金利スワップの利払日や受け払いの金額を確かめる人は、予定日が休日に当たるたびに、契約で決めた営業日の調整でずらした日を使います。日付の計算を評価やシステムに組み込む人も同じです。この決まりで、利払日と利息の日数が決まります。

利払日が休日に当たると日付をずらす

金利スワップなどの取引では、利息を受け払いする日(利払日)を、契約のときに「毎年 1 月 31 日と 7 月 31 日」のように暦の日付で決めます。こうして決めた予定日が休日に当たると、その日を前後の営業日にずらします1。そのため、どの都市の休日で判断するか(休日カレンダー)と、休日に当たった日をどちらにずらすか(営業日の調整)を、あわせて契約で決めます。日本の清算機関の日本証券クリアリング機構(JSCC)は、円の金利スワップを清算する条件として、利払いに東京のカレンダーを使うことを求めています2。

営業日は、利払日のほかに、日々の金利を使う計算にもかかわります。日本円のオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)の変動金利の計算の例では、東京の銀行営業日ごとの翌日物金利を使い、月曜日が祝日でなければ、金曜日の金利を土曜日と日曜日の分もあわせて 3 日分に使います3。日々の金利を複利で積み上げる計算は後決め複利の計算で扱います。

日本の銀行の休日は法律で決まる

日本の銀行が休む日は法律で決まっていて、日曜日、土曜日、国民の祝日に関する法律の休日、12 月 31 日から 1 月 3 日までです4。銀行の休日に当たらない日が、銀行の営業日です。休日が続くと、暦の上では何日も先まで営業日がありません。2026 年 9 月は、19 日(土)、20 日(日)、21 日(月、敬老の日)、22 日(火、休日)、23 日(水、秋分の日)と 5 日続けて休日です5。

22 日は国民の祝日ではありませんが、前の日と次の日がどちらも祝日なので、国民の祝日に関する法律で休日になります。祝日が日曜日に当たったときに次の平日を休む振替休日も、同じ法律が定めています6。12 月 31 日は祝日ではなく、2026 年は木曜日ですが、銀行の休日です。

予定日を営業日にずらす 3 つの決まり

予定日が休日に当たったときの主なずらし方に、翌営業日、修正翌営業日、前営業日の 3 つがあります。東京のカレンダーで、2026 年の 3 つの予定日をずらすと次の表になります5。

予定日 休日の理由 翌営業日 修正翌営業日 前営業日
2026 年 9 月 20 日(日) 日曜日から 23 日まで休日が続く 9 月 24 日(木) 9 月 24 日(木) 9 月 18 日(金)
2026 年 10 月 31 日(土) 土曜日 11 月 2 日(月) 10 月 30 日(金) 10 月 30 日(金)
2026 年 12 月 31 日(木) 銀行の休日(12 月 31 日〜1 月 3 日) 2027 年 1 月 4 日(月) 12 月 30 日(水) 12 月 30 日(水)

3 つの決まりは次のとおりで1、JSCC で清算する金利スワップの営業日の調整もこのどれかです7。

  • 翌営業日(Following): 予定日の次の営業日にずらします。
  • 修正翌営業日(Modified Following): 予定日の次の営業日にずらします。ただし、その日が翌月になるときは、予定日の直前の営業日にずらします。
  • 前営業日(Preceding): 予定日の直前の営業日にずらします。

修正翌営業日の判定は図 1 のとおりです。

はいいいえ予定日は休日か予定日のままはいいいえ次の営業日は予定日と同じ月か直前の営業日にずらす次の営業日にずらす
図 1修正翌営業日で予定日をずらす判定
図の説明

修正翌営業日で予定日が動く先を、質問の順に見る図です。最初の質問は、予定日が休日かどうかです。「いいえ」なら、予定日が営業日なので、そのままです。「はい」なら、次の質問で、予定日の次の営業日が予定日と同じ月かどうかを見ます。「いいえ」(翌月になる)なら、予定日の直前の営業日にずらします。「はい」なら、次の営業日にずらします。表の 9 月 20 日は次の営業日(24 日)にずらし、10 月 31 日と 12 月 31 日は直前の営業日(10 月 30 日と 12 月 30 日)にずらします。

図 1 のとおり、表の 9 月 20 日は、翌営業日にずらすと 4 日後になりますが、まだ 9 月の中なので、修正翌営業日も同じ 24 日です。10 月 31 日と 12 月 31 日は、翌営業日にずらすと翌月(翌年)に入るため、修正翌営業日では前の営業日に戻ります。修正翌営業日を使うと、予定日が翌月にずれることはありません。ずらし方はこの 3 つに限らず、世界銀行グループの国際復興開発銀行(IBRD)の債券の条件には、変動利付債の条件で選べる別の決まり(Floating Rate Business Day Convention)もあります1。

