実務上級
上級者(評価モデルと数値計算)
- こんな人に
- クオンツ、評価エンジンの開発者、モデルの検証を担う人など、評価モデルの中身まで知りたい人に向けています。
- 読み方
- ブラック・ショールズとグリークスを理解していることを前提にしています。段階 1 と 2 は実務のページで、確認のために置いています。知っていれば段階 3 から読みます。
段階 1確率と評価の土台実務
確率・統計、ランダムウォークとブラウン運動、リスク中立評価から、ブラック・ショールズ、ブラックとバシュリエのモデルまでを確かめます。
- 入門確率・統計の基礎価格が 103 円、101 円、95 円になる確率が 25%、50%、25% なら、期待値は 100 円、標準偏差は 3 円です。基礎知識
- 実務ランダムウォークとブラウン運動1 歩ごとに +1 か −1 に同じ確率で動く対称なランダムウォークは、n 歩後の平均が 0、分散が n で、100 歩後の標準偏差は 10 です。基礎知識
- 実務リスク中立評価リスク中立確率での期待値を割り引いた価格は、原資産と無リスクの運用・借入れで複製できる受け取りなら、その複製の費用と一致します。評価
- 実務ブラック・ショールズ・モデル原資産の価格は幾何ブラウン運動に従い、ボラティリティと金利は一定で、取引の費用なしに連続的に売買できると仮定します。評価
- 実務ブラック・モデルとバシュリエ・モデルブラック・モデルではフォワードの動きの幅が水準に比例し、バシュリエ・モデルでは水準によらず同じです。評価
段階 2カーブとボラティリティ実務
カーブのブートストラップとマルチカーブ、担保による割引、インプライド・ボラティリティとスマイルを確かめます。モデルの入力になるものです。
- 実務金利カーブのブートストラップスワップの固定金利から割引係数はそのまま読み取れないため、短い年限から順に、市場の固定金利で時価が 0 になる割引係数を求めます。基礎知識
- 実務マルチカーブ割引は OIS のカーブ、予想は参照する金利と期間ごとのカーブで分け、予想は時価が 0 になる条件から求めます。基礎知識
- 実務担保と割引カーブ担保の通貨、付利の金利、受け渡しの頻度、閾値はクレジット・サポート・アネックス(CSA)で決め、割引に使う金利はこの条件で変わります。評価
- 実務インプライド・ボラティリティインプライド・ボラティリティは、債券の価格を利回りで示すように、オプションの価格をボラティリティで言い換えた値です。評価
- 実務ボラティリティ・スマイルとサーフェス株式のオプションでは、行使価格が低いほど高い右下がりの形(スキュー)が多く、満期が短いほど傾きが急です。評価
段階 3確率微分とモデル上級
伊藤の補題とカーブの補間を押さえたうえで、ハル・ホワイト、LMM、SABR、ローカル・ボラティリティ、ヘストン、クレジットのコピュラと、キャリブレーションに進みます。
- 上級確率微分の初歩(伊藤の補題)確率微分方程式は、値の微小な動きをドリフトの項と dW の項で書く式で、積分の形に直すと伊藤積分が現れます。基礎知識
- 上級カーブの補間補間する量は割引係数、その対数、ゼロレートのどれかで、選んだ量が、点の間のフォワードレートの形を決めます。基礎知識
- 上級ハル・ホワイト・モデル短期金利は、平均回帰の速さとボラティリティの 2 つで動き、正規分布に従うため、マイナスの値もとります。評価
- 上級LIBOR マーケット・モデル(LMM)LMM は、観測できない短期金利ではなく、市場で見える期間つきのフォワードレートを直接動かし、各フォワードレートのドリフトは無裁定の条件から決まります。評価
- 上級SABR モデル4 つのパラメータ α、β、ρ、ν が、スマイルの水準、傾き、曲がりを分けて決めます。評価
- 上級ローカル・ボラティリティ・モデルローカル・ボラティリティ・モデルでは、ボラティリティが原資産の価格と時点で決まり、価格を動かす乱数は 1 つだけです。評価
- 上級ヘストン・モデル株価と分散は別々の確率過程で動き、2 つの動きは相関でつながります。評価
- 上級クレジットのコピュラCDS から出るのは 1 社ごとのデフォルトの確率だけで、社どうしの重なり方はコピュラで別に置き、デフォルトまでの時間の同時の分布を作ります。評価
- 上級キャリブレーション評価に使うモデルは、ヘッジにも使う商品のうち、市場で価格が見えるものの今の価格に合わせます。評価
段階 4数値計算上級
モンテカルロ法、有限差分法、AAD の使い分けと、計算量と精度の考え方を押さえます。
段階 5商品への応用上級
バミューダン・スワップション、CMS、PRDC、バリアンス・スワップ、シンセティック CDO で、モデルが商品の評価とヘッジにどう使われるかを見ます。
- 上級バミューダン・スワップション行使日ごとに、行使すると始まるスワップの終了日は同じで、始まる日が遅いほど期間が短くなります。仕組み:金利
- 上級CMSCMS は、10 年スワップレートのように期間の決まったスワップレートを、利払日ごとに短期の変動金利や固定金利と交換します。仕組み:金利
- 上級パワーリバースデュアル(PRDC)PRDC は、為替で決まるクーポンを円の変動金利と交換する、30 年以上になることもある長期のスワップです。仕組み:為替
- 上級バリアンス・スワップとボラティリティ・スワップ買い手は、実現バリアンスがストライクを上回ればその差に想定元本を掛けた額を受け取り、下回れば同じ計算の額を払います。仕組み:エクイティ
- 上級シンセティック CDO とトランシェトランシェは、アタッチメント・ポイントからデタッチメント・ポイントまでの損失を引き受ける層で、損失はエクイティ、メザニン、シニアの順に当たります。仕組み:クレジット
- 上級エキゾチック商品のヘッジの難しさ満期の近くのデジタルの売り手は、最大の支払額を大きく上回る原資産を持ち、ヘッジの損失や費用が最大の負債を超えうるピン・リスクを負います。トレーディングとヘッジの戦略
段階 6XVA上級
XVA の全体像から、CVA と DVA、FVA と MVA、KVA、誤方向リスクに進みます。
- 実務XVA の全体像CVA、FVA、MVA、KVA は時価を下げ、DVA は時価を上げます。評価
- 上級CVA と DVA取引相手のデフォルトと市場の値動きが独立なら、CVA は区間ごとの割引係数、期待エクスポージャー、デフォルト確率、損失率の積の和になります。評価
- 上級FVA と MVAFVA は、担保なしの取引と担保付きの反対取引の間で生じる、担保の資金調達のコストを時価に反映します。評価
- 上級資本評価調整(KVA)KVA は、満期までに持つ規制資本のコストの現在価値で、時価を下げる向きの調整です。資本・収益管理
- 上級誤方向リスクCVA の評価で、エクスポージャーと相手のデフォルトを別々に見積もると、誤方向のときに損失を小さく見積もることになります。クレジットリスク
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