クレジットのトレーダーやクオンツ、リスク管理の担当者は、デフォルト相関の置き方で価値がどう変わるかを、コピュラで読みます。

1 社ごとの分布と依存関係を分ける

CDS のスプレッドからは、1 社ごとにデフォルトまでの時間の分布が求まります。スプレッドからハザード率を求める方法はCDS の評価で扱います。ただし、5 社が同じ時期にデフォルトしやすいかどうかは、1 社の CDS からは分かりません。シンセティック CDOのトランシェやファースト・トゥ・デフォルトの価値は、この重なり方に左右されます。重なりやすさはデフォルト相関の想定で表し、直接は観測できません。

コピュラ(copula)は、1 社ごとの分布を変えずに、社どうしの依存関係を決める関数です。mm 個の変数について、1 つずつの分布関数 FiF_i を与え、コピュラ CC で結ぶと、同時の分布関数が次の形で決まります1。

F(x1,…,xm)=C(F1(x1),…,Fm(xm))F(x_1,\dots,x_m) = C\bigl(F_1(x_1),\dots,F_m(x_m)\bigr)

デフォルトが起きたかどうかは 0 か 1 の値で、相関の意味が直感的ではありません。そのためクレジットでは、デフォルトまでの時間 τi\tau_i を変数にします。社 ii の TT 年までのデフォルト確率を pi(T)p_i(T) とすると、pi(τi)p_i(\tau_i) は 0 から 1 の一様な値になります。コピュラは、この一様な値の組の同時の分布として与えます2。

1 社ごとの分布に使うデフォルト確率は、CDS の価格から逆算した値で、リスク中立確率のもとでの値です。Hull の講演資料は、クレジット・デリバティブの評価にはリスク中立の推定を使い、信用 VaR やシナリオ分析には実際の(過去のデータから求めた)推定を使うべきだとしています3。

ワンファクターのガウシアン・コピュラ

ガウシアン・コピュラ(Gaussian copula)は、標準正規分布に従う値の組から依存関係を作ります。トランシェの評価で使われるのは、社ごとの値を共通要因 MM と社ごとの要因 ZiZ_i で作るワンファクターの形です。Hull の講演資料では、2005 年の時点で市場は、どの 2 社の間も相関が同じ値のガウシアン・コピュラで、トランシェの評価をしていました4。

Xi=ρ M+1−ρ ZiX_i = \sqrt{\rho}\, M + \sqrt{1-\rho}\, Z_i

MM と ZiZ_i は互いに独立な標準正規分布に従う値です。XiX_i と XjX_j の相関は ρ\rho です54。XiX_i の値は、Φ(Xi)≤pi(T)\Phi(X_i) \le p_i(T) のとき(Φ\Phi は標準正規分布の分布関数)、社 ii が TT 年までにデフォルトすると読みます。つまり、XiX_i が低いほどデフォルトしやすく、MM が低い(共通要因が悪い)ほど、全社が同時にデフォルトしやすくなります6。

全社の確率、回収率 RR、相関が同じ(均一なポートフォリオ)で社数が NN のとき、MM の値を決めた上での各社のデフォルト確率は、次の式です。

p(T∣M)=Φ ⁣(Φ−1(p(T))−ρ M1−ρ)p(T \mid M) = \Phi\!\left(\frac{\Phi^{-1}\bigl(p(T)\bigr) - \sqrt{\rho}\, M}{\sqrt{1-\rho}}\right)

MM を決めると各社のデフォルトは独立になるので、TT 年までのデフォルト数 KK は、確率 p(T∣M)p(T \mid M) の二項分布に従います。MM の分布について平均をとると、デフォルト数の分布が求まります。φ\varphi は標準正規分布の密度です7。

Pr⁡(K=k)=∫−∞∞(Nk) p(T∣M)k (1−p(T∣M))N−k φ(M) dM\Pr(K=k) = \int_{-\infty}^{\infty} \binom{N}{k}\, p(T \mid M)^{k}\,\bigl(1-p(T \mid M)\bigr)^{N-k}\, \varphi(M)\, dM

