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デリバティブ・コンパス

理解度チェック: 評価モデル

最終確認日: 2026年10月4日

下書きです。公開前の確認のために表示しています。

「評価モデル」の章の内容を確かめる 6 問の問題です。選択肢を選んで「回答する」を押すと、正解と解説が出ます。「正解と解説」を開いて、先に答えを見ることもできます。

  1. 問 1

    架空の例として、ハル・ホワイト・モデルで、短期金利のボラティリティ σ\sigma を 1%、平均回帰の速さ aa を年あたり 0.2 とします。このモデルでの、5 年後の短期金利の標準偏差はいくつですか。

    正解と解説

    正解: C

    標準偏差は約 1.47% です。tt 年後の短期金利の標準偏差は σ(1−e−2at)/(2a)\sigma\sqrt{(1 - e^{-2at})/(2a)} で、ここでは 2at=2×0.2×5=22at = 2 \times 0.2 \times 5 = 2 です。e−2=0.1353e^{-2} = 0.1353 なので、(1−0.1353)/(2×0.2)=2.1617(1 - 0.1353)/(2 \times 0.2) = 2.1617 で、平方根は 1.470 です。これに σ=1%\sigma = 1\% を掛けると 1.47% になります。

    2.24% は、平均回帰がない(aa が 0 の極限)場合の σt=1%×5\sigma\sqrt{t} = 1\% \times \sqrt{5} です。短期金利が水準へ引き戻される分だけ、実際のばらつきはこれより小さくなります。1.78% は、式の指数の 2 を落とした σ(1−e−at)/a\sigma\sqrt{(1 - e^{-at})/a} の値で、(1−0.3679)/0.2=3.1606(1 - 0.3679)/0.2 = 3.1606 の平方根 1.778 に σ\sigma を掛けた値です。

    詳しくは: ハル・ホワイト・モデル

  2. 問 2

    架空の例として、LIBOR マーケット・モデル(LMM)で、あるフォワードレートの変化率のボラティリティが時間だけの関数で、最初の 1 年は 10%、次の 1 年は 30% です。このフォワードレートの値は 2 年後に決まります。このフォワードレートのキャップレットをブラック・モデルの式で表すとき、使うボラティリティはいくつですか。

    正解と解説

    正解: A

    使うボラティリティは約 22.36% です。ブラックの式のボラティリティは、LMM のボラティリティの 2 乗を、2 年の間で時間平均して、平方根をとった値です。2 乗の値は最初の 1 年が 0.102=0.010.10^2 = 0.01、次の 1 年が 0.302=0.090.30^2 = 0.09 なので、時間平均は (0.01×1+0.09×1)/2=0.05(0.01 \times 1 + 0.09 \times 1)/2 = 0.05 です。平方根をとると 0.2236 です。

    20.00% は、10% と 30% を単純に平均した値です。2 乗してから平均するため、大きい方のボラティリティの影響が強く出て、20% を上回ります。5.00% は、2 乗の時間平均 0.05 の平方根をとらず、そのまま % にした値です。ボラティリティは 2 乗の値の平均の平方根なので、最後に平方根をとる必要があります。

    詳しくは: LIBOR マーケット・モデル(LMM)

  3. 問 3

    架空の例として、SABR モデルの 4 つのパラメータ α\alpha、β\beta、ρ\rho、ν\nu のうち、ボラティリティ自身の変動の大きさを表すパラメータ ν\nu だけを大きくし、ほかは変えません。ある満期のオプションのボラティリティ・スマイルは、どう変わりますか。

    正解と解説

    正解: B

    ν\nu を大きくすると、スマイルの曲がりが強くなり、両端のインプライド・ボラティリティが上がります。中央(フォワードの近く)の値は、ほとんど動きません。

    曲がりが弱くなるのは ν\nu を小さくしたときです。曲線全体が上に動くのは α\alpha を上げたときです。傾きが急になるのは、ρ\rho を負の方向に大きくしたときや、β\beta を小さくしたときです。