代替参照金利委員会(ARRC)は、米国の指標金利の移行を進めた委員会です。2019 年にまとめた、SOFR(米ドルの翌日物金利)を使う変動利付債の慣行の資料では、修正翌営業日が OIS の標準の慣行とされています8。

計算例:利払日で変わる利息の日数

利払日をずらしたとき、利息の期間も同じようにずらして数えると、利息の金額が変わります。想定元本 100 億円、固定金利 1% で、2026 年 7 月 31 日(金)から 10 月 31 日(土)までの利息の架空の例で考えます。日数は実日数で数え、1 年を 365 日として年に直します。この数え方は日数計算の慣行の 1 つです。慣行ごとの違いは日数計算の慣行で扱います。

1 年分の利息は 100 億円の 1% の 1 億円なので、1 日あたりの利息は 1 億円を 365 で割った約 27 万 4 千円です。利息は、1 億円に期間の日数を掛けて 365 で割って求めます。表の 1 行目は、受け払いの日は営業日にずらしても、利息の期間は予定日の 10 月 31 日まで数える場合です。

利息の期間の終わり 日数 利息(円)
予定日の 10 月 31 日(調整しない) 92 25,205,479
修正翌営業日の 10 月 30 日(金) 91 24,931,507
翌営業日の 11 月 2 日(月) 94 25,753,425

修正翌営業日では期間が 1 日短くなり、利息は予定日のままより 273,972 円少なくなります。翌営業日なら期間が 2 日延び、利息は 547,946 円多くなります9。受け取る側から見ると、期間が延びれば受け取りが増え、縮めば減ります。払う側から見ると、その逆です。

期間の終わりをずらすと、次の期間の始まりも同じ日にずれます。ARRC の資料の変動利付債の慣行では、利払日を次の営業日にずらすと、その期間は延びて利息が増え、次の期間はその分だけ短くなります10。

一方で、受け払いの日だけを営業日にずらし、利息の期間は予定日のまま数える決め方(調整しない。アンアジャストともいいます)もあります。IBRD の債券の条件では、支払日が営業日でないときは次の営業日に支払い、支払日が変わっても利息の額は変わりません11。JSCC の清算の要件では、利息の期間を調整しない扱いは固定金利の側だけです12。

複数の休日カレンダーを組み合わせる

営業日は、2 つ以上の休日カレンダーを組み合わせて決めることもあります。例として、東京とニューヨークのカレンダーを組み合わせ、どちらか 1 つでも休日なら営業日にしないとします。米国の連邦準備制度では、2026 年 11 月 26 日(木)は感謝祭の休日です13。この日は東京では営業日なので、東京のカレンダーだけなら、11 月 26 日が予定日でもそのまま受け払いします。ニューヨークの休日を連邦準備制度と同じ日とすると、組み合わせたカレンダーでは 11 月 26 日は営業日ではなく、翌営業日にずらせば 27 日(金)です。

逆に、11 月 23 日(月)は勤労感謝の日で東京は休日ですが、連邦準備制度の休日の一覧にはありません513。組み合わせたカレンダーでは、この日も営業日になりません。どちらの都市の休日も、予定日をずらす理由になります。

組み合わせたときにどの日を営業日とするかは、取引の条件で決めます。JSCC は、円の金利スワップの利払いに東京のカレンダーを必ず使い、そのうえでニューヨーク、ロンドン、TARGET、シドニーのカレンダーを加えた取引も清算しています2。IBRD の債券の条件では、ユーロ以外の通貨の営業日は、通貨の主な金融センターと、条件で指定した都市の両方で銀行が支払いを決済し営業している日です。ユーロでは、主な金融センターの代わりに、TARGET が動いている日を使います14。

TARGET は都市ではなく、ユーロの決済システムです。IBRD の債券の条件でいう TARGET は、2007 年に動き始めた TARGET2 とその後継のシステムです15。今のユーロの即時グロス決済システムは、2023 年 3 月に TARGET2 に代わって動き始めた T2 です。欧州中央銀行(ECB)の T2 は、土曜日と日曜日のほか、1 月 1 日、聖金曜日、復活祭の翌月曜日、5 月 1 日、12 月 25 日、12 月 26 日に閉じます16。

休日カレンダーは毎年更新する

休日カレンダーは、一度作れば済むものではありません。国民の祝日のうち春分の日と秋分の日は、法律に月日が書かれておらず、国立天文台が毎年 2 月に翌年の日付を官報で公表します18。内閣府は、2028 年の祝日を 2027 年 2 月に掲載する予定です5。そのため、何年も先の予定日が休日に当たるかどうかは、取引を結んだときにはまだ確定していないことがあります。

