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デリバティブ・コンパス

理解度チェック: 数値計算

最終確認日: 2026年10月4日

下書きです。公開前の確認のために表示しています。

「数値計算」の章の内容を確かめる 5 問の問題です。選択肢を選んで「回答する」を押すと、正解と解説が出ます。「正解と解説」を開いて、先に答えを見ることもできます。

  1. 問 1

    架空の例として、あるオプションをモンテカルロ法の 1 万本の経路で評価すると、標準誤差は 0.20 でした。経路ごとの割り引いたペイオフの標準偏差は、経路の数を増やしてもほとんど変わらないとします。標準誤差を 0.05 まで小さくするには、経路はおよそ何本要りますか。

    正解と解説

    正解: C

    経路はおよそ 16 万本要ります。標準誤差は、経路ごとの割り引いたペイオフの標準偏差を、経路の数の平方根で割った値です。0.20 を 0.05 にするには標準誤差を 4 分の 1 にするため、経路の数の平方根を 4 倍にします。経路の数は 4 × 4 = 16 倍で、1 万本 × 16 = 16 万本です。

    4 万本は、標準誤差が経路の数に反比例すると考えた値です。実際には、経路を 4 倍の 4 万本にしても、標準誤差は半分の 0.10 にしかなりません。2 万本は、4 の平方根をとって、経路の数を 2 倍にした値です。2 万本での標準誤差は 0.20 ÷ 1.414(2 の平方根)で、およそ 0.14 です。同じ考え方で、精度を 1 桁上げる(標準誤差を 10 分の 1 にする)には、経路が 100 倍要ります。

    詳しくは: モンテカルロ法

  2. 問 2

    モンテカルロ法の分散減少法の説明として正しいものはどれですか。

    正解と解説

    正解: D

    分散減少法は、乱数の使い方を工夫して、経路ごとの値のばらつきを小さくする方法です。経路の数を増やしたときの標準誤差の小さくなり方は変えずに、同じ経路の数での標準誤差を小さくします。代表的な方法に、正規乱数と符号を反対にした乱数で作った経路を組にする対称変量法があります。評価したい値と一緒に動き、期待値が式でわかる値を同じ経路で計算し、その推定のずれで評価したい値の推定を直す制御変量法もあります。

    分散減少法は、1 本の計算の手間を減らす方法ではありません。方法によっては 1 本あたりの計算の手間が増えるため、方法を選ぶときは分散と手間の両方を比べます。周期の長い乱数を使うのは、同じ乱数を使い回して精度が上がらないことを避けるためで、分散減少法とは別の話です。標準誤差が経路の数の平方根に反比例して小さくなる割合は変わらず、変わるのは比例係数だけです。

    詳しくは: モンテカルロ法

  3. 問 3

    架空の例として、対数価格に直したブラック・ショールズの方程式を、有限差分法の陽解法で解きます。ボラティリティは一定で 20%、価格の方向の格子の間隔は 0.02 で、満期までの 1 年を同じ長さの時間刻みに分けます。拡散項だけを見た安定の目安で、不安定にならない最も少ない時間刻みの数はどれですか。

    正解と解説

    正解: A

    最も少ない時間刻みの数は 100 刻みです。拡散項だけを見た目安は、時間刻みが格子の間隔の 2 乗をボラティリティの 2 乗で割った値以下であることです。0.02 の 2 乗は 0.0004、0.20 の 2 乗は 0.04 なので、時間刻みは 0.0004 ÷ 0.04 = 0.01 以下です。1 年を 0.01 ずつに分けると、1 ÷ 0.01 = 100 刻みです。

    40 刻みは、時間刻みが 1 ÷ 40 = 0.025 で、目安の 2.5 倍です。この条件では陽解法の計算が発散します。200 刻みは、拡散の係数を 2 乗のボラティリティそのもの(0.04)と取り違え、0.0004 ÷ (2 × 0.04) = 0.005 を目安にした値です。対数価格の式の 2 階の微分の係数は、ボラティリティの 2 乗の半分(0.02)です。200 刻みでも不安定にはなりませんが、不安定にならない最も少ない刻みの数ではありません。

    詳しくは: 有限差分法

  4. 問 4

    初期値が滑らかなとき、格子の間隔についての誤差は、有限差分法の陽解法、陰解法、クランク・ニコルソン法のどれでも 2 乗で縮みます。このとき、クランク・ニコルソン法の説明として、正しいものはどれですか。

    正解と解説

    正解: C

    クランク・ニコルソン法は、前の時間の値と次の時間の値の平均を取る進め方で、次の時間の値についての三重対角の連立方程式を解きます。初期値が滑らかなとき、時間刻みについての誤差は 2 乗で縮みます。陽解法と陰解法の時間刻みの誤差は 1 乗で、クランク・ニコルソン法のほうが速く小さくなります。

    前の時間の 3 点の値から次の値を直接求めるのは、陽解法です。連立方程式を解くのは、陰解法とクランク・ニコルソン法です。時間刻みの誤差が 2 乗になる解法は、この 3 つの解法の中ではクランク・ニコルソン法だけです。

    詳しくは: 有限差分法

  5. 問 5

    架空の例として、ポートフォリオの 1 回の評価に 3 分かかり、求めたい感応度が 200 本あります。出力はポートフォリオの価値 1 つです。入力を 1 つずつ動かす片側のバンプの所要時間と、後退(随伴)モードの AAD(随伴自動微分)の理論上の所要時間は、どの組ですか。

    正解と解説

    正解: A

    バンプは 603 分、後退モードは 15 分未満です。片側のバンプは、元の評価 1 回と、入力を動かした評価 200 回の合計 201 回です。1 回が 3 分なので、201 × 3 = 603 分です。後退モードの手間は、理論上、元の評価の 5 倍未満で、感応度の本数によりません。3 × 5 = 15 なので、15 分未満です。

    600 分は、元の評価 1 回を数え忘れ、200 × 3 で出した値です。後退モードを 600 分とするのは、感応度の本数に比例して手間が増える前進モードの自動微分と取り違えた値です。前進モードの計算は、入力 1 つ分の方向ごとに 1 回要ります。ただし、15 分未満は出力が 1 つの場合の理論上の上限で、メモリなどの費用は別にかかります。

    詳しくは: AAD(随伴自動微分)