ブラック・ショールズの式で、配当のない株式を原資産にしたヨーロピアン・オプションのコール・オプション(コール)の理論価格を求めます。次のうち、式の入力に使わないものはどれですか。
理解度チェック: オプションの評価
最終確認日: 2026年10月15日
下書きです。公開前の確認のために表示しています。
「オプションの評価」の章の内容を確かめる 6 問の問題です。選択肢を選んで「回答する」を押すと、正解と解説が出ます。「正解と解説」を開いて、先に答えを見ることもできます。
問 1
正解と解説
正解: C
式の入力は、原資産の価格、行使価格、残存期間、無リスク金利(信用リスクなどのない金利)、ボラティリティの 5 つで、原資産の期待収益率(投資家が見込む値上がりの速さ)は入りません。式は、原資産と無リスクの運用・調達を組み合わせ、その割合を絶えず組み替えてコールと同じ価値の動きを作る(複製する)考え方から導かれるためです。期待収益率が無リスク金利に等しいと置いても同じ式になるため、この評価の方法はリスク中立評価と呼ばれます。
ボラティリティは、5 つの入力のうち市場で直接には見えない値ですが、式の入力の 1 つです。値上がりが見込まれる株式ほどコールが高くなると考えると、期待収益率も入力に入りそうに思えますが、そうではありません。
詳しくは: ブラック・ショールズ・モデル
問 2
架空の例として、原資産の価格 100、行使価格 100、残存期間 1 年、無リスク金利 年 1%(連続複利)、配当なし、ボラティリティ 20% のヨーロピアン・コールを 1 単位買っています。デルタは、ブラック・ショールズの式で求めると 0.5596、ガンマは 0.0197 です。原資産の価格が 100 から 105 に上がるとき、デルタとガンマで見積もったコールの価格の変化はいくらですか。
正解と解説
正解: B
デルタとガンマで見積もると、コールの価格はおよそ 3.04 上がります。デルタの分は、デルタ × 原資産の価格の変化で、0.5596 × 5 = 2.798 です。ガンマの分は、ガンマ × 原資産の価格の変化 × 原資産の価格の変化 ÷ 2 で、0.0197 × 5 × 5 ÷ 2 = 0.24625 です。2 つを足すと 2.798 + 0.24625 = 3.04425 で、およそ 3.04 です。
2.80 は、デルタの分だけの見積もりです。原資産の価格が 100 から 105 へ動く間にデルタも増えるため、デルタだけでは上昇を小さく見積もります。3.29 は、ガンマの分を 2 で割り忘れた値です(2.798 + 0.0197 × 5 × 5)。2.55 は、ガンマの分を引いた値です(2.798 − 0.24625)。
原資産の価格が 100 から 95 に下がるときは、デルタの分が −2.798、ガンマの分が同じ 0.24625 で、見積もりは −2.798 + 0.24625 = −2.55175 で、およそ −2.55 です。コールの価格はおよそ 2.55 下がり、買い手の損になります。デルタだけの見積もりと比べて、上がるときの値上がりは大きく、下がるときの値下がりは小さくなります。ただし、どちらも見積もりで、原資産の価格が大きく動くほど実際の変化とのずれは大きくなります。
詳しくは: グリークス
問 3
架空の例として、原資産の価格 100、行使価格 100、残存期間 1 年、無リスク金利 年 1%(連続複利)、配当なし、ボラティリティ 20% のヨーロピアン・オプションのプット・オプション(プット)を 1 単位売っています。グリークスはブラック・ショールズの式で求めます。この持ち高のデルタ、ガンマ、ベガの符号の組み合わせとして正しいものはどれですか。
正解と解説
正解: D
プットの売りのデルタはプラス、ガンマとベガはマイナスです。同じ条件のプットの買いは、デルタ −0.4404、ガンマ 0.0197、ベガ(ボラティリティが 1% 上がったときの価格の変化)0.3945 です。売りでは、同じオプションの買いと符号が逆になるため、デルタ 0.4404、ガンマ −0.0197、ベガ −0.3945 になります。
デルタがマイナス、ガンマとベガがプラスの組み合わせは、プットの買いです。売りで符号が逆になることを見落とすと、この組み合わせを選びます。3 つともプラスの組み合わせはコールの買い、3 つともマイナスの組み合わせはコールの売りです。ガンマとベガはコールとプットで同じ値なので、買いならどちらもプラス、売りならどちらもマイナスです。
この持ち高の損益は、原資産の価格が 1 上がるとおよそ 0.44 の利益、1 下がるとおよそ 0.44 の損失です。ボラティリティが 1% 上がるとおよそ 0.39 の損失、1% 下がるとおよそ 0.39 の利益です。
詳しくは: グリークス
問 4
インプライド・ボラティリティの説明として正しいものはどれですか。
正解と解説
正解: B
インプライド・ボラティリティは、オプションの市場価格を評価の式に入れ、式の価格が市場価格と一致するように逆に解いて求めたボラティリティです。同じ原資産でも、行使価格と満期ごとに値があります。
過去の原資産の価格の変化率から求め、期間を決めれば 1 つに決まるのは、ヒストリカル・ボラティリティです。行使価格と満期ごとに分かれることもありません。1 営業日ごとの価格の変化率の標準偏差を年率に直して求めます。
詳しくは: インプライド・ボラティリティ
問 5
株価指数のオプションで、満期を 1 つに決めて行使価格ごとのインプライド・ボラティリティを並べたボラティリティ・スマイルの、一般的な形と満期による違いを正しく表しているのはどれですか。
正解と解説
正解: A
株式と株価指数のオプションでは、満期ごとに見ると、行使価格が高いほどインプライド・ボラティリティが低くなる右下がりの形(スキュー)が一般的です。この傾きは満期が短いほど急で、満期が長くなると平らに近づきます。たとえば架空の株価指数の例では、行使価格 80 と 120 の値の差が、3 か月で 16.0%、1 年で 13.0%、2 年で 9.0% と、満期が長いほど小さくなります。
右上がりの形は、向きが逆です。満期が長いほど傾きが急とする形は、満期による違いが逆です。満期によらず傾きが同じとする形は、満期が長くなると平らに近づく点を見落としています。
詳しくは: ボラティリティ・スマイルとサーフェス
問 6
架空の例として、フォワードレートが 1.00% のとき、ブラック・モデルのボラティリティは 30%、正規ボラティリティは 30bp で、変化幅の標準偏差はどちらも 30bp です。フォワードレートが 0.50% に下がり、2 つのボラティリティの値が変わらないとき、変化幅の標準偏差はブラック・モデルとバシュリエ・モデルでどうなりますか。
正解と解説
正解: D
ブラック・モデルでは、変化幅の標準偏差がボラティリティ × フォワードで、フォワードの水準に比例します。0.50% では 30% × 0.50% = 0.15%、つまり 15bp です。バシュリエ・モデルでは、変化幅の標準偏差が正規ボラティリティそのもので、フォワードの水準によらず 30bp のままです。
どちらも 15bp になるのは、バシュリエ・モデルでも水準に比例すると考えた場合です。ブラック・モデルで 30bp のまま、バシュリエ・モデルで 15bp になるのは、2 つのモデルを取り違えた場合です。どちらも 30bp のままになるのは、ブラック・モデルでも水準によらず同じ幅で動くと考えた場合です。
詳しくは: ブラック・モデルとバシュリエ・モデル