イールドカーブを構築する業務でも、そのカーブで点の間の日付にキャッシュフローがある商品を評価する業務でも、補間の選び方で評価の値と感応度の割り振り(ヘッジ)が変わります。

補間は何を決める計算か

金利カーブのブートストラップで求めた割引係数は、1 年、2 年、5 年のように、市場の金利がある年限の分だけです。評価したいキャッシュフローは、その間の日付にも払われます。補間は、点の間の割引係数やフォワードレートを、決まった仮定で埋める計算です。市場の商品の数より求める割引係数の数が多いと連立方程式の解が決まらず、補間が曲線の形を限ることで解が決まります1。

1 年、2 年、5 年に、市場の金利から求めた点がある架空の例で考えます。ゼロレートは、スポットレートを連続複利で表した値で、割引係数は DF(t)=e−r(t) tDF(t) = e^{-r(t)\,t} です。ブートストラップの年 1 回の複利で書く rnr_n とは、複利の取り方が違います。

年限 tt(年) 割引係数 DF(t)DF(t) ln⁡DF(t)\ln DF(t) ゼロレート r(t)r(t)(%)
0 1.000000 0.00 なし
1 0.970446 −0.03 3.00
2 0.923116 −0.08 4.00
5 0.904837 −0.10 2.00

割引係数は年限とともに下がっています。0〜1 年、1〜2 年、2〜5 年の区間の平均のフォワードレートは、割引係数の対数の差から、3.00%、5.00%、0.67% です(下の式)。点の間のゼロレートや割引係数は、市場の金利からは決まらず、補間で決まります。

補間する量と、フォワードレートの関係

割引係数の対数を z(t)=ln⁡DF(t)z(t) = \ln DF(t) と書くと、ゼロレートは r(t)=−z(t)/tr(t) = -z(t)/t です。瞬間フォワードレート f(t)f(t) は z(t)z(t) の傾きの符号を変えたもの、区間 [ti−1,ti][t_{i-1}, t_i] の平均のフォワードレート fidf_i^d は、その区間の zz の差から求めます2。

f(t)=−dzdt(t)=d (r(t) t)dt,fid=−z(ti)−z(ti−1)ti−ti−1f(t) = -\frac{dz}{dt}(t) = \frac{d\,(r(t)\,t)}{dt}, \qquad f_i^d = -\frac{z(t_i) - z(t_{i-1})}{t_i - t_{i-1}}

fidf_i^d は、f(t)f(t) を区間で平均した値に等しくなります2。

割引係数、その対数、ゼロレート、フォワードレートは、式で互いに変換できます。補間する量はこのうちのどれかで、選んだ量の形が、残りの量の形を決めます。この例では、点の値を先に決めたものとして、補間は点の間だけを決めます。実際の構築では点の値も動くことがあります(「前提と限界」)。

補間の方法と式

補間を比べた資料は、Fabien Le Floc'h の論文(2013 年)と Jherek Healy の論文(2020 年)です。

点を t0<t1<⋯<tnt_0 < t_1 < \dots < t_n とし、区間 [ti−1,ti][t_{i-1}, t_i] の中の年限を tt とします。

割引係数を直線で結ぶ。 区間の中で DF(t)DF(t) を直線にします。DFDF が年限とともに下がる点だけを使えば、フォワードレート −DF′(t)/DF(t)-DF'(t)/DF(t) は正のままです。傾きが区間の中で一定でも、DFDF が下がるにつれて分母が小さくなるため、フォワードレートは区間の中で少しずつ上がり、点で飛びます。

ゼロレートを直線で結ぶ。 区間の中で r(t)r(t) を直線にします。r(t)=a+b tr(t) = a + b\,t なら、上の式から f(t)=a+2b tf(t) = a + 2b\,t です。フォワードレートは区間の中で直線的に動き、傾き bb が区間ごとに違えば点で飛びます。傾き bb が負で大きいと、フォワードレートは負になります。