この積分は閉じた式では求まらないため、数値で近似します。積分の手前までが式で書けることから、Brigo らはこの方法を半解析的(semi-analytical)と呼んでいます8。共通要因を決めた上でキャッシュフローを求め、共通要因の分布について積分する手順は、ガウスの求積法で正確に効率よく行えます9。損失は (1−R)K/N(1-R)K/N です。

計算例(架空の 100 社)

100 社(想定元本は同じ)のポートフォリオの架空の例で考えます。ハザード率は全社で年 2% の一定、回収率は 40%、期間は 5 年とします。5 年までのデフォルト確率は p=1−e−0.02×5=9.516%p = 1 - e^{-0.02 \times 5} = 9.516\% で、Φ−1(p)=−1.3096\Phi^{-1}(p) = -1.3096 です。1 社のデフォルトで、ポートフォリオの損失は (1−40%)/100=0.6%(1-40\%)/100 = 0.6\% 増えます。

相関 ρ=0.3\rho = 0.3 のとき、共通要因 MM ごとの各社のデフォルト確率は、次のとおりです。たとえば M=−2M=-2 なら、(−1.3096−0.5477×(−2))/0.8367=−0.2560(-1.3096 - 0.5477 \times (-2)) / 0.8367 = -0.2560 で、Φ(−0.2560)=39.90%\Phi(-0.2560) = 39.90\% です(0.3=0.5477\sqrt{0.3} = 0.5477、0.7=0.8367\sqrt{0.7} = 0.8367)。

共通要因 MM 各社のデフォルト確率 100 社のうちのデフォルト数の期待値
−2 39.90% 39.9 社
−1 18.12% 18.1 社
0 5.88% 5.9 社
1 1.32% 1.3 社
2 0.20% 0.2 社

共通要因が悪い(MM が低い)場合は、100 社のうち 40 社近くがデフォルトし、良い場合は 1 社前後です。全体の平均は、相関によらず 100 × 9.516% = 9.5 社で、ポートフォリオの期待損失は 5.71% です。

次の表は、相関だけを 0.1、0.3、0.5 に変えて、上の積分を数値で計算した結果です。トランシェは 0〜3%(エクイティ)、3〜7%(メザニン)、7〜15%(シニア)とし、損失の割合は 5 年後の損失だけで求めました。割引と支払日ごとの損失の動きは入れていません10。

相関 ρ\rho デフォルト 0 社の確率 12 社以上の確率 25 社以上の確率 エクイティの期待損失 メザニンの期待損失 シニアの期待損失
0.1 1.2% 31.0% 2.7% 89.7% 50.4% 11.7%
0.3 11.2% 29.2% 9.5% 71.7% 39.8% 17.0%
0.5 27.5% 25.9% 12.5% 55.8% 32.5% 17.8%

12 社以上でシニアに損失が当たり始め、25 社以上で(損失 15%)全額が失われます。期待損失は、各トランシェの想定元本に対する割合です。

相関が高いと、デフォルトがまったく起きない確率と、多数が起きる確率が同時に上がります。プロテクションの売り手から見ると、エクイティは期待損失が 89.7% から 55.8% に下がって価値が上がり、シニアは 11.7% から 17.8% に上がって価値が下がります。メザニンは、この例では 50.4% から 32.5% に下がりましたが、デフォルトが少ない側と多い側の両方の影響を受けるため、トランシェの位置と条件で向きは変わります。買い手から見ると、損得は逆です。

シミュレーター相関によるデフォルト数の分布とトランシェの期待損失
入力
%
%
年
社
024681012140102030405060確率(%)デフォルトする社数 K
  • 相関 ρ = 0.30
  • 相関なし(二項分布)

共通要因 M ごとの各社のデフォルト確率(選んだ相関)

共通要因 M各社のデフォルト確率100 社のうちのデフォルト数の期待値
−239.90%39.9
−118.12%18.1
05.88%5.9
11.32%1.3
20.20%0.2

