架空の例として、ある事業会社が、輸入代金の円安に備えるヘッジとして、銀行と為替予約を結びます。顧客向け業務の流れの中で、約定から期日までの段にすることはどれですか。
理解度チェック: 約定まで
最終確認日: 2026年9月26日
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「約定まで」の章の内容を確かめる 7 問の問題です。選択肢を選んで「回答する」を押すと、正解と解説が出ます。「正解と解説」を開いて、先に答えを見ることもできます。
問 1
正解と解説
正解: C
約定から期日までの段にするのは、事業会社の求めに応じて、取引の時価とその時点の解約清算金の額を知らせることです。金融庁の「主要行等向けの総合的な監督指針」は、期日までの間の対応も、銀行の説明の体制に含めています。銀行は、事業会社の業況と実際の輸入の状況に照らしてヘッジが有効に働き続けているかを確かめ、求めがあれば、決算や解約の判断に使えるよう時価と解約清算金の額を知らせます。
ほかの 3 つは、約定の前の段です。本人確認のうち、犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯罪収益移転防止法)が銀行などに求める手続きが取引時確認で、法人なら取引の目的や事業の内容などを確かめます。与信審査では、審査部署が信用力を審査し、与信枠を決めます。
書面での説明も約定の前の段で、解約清算金はそこにも出てきます。約定の前には、最悪のシナリオでの損失と、途中で解約するときに受け払いする解約清算金を、例を入れた書面で説明し、説明を受けたことを確かめて記録に残します。約定の後に知らせるのは、その時点の解約清算金の額です。
詳しくは: 顧客向け業務の流れ
問 2
架空の例として、ある輸出企業は、1 年後に 400 万ドルをまとめて受け取る見込みです。この会社は、実需の金額のうちヘッジする金額の割合であるヘッジ比率を 50% とし、その金額について 1 年後に 1 ドル 145 円でドルを売る為替予約を結びました。残りは、受け取った日の相場で円に換えます。受け取った日の相場が 1 ドル 135 円だったとき、円での受取額は合わせていくらですか。
正解と解説
正解: B
円での受取額は 5 億 6,000 万円です。ヘッジ比率が 50% なので、予約した金額は 400 万ドルの半分の 200 万ドルです。予約した部分の受取額は、200 万ドル × 145 円 = 2 億 9,000 万円です。残りの 200 万ドルはその日の相場で換えるので、200 万ドル × 135 円 = 2 億 7,000 万円です。合わせて 5 億 6,000 万円になります。
5 億 8,000 万円は、400 万ドルのすべてを 145 円で換えた値で、ヘッジ比率 100% のときの受取額です。5 億 4,000 万円は、すべてをその日の相場で換えた値で、ヘッジしないときの受取額です。2 億 9,000 万円は、予約した部分だけを数え、残りの 200 万ドルを換えた額を足し忘れた値です。
相場が逆に動くこともあります。受け取った日の相場が 1 ドル 155 円なら、予約していない 200 万ドルは 200 万ドル × 155 円 = 3 億 1,000 万円です。比率 50% の受取額は、2 億 9,000 万円と合わせて 6 億円です。ヘッジしないときの受取額は、400 万ドル × 155 円 = 6 億 2,000 万円です。比率 50% の受取額は、135 円のときはヘッジしないときより 2,000 万円多く、155 円のときは 2,000 万円少なくなります。比率を上げるほど受取額は相場に左右されにくくなる一方、相場が有利に動いたときの得も小さくなります。
詳しくは: 顧客のニーズの把握
問 3
架空の例として、ある株式会社が、金融機関と店頭デリバティブの取引を始めます。この会社の議決権は、今は役員でない創業者(個人)が 30% を直接持ち、ほかに議決権の 4 分の 1 を超えて持つ株主はいません。社長は創業者とは別の人で、金融機関との手続きは、財務部長が会社のために行います。犯罪収益移転防止法の取引時確認で、実質的支配者として本人特定事項を確かめる相手は誰ですか。
正解と解説
正解: A
実質的支配者は創業者です。実質的支配者は、法人の事業経営を実質的に支配できる個人です。株式会社では、議決権の総数の 4 分の 1 を超えて直接か間接に持つ個人がこれに当たります。創業者は役員でなくても、議決権の 30% を持っているため当たります。
社長のように法人を代表して業務を執行する個人が実質的支配者になるのは、4 分の 1 を超えて持つ個人も、出資や融資、取引などを通じて事業活動に支配的な影響力を持つ個人もいないときです。この会社には創業者がいるので、社長は当たりません。
財務部長は、会社のために実際に手続きをする個人(代表者等)です。代表者等の氏名、住居、生年月日も確かめますが、実質的支配者として確かめるのではありません。法人の顧客との取引時確認では、名称と本店の所在地、取引を行う目的、事業の内容、実質的支配者の本人特定事項の 4 つを確かめます。
詳しくは: 本人確認と与信審査
問 4
架空の例として、ある事業会社は、1 年後に輸入の代金 200 万ドルを払う予定です。営業担当者は、1 年後に 1 ドル 150 円で 200 万ドルを買う為替予約を提案し、提案書の最悪のシナリオは 1 ドル 110 円です。この会社が許容できる損失額は 4,000 万円で、手数料は考えません。為替予約の損失が許容額と同じになるのは、1 年後の直物相場が 1 ドル何円のときですか。
正解と解説
正解: B