割引係数の対数を直線で結ぶ。 区間の中で z(t)z(t) を直線にします。傾きが一定なので、区間のフォワードレートは平均の fidf_i^d で一定です。この方法は、Le Floc'h の論文で「raw」と呼ばれています3。

z(t)=(ti−t) z(ti−1)+(t−ti−1) z(ti)ti−ti−1z(t) = \frac{(t_i - t)\,z(t_{i-1}) + (t - t_{i-1})\,z(t_i)}{t_i - t_{i-1}}

3 次スプライン。 区間ごとに 3 次式をつなぎ、点で値と傾きと曲がり方(2 階微分)が連続になるようにします。両端の曲がり方を 0 とする条件を自然境界条件といいます。z(t)z(t) にこの方法を使うと、フォワードレートは、点でなめらかにつながる区間ごとの 2 次式になります。この 3 次スプラインは、フォワードレートを区間ごとの 2 次式でつなぐ「面積を保つ 2 次スプライン」と同じ曲線です4。点の値だけでなく、すべての点の値から連立方程式を解いて係数を決めるため、1 つの点の値の変化が、離れた区間にも及びます。

単調性を保つ補間。 区間を 3 次式でつなぎ、点での傾き sis_i を、z(t)z(t) が単調になるように選びます5。z(t)z(t) に使えば、割引係数が年限とともに下がる限りフォワードレートは正のままです6。傾きの決め方には、傾きの上限で抑えるハイマン(Hyman)のフィルターや、隣の区間の傾きの調和平均を使う方法があります。

深掘り調和平均で傾きを決める式

隣り合う区間の z(t)z(t) の平均の傾きを Di−1D_{i-1}、DiD_i とします。Di−1Di>0D_{i-1}D_i > 0 のとき、点 tit_i の傾き sis_i は、次の式の重み付きの調和平均です7。

1si=ti−ti−1+2(ti+1−ti)3(ti+1−ti−1)⋅1Di−1+2(ti−ti−1)+ti+1−ti3(ti+1−ti−1)⋅1Di\frac{1}{s_i} = \frac{t_i - t_{i-1} + 2(t_{i+1} - t_i)}{3(t_{i+1} - t_{i-1})}\cdot\frac{1}{D_{i-1}} + \frac{2(t_i - t_{i-1}) + t_{i+1} - t_i}{3(t_{i+1} - t_{i-1})}\cdot\frac{1}{D_i}

Di−1Di≤0D_{i-1}D_i \le 0 のときは si=0s_i = 0 とします。この傾きは隣の区間の値だけで決まります。両端の傾きは、3 点の式で決めてから単調になるように抑えます7。

計算例:3 点を 5 通りでつなぐ

上の 3 点を、5 つの方法でつなぎます。ゼロレートを直線で結ぶ方法は、0〜1 年を 3.00% で一定にします。3 次スプラインは z(t)z(t) に自然境界条件で、単調性を保つ補間は z(t)z(t) に調和平均の傾きで当てはめ、どちらも連立方程式か式を数値で解いた値です。次の表の値を、瞬間フォワードレート(%)と 3 年の割引係数で比べます。

補間の方法 0.5 年 1.5 年 3 年 4.5 年 3 年の割引係数
割引係数を直線で結ぶ 3.00 5.00 0.66 0.67 0.917023
ゼロレートを直線で結ぶ 3.00 5.00 1.33 −0.67 0.904837
割引係数の対数を直線で結ぶ 3.00 5.00 0.67 0.67 0.916983
3 次スプライン(自然境界条件) 2.84 5.32 1.29 −1.05 0.898117
単調性を保つ補間(調和平均) 3.06 6.23 0.89 0.22 0.912855