相関ごとの確率とトランシェの期待損失(%)

相関 ρ0 社12 社以上25 社以上エクイティメザニンシニア
0.30(選んだ相関)11.2%29.2%9.5%71.7%39.8%17.0%
0.101.2%31.0%2.7%89.7%50.4%11.7%
0.3011.2%29.2%9.5%71.7%39.8%17.0%
0.5027.5%25.9%12.5%55.8%32.5%17.8%
エクイティ(0〜3%)の期待損失
71.7%
メザニン(3〜7%)の期待損失
39.8%
シニア(7〜15%)の期待損失
17.0%
デフォルト確率 p
9.516%
デフォルト数の期待値(社)
9.5
ポートフォリオの期待損失(相関によらない)
5.71%
1 社のデフォルトでの損失の増え
0.60%
デフォルトが 0 社の確率
11.2%
12 社以上(シニアに損失が当たり始める)の確率
29.2%
25 社以上(シニアが全損)の確率
9.5%

単純化している点

  • 社数、ハザード率、回収率、相関が全社で同じ(均一なポートフォリオ)として、ワンファクターのガウシアン・コピュラ X = √ρ·M + √(1 − ρ)·Z で、デフォルト数の分布を共通要因 M の数値積分(区間 −8〜8 のシンプソン則)で求めます。
  • 損失は、期間の終わりの 1 時点の値だけです。割引、支払日ごとの損失の動き、プレミアムの価値は入れていません。トランシェの期待損失は、トランシェの想定元本に対する割合です。
  • トランシェは 0〜3%(エクイティ)、3〜7%(メザニン)、7〜15%(シニア)で、1 つの相関で評価します。ベース相関(トランシェの端ごとに別の相関を使う方法)は扱いません。
  • ハザード率は CDS から求めた値の代わりに、全社で一定の値を入力します。実際の評価は、銘柄ごとに違うスプレッドと、市場の価格に合わせた相関を使います。

このシミュレーターは学習のために単純化した計算で、実際の取引の評価やリスク管理には使えません。(免責事項)

シミュレーターの説明

ハザード率、回収率、期間、相関、社数を動かして、デフォルト数の分布と、3 つのトランシェの期待損失の変わり方を見ます。初期値は上の計算例と同じです。グラフは、相関 0.3 のデフォルト数の分布と、相関なしの二項分布を重ねたものです。相関があると分布の両端が厚くなります。相関を 0.1、0.5 に替えると、エクイティとシニアの期待損失が、相関別の期待損失の表と同じ値に変わります。ポートフォリオの期待損失は相関によらず変わりません。画面の表には、共通要因ごとの各社のデフォルト確率と、相関ごとのトランシェの期待損失が並びます。回収率やハザード率を動かすと、シニアに損失が当たり始める社数も変わります。

トランシェの評価の流れ

ワンファクターのガウシアン・コピュラでトランシェを評価する流れは、次の順です。相関 ρ\rho は 1 つの値として、デフォルト確率と回収率とは別に決めます。

  1. 1 社ごとのデフォルト確率を CDS の価格から決め、回収率を置く。
  2. 相関 ρ\rho を 1 つ決める。
  3. 損失の分布を、支払日ごとに、共通要因について積分して求める11。
  4. 分布から各トランシェの期待損失を求め、CDS の価値の出し方と同じように、プレミアム・レグとデフォルト・レグの価値を出して、スプレッドを決める12。

手順 3 の分布は、積分の代わりに乱数で損失を作るモンテカルロ法でも求まります12。均一なポートフォリオの仮定を置くと、損失の分布が半解析的な式で求まります5。ただし、実務では 1 社ごとのヘッジ比率が要るため、銘柄ごとにスプレッドが違う(均一でない)形が使われます13。

ベース相関で市場の価格に合わせる

モデルの入力のうち、1 社ごとのデフォルト確率と回収率は固定し、相関だけを動かして、モデルの価格を市場の気配に合わせた値をインプライド相関といいます14。インプライド・ボラティリティと同じ考え方です15。