法律で祝日が動いた年もあります。2020 年と 2021 年は、「令和三年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法」の特例で、海の日、スポーツの日、山の日が移りました19。2020 年の海の日は 7 月 23 日、スポーツの日は 7 月 24 日、山の日は 8 月 10 日でした20。祝日法の本来の決まりでは、2020 年の海の日は 7 月の第 3 月曜日の 20 日です6。祝日の日付は、このように法律の特例で変わることがあります。

契約で決まる範囲

予定日そのものの並べ方(JSCC の要件の一覧では Roll Convention の項目)も契約で決めます17。どの決まりとカレンダーを使うかは取引ごとに契約で決まり、例のとおりとは限りません。3 つの決まりは、国際スワップ・デリバティブズ協会(ISDA)の定義集で定義されたものとして、JSCC の清算の要件に挙がっています7。

例の東京の休日は、国民の祝日に関する法律と銀行法施行令の休日で、銀行が個別に営業所を休む日は含みません。地域の休日などは、金融庁長官の告示や承認、届出によって営業所の休日にできます4。

注

  1. International Bank for Reconstruction and Development「Prospectus」(Global Debt Issuance Facility、2021 年 9 月 24 日)の Condition 5(f)「Business Day Convention」(23〜24 ページ)と、Final Terms のひな形の 17(iv)(66 ページ)。 ↩ ↩2 ↩3

  2. 日本証券クリアリング機構「清算対象取引(金利スワップ)」の 13(金利の支払いに係るカレンダー)。 ↩ ↩2

  3. リスク・フリー・レートに関する勉強会「日本円OIS(Overnight Index Swap)─取引の概要と活用事例─」(2018 年 4 月 6 日、掲載ページの日付。資料は 2018 年 3 月時点の情報)の 5 ページ、「基本的な取引方式」。 ↩

  4. 「銀行法」第 15 条第 1 項(銀行の休日は日曜日その他政令で定める日に限る)と、「銀行法施行令」第 5 条第 1 項(祝日法の休日、12 月 31 日から 1 月 3 日まで、土曜日)、第 2 項(営業所の休日にできる日)。 ↩ ↩2

  5. 内閣府「国民の祝日について」の「令和8年(2026年)及び令和9年(2027年)の「国民の祝日」」。9 月 22 日は「祝日法第3条第3項による休日」と記載。 ↩ ↩2 ↩3 ↩4

  6. 「国民の祝日に関する法律」第 2 条(海の日は 7 月の第 3 月曜日)と第 3 条第 2 項(振替休日)、第 3 項(前日と翌日が祝日の日)。 ↩ ↩2

  7. 日本証券クリアリング機構「清算対象取引(金利スワップ)」の 12(営業日調整)。Following Business Day Convention、Modified Following Business Day Convention、Preceding Business Day Convention のいずれか。 ↩ ↩2

  8. Alternative Reference Rates Committee「SOFR Floating Rate Notes Conventions Matrix」(2019 年 8 月)の 12 ページ、「Business Day Convention」の行。 ↩

  9. 利息は円未満を四捨五入。差は、四捨五入した後の利息どうしの差。 ↩

  10. Alternative Reference Rates Committee「SOFR Floating Rate Notes Conventions Matrix」の 12 ページ、「Interest Payment Date Adjustment」の行。 ↩

  11. International Bank for Reconstruction and Development「Prospectus」の Condition 7(h)「Non-Business Days」(34〜35 ページ)。 ↩

  12. 日本証券クリアリング機構「適格金利スワップ取引の要件として定める事項について」(2026 年 7 月 21 日改正)の別紙の 47(Calculation Period Business Day Convention)。NONE(調整しない)は固定金利の側だけ。 ↩

  13. Board of Governors of the Federal Reserve System「Holidays Observed - K.8」の 2026 年の列(Thanksgiving Day、November 26)。 ↩ ↩2

  14. International Bank for Reconstruction and Development「Prospectus」の Condition 5(l) の「Business Day」の定義(25 ページ)。 ↩

  15. International Bank for Reconstruction and Development「Prospectus」の Condition 5(l) の「Business Day」の定義(25 ページ。ユーロ建ての債券では TARGET System が動いている日)と「TARGET System」の定義(29 ページ)。 ↩

  16. European Central Bank「What is T2?」の冒頭の説明(T2 は Eurosystem の即時グロス決済システムで、2023 年 3 月に TARGET2 に代わって動き始めた)と「T2 opening hours」。 ↩

  17. 日本証券クリアリング機構「適格金利スワップ取引の要件として定める事項について」の別紙の 2、25〜27、29〜30、38〜42、47〜48、51〜57。 ↩ ↩2 ↩3

  18. 内閣府「国民の祝日について」の「「春分の日」及び「秋分の日」について」。 ↩

  19. 「令和三年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法」第 32 条(令和 2 年と令和 3 年の国民の祝日に関する祝日法の特例)。 ↩

  20. 内閣府「国民の祝日について」の「令和2年(2020年)及び3年(2021年)における「国民の祝日」の移動について」。 ↩