手で追える行は、3 つの直線の方法の行です。3 次スプラインと調和平均の行は、連立方程式や式を数値で解いた値で、ここでは手で追いません(調和平均の式は上の深掘りにあります)。割引係数の対数を直線で結ぶと、1〜2 年は平均のフォワードレート 5.00%、2〜5 年は (0.10−0.08)/3=0.67%(0.10 - 0.08)/3 = 0.67\% で一定です。3 年の割引係数は e−(0.08+0.0067)=0.916983e^{-(0.08 + 0.0067)} = 0.916983 です。割引係数を直線で結ぶと、3 年は 0.923116+(0.904837−0.923116)/3=0.9170230.923116 + (0.904837 - 0.923116)/3 = 0.917023 です。ゼロレートを直線で結ぶと、2〜5 年は r(t)=4−23(t−2)r(t) = 4 - \tfrac{2}{3}(t - 2)(%)で、3 年のゼロレートが 3.33% なので割引係数は e−0.0333×3=e−0.1=0.904837e^{-0.0333 \times 3} = e^{-0.1} = 0.904837 です。これは 5 年の割引係数と同じ値です。

3 年後に受け取る 100 の現在価値は、割引係数に 100 を掛けた値で、補間の方法によって 89.81(3 次スプライン)から 91.70(割引係数の直線)までばらつきます。上限と下限の差は約 1.9 で、点の値は 5 つの方法で同じです。補間の違いが評価の値に及ぶため、補間はモデルの前提の 1 つで、点の間の日付にキャッシュフローがある商品の評価の値は、前提の選び方で変わります。この大小は、この 3 点の形で決まった値で、ほかの形のカーブでは変わります。

図 1 は、表のうち 2 つの方法について、点の間の瞬間フォワードレートを年限の順に描いたものです。

瞬間フォワードレート(%)割引係数の対数を直線で結ぶゼロレートを直線で結ぶ−202460123451 年2 年年限(年)
図 1補間の方法による瞬間フォワードレートの違い
図の説明

同じ 3 点(1 年、2 年、5 年のゼロレートが 3%、4%、2%)を 2 つの方法でつないだ、瞬間フォワードレートです。点の 1 年と 2 年を縦線で示します。割引係数の対数を直線で結ぶ方法は、フォワードレートが 0〜1 年で 3.00%、1〜2 年で 5.00%、2〜5 年で 0.67% と、区間ごとに一定の階段になり、すべて正です。ゼロレートを直線で結ぶ方法は、0〜1 年で 3.00% のあと、1 年で約 4%、2 年の手前で約 6% まで直線的に上がります。2 年で約 2.67% に下がり、5 年の −1.33% まで直線的に下がります。3 年で 1.33%、4 年を過ぎると負です。区間の境の縦の変化は、点で値が飛ぶことを表し、1 年と 2 年の線は幅 0.02 年で描いた近似です。同じ点の値でも、補間の方法で、点の間のフォワードレートの形と符号が変わります。

シミュレーター補間の方法によるフォワードレートと現在価値の違い
入力
%
%
%
年
−2−1012345612345瞬間フォワードレート(%)年限(年)
  • 割引係数の対数を直線で結ぶ
  • 3 次スプライン(自然境界条件)

5 つの補間の現在価値と、瞬間フォワードレート(%)。点のゼロレートは同じ

補間の方法現在価値0.5 年1.5 年3 年4.5 年
割引係数を直線で結ぶ91.703.005.000.660.67
ゼロレートを直線で結ぶ90.483.005.001.33−0.67
割引係数の対数を直線で結ぶ91.703.005.000.670.67
3 次スプライン(自然境界条件)89.812.845.321.29−1.05
単調性を保つ補間(調和平均)91.293.066.230.890.22

2 年のゼロレートを 1bp 上げたときの、ゼロレートの変化(bp)

補間の方法0.5 年1.5 年3 年4.5 年
割引係数を直線で結ぶ0.000.650.450.08
ゼロレートを直線で結ぶ0.000.500.670.17
割引係数の対数を直線で結ぶ0.000.670.440.07
3 次スプライン(自然境界条件)−0.450.620.900.21
単調性を保つ補間(調和平均)−0.390.800.340.02
3 年後に受け取る 100 の現在価値
91.70
5 つの方法の現在価値の最大と最小の差
1.89
フォワードレートの最小値(0〜5 年、割引係数の対数を直線で結ぶ)
0.67%