トランシェごとの相関の出し方は 2 つあります。コンパウンド相関は、トランシェごとに相関を 1 つ決め、そのトランシェの全体を 1 つの相関のコピュラで評価します。トランシェの気配から相関が求まらない場合や、複数の値が求まる場合があります16。これに対してベース相関(base correlation)は、損失 0 から上端 BB までのエクイティ・トランシェに相関を当てはめます。3〜7% の気配なら、まず 0〜3% の気配から ρ3\rho_3 を出し、その値を使って 0〜7% の相関 ρ7\rho_7 を出します17。

トランシェ AA〜BB(AA は下端、BB は上端)の期待損失(トランシェの想定元本に対する割合)は、損失 0 から AA まで、0 から BB までのエクイティ・トランシェの期待損失の差で表せます18。E[L0,K]E[L_{0,K}] は、損失 0 から KK までのトランシェの期待損失で、想定元本に対する割合です。

E[LA,B]=B⋅E[L0,B](ρB)−A⋅E[L0,A](ρA)B−AE[L_{A,B}] = \frac{B \cdot E[L_{0,B}](\rho_B) - A \cdot E[L_{0,A}](\rho_A)}{B-A}

上の計算例で、ベース相関を ρ3=0.1\rho_3 = 0.1、ρ7=0.3\rho_7 = 0.3 とする架空の例で考えます。0〜3% の期待損失は、相関 0.1 で E[L0,3%]=89.7%E[L_{0,3\%}] = 89.7\% です。0〜7% の期待損失は、相関 0.3 の表の 0〜3%(71.7%)と 3〜7%(39.8%)から (3×71.7%+4×39.8%)/7=53.5%(3 \times 71.7\% + 4 \times 39.8\%)/7 = 53.5\% になります。メザニン(3〜7%)の期待損失は、表示を丸めない値で (7×0.53484−3×0.89737)/4≈0.2629(7 \times 0.53484 - 3 \times 0.89737)/4 \approx 0.2629 となり、約 26.3% です19。同じトランシェを相関 0.3 の 1 つのコピュラで評価した 39.8% とは違う値です。ベース相関は、トランシェの 2 つの端を別々の相関のコピュラで評価します。

上端の相関 ρ7\rho_7 を 0.5 にすると、数値積分で求めた 0〜7% の期待損失は 42.5% です。メザニンの期待損失は、同じ式で 7.0% まで下がります。

ベース相関が使われる理由は、相関が上端に対して滑らかに動き、標準でない上端のトランシェを補間で評価しやすいためです20。Christoffersen らの 2008 年の講演資料は、標準でないトランシェ(bespoke)を、通常は指数のトランシェの市場情報で評価すると述べています21。

Hull の講演資料には、2004 年 8 月 4 日の DJ iTraxx EUR(ヨーロッパの CDS 指数)の例があります。トランシェごとに出したインプライド相関(コンパウンド相関)は 0.055〜0.312 と大きく散り、ベース相関は上端が高いほど高くなりました22。

トランシェの上端 3% 6% 9% 12% 22%
インプライド相関(トランシェごと) 0.204 0.055 0.161 0.233 0.312
ベース相関 0.204 0.288 0.337 0.369 0.448

この表は、1 つの相関のコピュラではすべてのトランシェを同じ相関で説明できず、上端ごとに別の値が要ることを示しています。

デフォルト相関とヘッジ

コピュラの相関は、市場のトランシェの価格から逆算した値です。観測した値ではなく、市場の見方を映す数値になります。Christoffersen らの 2008 年の講演資料は、CDO から出した相関が、CDS と株価のデータから求めた相関と同じ向きに動くことを報告しています23。

ヘッジでは銘柄ごとの CDS を使います。銘柄ごとのヘッジ比率を出すため、均一でない形が使われます13。Fermanian と Vigneron は、個別の CDS によるヘッジの損益が平らになる場合を限っています。デフォルトが起きないあいだについて、満期が同じ CDS を使い、スプレッドの動きが特定の関係を満たすときだけです。デフォルトにも備えるには満期の違う CDS を 1 社に 2 本使い、そのぶんのキャリー(備えの費用)を払うため、損益は平らになりません24。