    詳しくは: SABR モデル

  4. 問 4

    ローカル・ボラティリティ・モデルで、局所ボラティリティが原資産の価格だけの関数のとき、原資産の価格が上がると、モデルが予測するスマイルの動きはどれですか。

    正解と解説

    正解: C

    モデルが予測するスマイルは、行使価格の低いほうへ動きます。フォワードが f0f_0 から ff に動いたとき、動いた後のスマイルは、展開の最初の項だけで近似すると、動く前のスマイル σ0\sigma_0 を使って σ0(K+f−f0)\sigma_0(K + f - f_0) と書けます。KK は行使価格です。原資産の価格が上がると、同じ行使価格 KK の値は、動く前のもっと高い行使価格の位置の値になるので、スマイルは行使価格の低いほうへずれて見えます。

    市場では、原資産の価格とスマイルは同じ向きに動くため、このモデルの予測は市場と逆向きです。「スマイルが動かず、行使価格ごとの値が残る」は、スマイルが行使価格に結びついたまま動かないという見方(sticky strike)です。このモデルでは、局所ボラティリティが原資産の価格だけで決まるため、価格が動くとスマイルの位置もずれます。動かないとする見方は、このモデルの予測と食い違います。

    詳しくは: ローカル・ボラティリティ・モデル

  5. 問 5

    架空の例として、ヘストン・モデルで、分散の平均回帰の速さ κ\kappa を 3、長期の分散 vˉ\bar v を 0.04、分散のボラティリティ ξ\xi を 0.4 とします。このとき、分散 vtv_t の動きとして正しいものはどれですか。

    正解と解説

    正解: A

    フェラー条件を満たし、分散は 0 に届かず、厳密に正の値にとどまります。条件は 2κvˉ≥ξ22\kappa\bar v \ge \xi^2 です。左辺は 2×3×0.04=0.242 \times 3 \times 0.04 = 0.24、右辺は 0.42=0.160.4^2 = 0.16 なので、条件を満たします。

    条件を満たすときは、分散は 0 に届きません。0 に何度も触れるのは、条件を満たさないときの動きです。左辺の 2 を掛け忘れ、κvˉ=0.12\kappa\bar v = 0.12 を ξ2=0.16\xi^2 = 0.16 と比べると、条件を満たさないと誤って読みます。なお、条件を満たさないときも、分散は 0 に触れては戻るだけで、0 にとどまることはありません。

    詳しくは: ヘストン・モデル

  6. 問 6

    架空の例として、ワンファクターのガウシアン・コピュラで、損失 0 から 3% までのエクイティ・トランシェの期待損失が 80%、損失 0 から 7% までが 50% でした。それぞれの上端のベース相関で評価した値で、期待損失は各トランシェの想定元本に対する割合です。このとき、3〜7% のトランシェの期待損失はいくつですか。

    正解と解説

    正解: B

    期待損失は 27.5% です。トランシェ AA〜BB の期待損失は、損失 0 から BB までと、0 から AA までの期待損失の差で表せます。E[L0,B]E[L_{0,B}] は、0〜BB のトランシェの期待損失(想定元本に対する割合)です。AA、BB を % の数字(3 と 7)で書くと、式は (B×E[L0,B]−A×E[L0,A])/(B−A)(B \times E[L_{0,B}] - A \times E[L_{0,A}])/(B - A) です。分子は 7×0.5−3×0.8=1.17 \times 0.5 - 3 \times 0.8 = 1.1 です。分母は 7−3=47 - 3 = 4 です。割ると 1.1/4=0.2751.1/4 = 0.275(27.5%)になります。

    15.7% は、分母を B−A=4B - A = 4 ではなく B=7B = 7 で割った 1.1/71.1/7 の値です。3〜7% のトランシェの大きさは 4% 分なので、その大きさで割ります。30% は、80% と 50% の差をそのまま使った値で、範囲の広さの違いを考えていません。

    詳しくは: クレジットのコピュラ