単純化している点

  • 点は 1 年、2 年、5 年のゼロレート(連続複利、DF(t) = e^(−r·t))で、先に決めたものとして、点の間だけを補間します。実際の構築では、補間を変えると点の値も動くことがあります。
  • ゼロレートを直線で結ぶ方法は、0〜1 年を 1 年のゼロレートで一定にします。3 次スプラインと単調性を保つ補間は、割引係数の対数に当てはめます。
  • 感応度は、2 年のゼロレートを直接 1bp 動かして補間し直した値です。実際は市場の金利を動かしてカーブを作り直します。
  • 5 年より先の外挿は扱いません。点の値の組み合わせによっては、割引係数が年限とともに上がります(フォワードレートが負)。入力では止めず、最小値を結果に出します。

このシミュレーターは学習のために単純化した計算で、実際の取引の評価やリスク管理には使えません。(免責事項)

シミュレーターの説明

1 年、2 年、5 年のゼロレートと、100 を受け取る時点を動かし、補間の方法を替えて、瞬間フォワードレートの形と現在価値を見ます。初期値は上の計算例と同じで、グラフは割引係数の対数の直線(実線)と 3 次スプライン(破線)を比べます。主な線の方法を替えると、結果欄の最小のフォワードレートが負になる方法を確かめられます。表は 2 つあり、5 つの方法の現在価値と 0.5、1.5、3、4.5 年のフォワードレート、2 年のゼロレートを 1bp 上げたときのゼロレートの変化が並びます。ゼロレートの組を替えると、どの方法で最小値が負になるかが変わります。

フォワードレートが負になるか

上の表で、ゼロレートの直線と 3 次スプラインのフォワードレートは、4.5 年で負です。3 次スプラインは約 3.6 年から負になり、5 年では −1.20% です。点の割引係数は年限とともに下がっていて、点の値に裁定を示すものはありません。

ゼロレートを直線で結ぶと、r(t) tr(t)\,t は年限の 2 次式になります。区間の両端では r(t) tr(t)\,t が上がっても、区間の途中では下がることがあります。この例では r(t) tr(t)\,t が 4 年で最大の 10.67% になり、5 年の 10.00% に下がります。f(t)f(t) は r(t) tr(t)\,t の傾きなので、4 年を過ぎると負です。

フォワードレートが負だと、割引係数が年限とともに上がることを意味します。Le Floc'h の論文は、フォワードレートが正であることを、裁定のないカーブの条件の 1 つに挙げています3。一方、Healy の論文は、負の金利が現れてからは、フォワードレートを正に保つ修正を外す実務が多いと書いています8。負のフォワードレートが市場の金利から出たものか、補間の形だけから出たものかは、補間を変えて確かめます。この例の 3 次スプラインと、ゼロレートの直線は、点の値が同じでも補間の形から負になっています。割引係数の対数の直線と単調性を保つ補間は、同じ点で正のままです。単調性を保つ補間は、5 年の端でほぼ 0 になります。

補間とヘッジ

補間は、金利の変化に対する感応度の割り振りも変えます。年限別の感応度を求める方法の 1 つは、1 つの市場の金利を動かしてカーブを作り直し、持ち高を評価し直すことです9。補間が 1 つの点の変化を離れた年限まで及ぼすと、離れた年限のキャッシュフローの価値が動き、感応度が離れた年限の金利にも割り振られます。Le Floc'h の論文は、ヘッジの評価基準の 1 つに、感応度の大半が、近い満期のヘッジ手段に割り振られるかを挙げています3。

次の表は、上の 3 点のうち 2 年のゼロレートを 1bp 上げたときの、ゼロレートの変化(bp)です。実際は市場の金利を動かしてカーブを作り直しますが、ここでは点のゼロレートを直接動かす簡単な形にしました。表の 5 行の値は、いずれも数値で求めたものです。

補間の方法 0.5 年 1.5 年 3 年 4.5 年
割引係数を直線で結ぶ 0.00 0.65 0.45 0.08
ゼロレートを直線で結ぶ 0.00 0.50 0.67 0.17
割引係数の対数を直線で結ぶ 0.00 0.67 0.44 0.07
3 次スプライン(自然境界条件) −0.45 0.62 0.90 0.21
単調性を保つ補間(調和平均) −0.39 0.80 0.34 0.02