トランシェの全体の損失の動きをモデル化する動的な損失モデルは、1 社ごとのデフォルトを見ないため、銘柄ごとの部分的なヘッジができません。これは、市場がベース相関にとどまる理由の 1 つです25。

前提と限界、指摘されてきた問題

2010 年の Brigo らの論文は、ベース相関を含む当時の方法の問題を、金融危機の前から公表されていた批判として挙げています26。

  • 125 社の指数なら、社どうしの 7,750 組の相関を 1 つの値にまとめること
  • トランシェごとに別の相関になり、同じポートフォリオに矛盾した損失の分布を当てはめること
  • コンパウンド相関では、気配から相関が求まらない場合があること
  • ベース相関では、トランシェの端ごとに別の相関を使うため、期待損失が負になり、無裁定の条件に反する場合があること
  • 時間とともに変わる動きがなく、満期の違う気配を同時に説明できないこと
深掘りベース相関で期待損失が負になる理由

トランシェ AA〜BB の期待損失は、上の式のとおり、相関 ρB\rho_B のコピュラで求めた項と、相関 ρA\rho_A のコピュラで求めた項の差です。2 つの項を別々の分布から求めるため、上端の相関が下端の相関よりずっと高いと、差が負になる場合があります。損失は 0 以上のはずなので、期待損失が負なのは、無裁定の条件に反します。Brigo らは、2005 年の DJ iTraxx の 6〜9% のトランシェで、期待損失が最初のうち負になる例を示しています27。

Hull の講演資料は、共通要因と社ごとの要因の両方に自由度 4 の t 分布を使うと、同じ日の iTraxx の気配をよく再現し、ベース相関も上端によらずほぼ一定(0.241〜0.266)になると示しています28。ただし、Brigo らは、パラメータが少なく数値計算にも問題があるため、気配との整合の問題の解決にはなりにくいと評価しています29。Hull の講演資料は、インプライド相関(とくにベース相関)を注意して解釈すべきだとも述べています30。

Brigo らは、数理モデルだけが危機の原因ではないとも書いています。批判があっても、ガウシアン・コピュラのベース相関は 2010 年の時点でなお主な評価方法でした25。

同じトランシェでも、相関の置き方やモデルが違えば価格が変わるため、モデル・リスクを負います。モデルを市場の気配に合わせる手順はキャリブレーションで扱います。

注

  1. David X. Li, "The Valuation of Basket Credit Derivatives: A Copula Function Approach"(Fields Institute の講演資料、2000 年 12 月 8 日)の 17〜18 枚目。本文の式の形。 ↩

  2. Damiano Brigo、Andrea Pallavicini、Roberto Torresetti, "Credit Models and the Crisis"(arXiv:0912.5427v3、2010 年 2 月。以下 Brigo らの論文)の 3 節(20 ページ)。 ↩

  3. John Hull, "Credit Derivatives Markets"(Fields Institute の講演資料、2005 年 2 月 7 日。以下 Hull の講演資料)の 6 枚目と 11 枚目。リスク中立と実際の推定の区別と、使い分けの推奨。 ↩

  4. Hull の講演資料(2005 年)の 12 枚目。2005 年 2 月時点で、市場がインデックスのトランシェに使う相関のモデルは、どの 2 社の相関も同じ値のガウシアン・コピュラ(デフォルトまでの時間)であること、xi=aM+1−a2Zix_i = aM + \sqrt{1-a^2} Z_i で、MM と ZiZ_i は独立で平均 0、分散 1、xix_i と xjx_j の相関は a2a^2、xix_i はパーセンタイル対パーセンタイルでデフォルト時刻に対応づけること(本文の ρ\rho は資料の a2a^2 に当たる)。 ↩ ↩2

