 StS_t が dSt=μSt dt+σSt dWtdS_t = \mu S_t\,dt + \sigma S_t\,dW_t に従い、μ=5%\mu = 5\%、σ=30%\sigma = 30\% とします。WtW_t はブラウン運動です。株価の対数 ln⁡St\ln S_t の dtdt の項の係数(対数のドリフト)はいくらですか。

    正解と解説

    正解: A

    伊藤の補題を f=ln⁡Sf = \ln S に当てると、dtdt の項の係数は μ−σ2/2\mu - \sigma^2/2 です。追加の項 −σ2/2-\sigma^2/2 は、ln⁡S\ln S の 2 階微分が負(−1/S2-1/S^2)であることから出ます。σ2=0.32=0.09\sigma^2 = 0.3^2 = 0.09 で、σ2/2=0.045\sigma^2/2 = 0.045 です。したがって 0.05−0.045=0.0050.05 - 0.045 = 0.005 で、年率 0.5% です。

    5% は、μ\mu をそのまま対数のドリフトとした値で、ふつうの連鎖律が使える場合の答えです。ブラウン運動では 2 次の項が残るため、μ\mu より小さくなります。−4% は、追加の項の 1/21/2 を忘れて σ2=0.09\sigma^2 = 0.09 をそのまま引き、0.05−0.090.05 - 0.09 とした値です。9.5% は、追加の項の符号を逆にして 0.05+0.0450.05 + 0.045 とした値です。

    詳しくは: 確率微分の初歩(伊藤の補題)

  6. 問 6

    株価 StS_t がボラティリティ σ\sigma の幾何ブラウン運動に従い、金利 rr が一定のとき、現金 xtx_t と原資産の持ち高 yty_t だけで、途中の出し入れなしにオプションの価格 C(S,t)C(S, t) を複製します。dWtdW_t の項を等しく置くと、yty_t は何に等しくなりますか。

    正解と解説

    正解: B

    オプションの価格の動きの dWtdW_t の項は σS ∂C/∂S\sigma S\,\partial C/\partial S、現金と原資産の組み合わせの dWtdW_t の項は ytσSy_t \sigma S です。2 つを等しく置くと、yt=∂C/∂Sy_t = \partial C/\partial S になります。

    ∂C/∂t\partial C/\partial t と ∂2C/∂S2\partial^2 C/\partial S^2 は、dtdt の項に現れます。dtdt の項を等しく置くと、現金が金利 rr で増える分(erte^{rt} は連続複利の倍率、dtdt の係数)rxtertr x_t e^{rt} が ∂C/∂t+12σ2S2 ∂2C/∂S2\partial C/\partial t + \tfrac{1}{2}\sigma^2 S^2\,\partial^2 C/\partial S^2 に等しいという式が得られ、持ち高 yty_t ではなく現金の側が決まります。これを組み合わせの価値の式に入れて整理すると、偏微分方程式が得られます。

    詳しくは: 確率微分の初歩(伊藤の補題)