直線で結ぶ 3 つの方法では、2 年の点を動かしても 0〜1 年は動きません。3 次スプラインは、1 年より前の 0.5 年のゼロレートも動かし、符号は逆です。単調性を保つ補間も 0.5 年が −0.39bp 動きますが、2 年の点を動かした影響は主に 1 年と 2 年の点の近くに出て、4.5 年では 0.02bp です。3 次スプラインは 4.5 年でも 0.21bp 動き、ほかの方法より広く及びます。

ヘッジの割り振りが補間で変わることから、同じ持ち高でも、方法によって各年限の手段への割り振りが違います。割り振りの違いが、実際のヘッジの結果をどちらに動かすかは、市場の動き方で決まり、この例からは決まりません。

補間の選び方

補間は、Le Floc'h の論文が使う次の基準で比べます。基準 a〜e は、Hagan と West の 2006 年の論文のものとして書かれ、f は Le Floc'h が足した基準です3。Le Floc'h の論文は基準を名前でなく問いの形で書いていて、表の左の列の名前は、問いを縮めたここでの呼び名です。

基準 見るもの
a 裁定がないか フォワードレートが正か
b フォワードレートの見え方 フォワードレートが、できるだけ連続か
c 補間の局所性 1 つの入力が変わったとき、カーブが近くでだけ変わるか
d フォワードレートの安定 入力の変化に対し、フォワードレートの変化が小さいか
e ヘッジの局所性 感応度の大半が、近い満期のヘッジ手段に割り振られるか
f 逐次の感応度と平行の感応度 入力を 1 つずつ動かした感応度の合計が、全体を平行に動かした感応度に近いか

Hagan と West の単調凸の補間の中身は扱わず、Le Floc'h の論文が書く評価だけを引きます。Le Floc'h の論文の整理では、割引係数の対数を直線で結ぶ方法は、フォワードレートの連続性(基準 b)を除いて基準を満たします3。3 次スプラインは基準 a と e を満たさず、ハイマンのフィルターを重ねても基準 e は満たしません3。Le Floc'h の論文は、調和平均で傾きを決める単調性を保つ補間が、局所的で安定で単調性を保つと結論し、Hagan と West の単調凸の補間は、点を 1 つずつ動かしたとき、安定したカーブを作らないことがあるとも書いています10。

どの方法にも得失があります。たとえば割引係数の対数の直線は、フォワードレートの飛びが残る代わりに、局所的で正です。3 次スプラインは滑らかですが、負のフォワードレートと広い及び方が出ます。市場の動向として、割引係数の補間が従来のやり方です。Hagan と West の単調凸の補間のあとは、フォワードレートを補間するやり方が広がったと、Healy の論文(2020 年)は書いています11。選び方は、どの基準を優先するかで決まり、1 つに決まる答えはありません。

前提と限界

この例は、点の値を先に決めて補間する形で、ブートストラップと補間を分けています。実際は、補間の式のパラメータを市場の金利に合うように数値計算で解くため、補間を変えると、市場に金利がない年限の値だけでなく、点の値も動くことがあります1。たとえばブートストラップの記事には、この例とは別に、1 年、2 年、5 年に固定金利(1.00%、1.50%、3.00%)を置いた例があります。その例では、固定金利を直線で結ぶか割引係数の対数を直線で結ぶかで、3 年のパーレートが 2.00% と 2.34% に分かれます。

最後の点より先は、補間でなく外挿です。フォワードレートを一定にして延ばす外挿は、z(t)z(t) の直線での延長にあたります12。

3 次スプラインを割引係数の対数に当てはめると、元の値の変化が年限の掛け算でなだらかになります。はっきりした振動を出すには、現実とかけ離れたゼロレートの変化が要ります13。この例は、ゼロレートが 4% から 2% まで動く形で、フォワードレートが負になる例を作るために選んだ値です。市場のカーブがこの形になるとは限らず、実際のカーブで負になるかは、点の値で決まります。