  5. Brigo らの論文の 3.1 節(22 ページ)。Xi=ρiS+1−ρiYiX_i = \sqrt{\rho_i} S + \sqrt{1-\rho_i} Y_i(SS は共通の要因、YiY_i は社ごとの要因、独立な標準正規分布)。相関が一定で均一なら全体の相関は 1 つの値 ρ\rho になり、均一の仮定を置くと損失の分布が半解析的な式で求まること(本文の MM、ZiZ_i は資料の SS、YiY_i)。 ↩ ↩2

  6. Brigo らの論文の 3 節(21 ページ)の式 (4)。損失は Lˉt=∑i1M(1−Ri)1{Φ(Xi)≤pi(t)}\bar{L}_t = \sum_i \frac{1}{M}(1-R_i) 1_{\{\Phi(X_i) \le p_i(t)\}}(資料の MM は社数で、本文の NN)。 ↩

  7. Brigo らの論文の 3.1 節(22〜23 ページ)の式 (5) と (6)。共通要因を決めた上では各社のデフォルトは独立で、Q{τi<T∣S}=Φ((Φ−1(1−exp⁡(−Λ(T)))−ρS)/1−ρ)Q\{\tau_i < T \mid S\} = \Phi((\Phi^{-1}(1-\exp(-\Lambda(T))) - \sqrt{\rho} S)/\sqrt{1-\rho})、デフォルト数が二項分布に従い、共通要因について積分して損失の分布が得られること。 ↩

  8. Brigo らの論文の 3.1 節(23 ページ)。式 (6) の積分は閉じた形では求まらず、ほかの量は解析的に求まるため semi-analytical と呼ぶこと。 ↩

  9. Hull の講演資料(2005 年)の 13 枚目。共通要因を決めた上でキャッシュフローを求め、要因の分布で積分する手順で、積分はガウスの求積法で正確かつ効率よくできること。 ↩

  10. このサイトの試算です。100 社の均一なポートフォリオ(年 2% の一定のハザード率、回収率 40%、期間 5 年、1 社のデフォルトで損失 0.6% 増)を、ワンファクターのガウシアン・コピュラで数値積分しました。割引と支払日ごとの動きは入れず、表の値は丸めています。 ↩

  11. Brigo らの論文の 3.2 節(23 ページ)。所与の日付について損失の分布を求め、期待損失を計算して適正なトランシェのスプレッドを出すこと。 ↩

  12. Brigo らの論文の 3.1 節(22 ページ)。共通要因を含むガウス変数から、任意の時点のポートフォリオの損失を乱数で作り、トランシェのプレミアム・レグとデフォルト・レグの現在価値を求められること。 ↩ ↩2

  13. Brigo らの論文の Remark 3.1(3 節、21 ページ)。実務では、銘柄ごとのヘッジ比率を計算する必要から、銘柄ごとに異なる均一でない形が使われること。スプレッドの散らばりが評価を複雑にすること。 ↩ ↩2

  14. Brigo らの論文の 3 節(21 ページ)。トランシェの気配から、ほかのモデルのパラメータ(デフォルト確率、回収率)を固定して、整合する ρ\rho を逆算するのがインプライド相関であること。 ↩

  15. Christoffersen ら, "Measuring and Modeling Default Correlation"(Bank of Canada の講演資料、2008 年 9 月 13 日。以下 Christoffersen らの講演資料)の 7 枚目。インプライド相関の定義と、インプライド・ボラティリティとの類似。 ↩

  16. Brigo らの論文の 3 節(21 ページ)と 3.2 節(24〜25 ページ)。コンパウンド相関は、単一のトランシェでは整合的だが、気配によっては相関が求まらない、または複数求まること。 ↩

  17. Brigo らの論文の 3.2 節(23〜24 ページ)。まず 0〜3% のエクイティ・トランシェで ρ3\rho_3 を求め、次のトランシェでは ρ3\rho_3 を保ったまま次の相関(ρ6\rho_6 など)を求めるのがベース相関、トランシェごとに新しい相関を出すのがコンパウンド相関であること。 ↩

