各データと平均の差(偏差)をそのまま平均するとプラスとマイナスが打ち消し合って 0 になるため、偏差を 2 乗して平均した分散で散らばりを測ります(ここでは、全データの平均をとる形で説明します)1。分散は 2 乗した値なので、もとのデータとは単位が違います。そこで、分散の正の平方根をとった標準偏差を使うと、もとの値と同じ単位で散らばりを表せます。分散が大きいほど、標準偏差も大きくなります。

ある銘柄の過去 5 日の終値が 94 円、98 円、100 円、102 円、106 円の架空の例で考えます。平均は 100 円で、偏差は −6, −2, 0, 2, 6-6,\ -2,\ 0,\ 2,\ 6 円です。偏差の 2 乗の平均が分散で、(36+4+0+4+36)÷5=16(36 + 4 + 0 + 4 + 36) \div 5 = 16 です。標準偏差はその平方根で 4 円になります。

デリバティブでは、価格の変動率の標準偏差を年率にした数値を、ヒストリカル・ボラティリティとして使います2。ボラティリティは、このように標準偏差で価格変動の大きさを表した量です。正規分布は平均と標準偏差で形が決まり3、平均から標準偏差の何倍離れているかで、値の位置を表せます4。標準偏差が大きいことは、値が平均から離れやすいことを示すだけで、上がるか下がるかの向きは示しません。

注

  1. 総務省統計局「データの散らばりを見る」(なるほど統計学園)の「標準偏差と分散」。 ↩

  2. 日本取引所グループ「ヒストリカル・ボラティリティ(HV)」(用語集)。1 営業日ごとの原資産の変動率の標準偏差を、年率に直した数値という説明。 ↩

  3. NIST/SEMATECH e-Handbook of Statistical Methods「Normal Distribution」(1.3.6.6.1)。確率密度関数が位置母数 μ(平均)と尺度母数 σ(標準偏差)で決まる。 ↩

  4. 総務省統計局「推測統計」(なるほど統計学園)の「正規分布」の節。データが正規分布なら、平均値と標準偏差から値の位置を(ほぼ正確に)読み取れるという説明。 ↩