補間は、割引と予想に 1 本のカーブを使う前提で書いています。指標や期間ごとに別のカーブを作る環境があり、Healy の論文は、3 次スプラインを一定期間の離散的なフォワードレートに直接当てはめる方法を紹介しています14。構成はマルチカーブのページで扱います。上の 5 つのほかに、Le Floc'h の論文は張力を付けたスプライン、Healy の論文は平滑化スプラインを取り上げています1015。

注

  1. Healy の論文(arXiv:2005.13890、2020 年)の 2 節(3 ページ)。商品の数が割引係数の数より少ないこと、補間のパラメータを非線形の解法で解くことです。 ↩ ↩2

  2. 同じ論文の 2 節(2 ページ)の式 (2)〜(7)。f(t)f(t)、fidf_i^d の定義と、fidf_i^d が f(t)f(t) の区間の平均になることです。論文の z(t)=ln⁡P(t)z(t) = \ln P(t) は、本文の ln⁡DF(t)\ln DF(t) にあたります。 ↩ ↩2

  3. Le Floc'h の論文(2013 年 7 月の v1.3。著者の草稿)の 1.3 節(2 ページ)。基準 a〜e は Hagan と West(2006)が使ったもの、f は Le Floc'h が足したものです。 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6

  4. Healy 論文の 4 節と 5 節(4〜5 ページ)。自然境界条件の 3 次スプラインを割引係数の対数に当てはめた曲線は、Hagan が示した面積を保つ 2 次スプラインと同じになると書いています。 ↩

  5. Le Floc'h の論文の 3.1 節と 3.2 節(6〜8 ページ)。点での傾き sis_i を選ぶ 3 次エルミート補間と、ハイマンのフィルターです。 ↩

  6. Le Floc'h の論文の 3.1 節(7 ページ)。割引係数の対数に補間し、補間が単調性を保つなら、割引係数が下がっている限りフォワードレートは正になると書いています。 ↩

  7. Le Floc'h の論文の 3.4 節(9〜10 ページ)の式 (27)〜(32)。式の記号の対応は、論文の DiD_i、sis_i を本文でも同じ記号で使っています。 ↩ ↩2

  8. Healy 論文の 3 節(3 ページ)。負の金利が現れてから、単調性と正を保つ修正を外す実務が多く、修正がヘッジを不安定にすることがあると書いています。 ↩

  9. Le Floc'h 論文の 1.2 節(2 ページ)。市場の金利を 1bp 動かし、カーブを作り直して持ち高を評価し直す方法を、Par-Point の方法として書いています。 ↩

  10. Le Floc'h の論文の 5 節(14 ページ)と要旨(1 ページ)。単調凸の補間と張力スプラインが不安定になることがあること、調和平均の傾きを使うエルミートスプラインが局所的で安定で単調性を保つことです。 ↩ ↩2

  11. Healy 論文の 1 節(1 ページ)。割引係数の補間が従来のやり方で、Hagan と West の単調凸の補間のあと、離散的なフォワードレートの補間による構築が広がったと書いています。 ↩

  12. Healy 論文の 4 節(5 ページ)の終わり。フォワードレートを一定にした外挿は、割引係数の対数の直線の外挿にあたると書いています。 ↩

  13. Healy 論文の 5 節(5 ページ)の終わり。3 次スプラインは、単調か凸な入力で振動することがあるが、入力が割引係数の対数(ゼロレートに年限を掛けたもの)なので、はっきりした振動には、非現実的に大きなゼロレートの変化が要ると書いています。 ↩

  14. Healy 論文の 1 節と 6 節(1、6 ページ)。複数のカーブを構築する環境で、カーブが指標と期間ごとにあり、3 次スプラインを一定期間の離散的なフォワードレートに直接当てはめる方法を書いています。 ↩

  15. Healy 論文の 8 節(11 ページ)の最後の段落。なめらかなカーブが目的なら、平滑化スプライン(P スプラインなど)を考えてもよいと書いています。 ↩