  18. Brigo らの論文の式 (2)(2 節、18 ページ)と式 (7)(3.2 節、23 ページ)。LˉtA,B=1B−A[BLˉt0,B−ALˉt0,A]\bar{L}^{A,B}_t = \frac{1}{B-A}[B \bar{L}^{0,B}_t - A \bar{L}^{0,A}_t]。式 (7) は、それぞれの項を別の相関で評価した期待損失。 ↩

  19. このサイトの試算です。上の表と同じ数値積分で、相関 0.1 の 0〜3% の期待損失 0.89737 と、相関 0.3 の 0〜7% の期待損失 0.53484 から 0.26294 です。上端の相関 0.5 では、0.42480 から 0.0704 です。 ↩

  20. Brigo らの論文の 3.3 節(26〜27 ページ)。ベース相関は上端に対してコンパウンド相関よりずっと滑らかで、標準でない 4〜15% のようなトランシェでは、アタッチメント・ポイントとデタッチメント・ポイントをそれぞれ補間できること。 ↩

  21. Christoffersen らの講演資料(2008 年)の 4 枚目。標準でない(bespoke)CDO は、通常、標準の(インデックスの)商品の市場情報で評価すること。 ↩

  22. Hull の講演資料(2005 年)の 14 枚目。2004 年 8 月 4 日の DJ iTraxx EUR のトランシェ(0〜3%、3〜6%、6〜9%、9〜12%、12〜22%)の、インプライド相関とベース相関の値。 ↩

  23. Christoffersen らの講演資料(2008 年)の 21 枚目。CDO から出したインプライド相関は、CDS と株価のデータから出した相関の時系列と同じ向きに動くこと、相関の時間変動が大きいこと、ガウシアン・コピュラのモデルには価値がありうること。 ↩

  24. Jean-David Fermanian と Olivier Vigneron, "On break-even correlation"(arXiv:1204.2251)の 7 ページ(2 節)。仮定 (A) のもとで損益が平らになる条件と、満期の違う CDS を 2 本使う場合。 ↩

  25. Brigo らの論文の 8 節(57 ページ)。批判が危機の前から出ていたこと、ガウシアン・コピュラがベース相関の形で使われ続けていること、動的な損失モデルは銘柄ごとのデフォルトを見ず、銘柄ごとの部分的なヘッジができないこと。モデルは危機の多くの要因の 1 つで、主なものではないこと。1 節(12 ページ)にも、ベース相関が今も合成 CDO の主な評価方法だとの記述がある。 ↩ ↩2

  26. Brigo らの論文の 1 節(10〜12 ページ)と 3.3 節(27〜28 ページ)。当時の方法の問題として本文の 5 項目を挙げ、批判が 2006 年に公表済みだったと書いていること。125 社は Christoffersen らの講演資料の 8 枚目による。 ↩

  27. Brigo らの論文の 3.3 節(26〜28 ページ)。期待損失は 2 つの異なる相関を使う 2 つの項で決まり、上端の相関が下端よりずっと高いと負になること。図 7 の 6〜9% のトランシェ(2005 年 8 月 3 日の DJ iTraxx の 10 年、上端の相関を 48% にした場合)。損失は 0 以上でなければならず、無裁定の制約に反すること。 ↩

  28. Hull の講演資料(2005 年)の 17〜18 枚目。MM と ZiZ_i に自由度 4 の t 分布を使う二重 t コピュラで、2004 年 8 月 4 日の iTraxx の気配に対するベース相関が 0.266、0.266、0.260、0.253、0.241 になること。 ↩

  29. Brigo らの論文の 3.4 節(28 ページ)。Hull と White(2004)の二重 t コピュラは 1 日の気配を相関の偏りなしに再現できるが、パラメータが少なく、数値の問題もあるため、気配との整合の問題の解決にはなりにくいという評価。 ↩

  30. Hull の講演資料(2005 年)の 22 枚目。インプライド相関(とくにベース相関)は注意して解釈すべきこと。 ↩