損失が許容額と同じになるのは、1 ドル 130 円のときです。為替予約の損益は、(1 年後の直物相場 − 150 円) × 200 万ドルです。直物相場が 130 円なら、(130 円 − 150 円) × 200 万ドル = −4,000 万円で、損失が許容額の 4,000 万円と同じになります。130 円より円高になれば、損失は許容額を超えます。
110 円は最悪のシナリオの水準です。そのときの損失は (110 円 − 150 円) × 200 万ドル = −8,000 万円で、これが想定最大損失額です。損失は、最悪のシナリオの 110 円に至る前の 130 円で許容額の 4,000 万円に達し、それより円高なら許容額を超えます。このように許容額を超える相場の水準があれば、営業担当者はそのことを顧客が理解できるように説明します。
170 円は、損失の向きを取り違えた値です。円安の 170 円なら、会社は直物で買うより 4,000 万円安くドルを買えるので、4,000 万円の得になります。輸入の代金を予定どおり払うなら、どの相場でも支払いは 150 円 × 200 万ドル = 3 億円で変わりません。為替予約の損失がそのまま会社の損失になるのは、事業が縮小するなどして輸入がなくなったときです。
詳しくは: 提案と説明
問 5
架空の例として、特定投資家でない事業会社が、同種の内容の店頭デリバティブ取引契約を 3 回結びます(2026 年 6 月 1 日、12 月 1 日、2027 年 8 月 1 日)。金融機関は、1 回目の前に金融商品取引法 37 条の 3 の情報を書面で提供し、2 回目の前には提供せず、簡潔な重要情報提供等も使っていません。3 回目の契約の前に、情報の提供は要りますか。
正解と解説
正解: D
3 回目の契約の前には、情報の提供が要ります。金融商品取引法 37 条の 3 の情報を書いた書面を契約締結前交付書面といいます。契約の前 1 年以内に、同種の内容の契約について書面か電磁的方法で情報を提供していれば、提供を要しません(金融商品取引業等に関する内閣府令(以下、内閣府令)80 条 1 項 1 号)。3 回目の 2027 年 8 月 1 日は、1 回目に提供した 2026 年 6 月 1 日から 1 年を過ぎています。
内閣府令の店頭デリバティブ取引契約に当たらない取引なら、提供から 1 年以内に同種の内容の契約を結ぶと、その日に提供したとみなされ、1 年の起点が進みます。店頭デリバティブ取引契約は、このみなしから除かれています。そのため、2 回目の契約があっても、起点は 2026 年 6 月 1 日のままです。この取引が店頭デリバティブ取引契約に当たらなければ、起点は 2026 年 12 月 1 日に進み、3 回目は 1 年以内なので提供を要しません。
同種の内容の取引でも、この例外で提供を要しないのは、提供から 1 年以内に結ぶ契約だけです。1 年以内に提供したときの例外そのものは、店頭デリバティブ取引契約にも当てはまります。2 回目は 1 回目から 1 年以内なので、提供を要しませんでした。記載事項に変わるものがないときに提供を要しない例外は、すでに結んでいる契約の一部を変える契約のためのもので、新しく結ぶ 3 回目の契約には当たりません。
詳しくは: 取引説明書と契約締結前交付書面
問 6
架空の例として、ある事業会社は、原材料の輸入の代金として毎月 100 万ドルを払っており、銀行と、毎月 100 万ドルを買う為替予約を 2 年分(24 か月)結んでいます。契約から 6 か月後の見直しで、これからの輸入は毎月 70 万ドルに減る見込みと分かりました。残りの期間で、為替予約のうち実需を超える金額は合わせていくらですか。
正解と解説
正解: A
実需を超える金額は、合わせて 540 万ドルです。残りの期間は、24 か月 − 6 か月 = 18 か月です。毎月の超える分は、100 万ドル − 70 万ドル = 30 万ドルです。合わせると、30 万ドル × 18 か月 = 540 万ドルになります。
720 万ドルは、すでに過ぎた 6 か月も含めて、24 か月分を数えた値です(30 万ドル × 24 か月)。この 6 か月の輸入は減る前で、実需を超えていません。1,260 万ドルは、残りの 18 か月の実需(70 万ドル × 18 か月)で、予約のうちヘッジの対象がある部分です。
実需を超える部分は、ヘッジの対象がない持ち高で、相場によって得にも損にもなります。銀行は、契約した後も定期的に、また必要に応じて、顧客の業況と財務の内容を踏まえ、実需に照らしてヘッジが有効か、顧客がそのヘッジを続けられるかを確かめます。ヘッジの手段そのものに損がなくても、事業の規模が小さくなるなどして、契約の終わりまでヘッジとして働かなくなる場合があります。見直しの結果、顧客が契約を期日の前に終えること(期限前解約)を考えることもあります。
詳しくは: 適合性の確認
問 7
架空の例として、ある事業会社の財務担当者が、金融機関の営業担当者が電話で示した取引できる価格 1 ドル 140.00 円で、1 年後に 100 万ドルを売る為替予約を結ぶと答え、金融機関がそれを受けました。その日のうちに相場が動き、同じ条件の価格は 1 ドル 139.50 円になりました。取引確認書(コンファメーション)は、まだ取り交わしていません。この取引の扱いとして正しいものはどれですか。
正解と解説
正解: C
取引は、事業会社の答えを金融機関が受けた時点で成立しており、1 ドル 140.00 円の条件は変わりません。契約は、申込みに相手が承諾したときに成立し、法令に特別の決まりがなければ書面は要りません。この取引で、1 年後に事業会社が 100 万ドルを渡し、1 億 4,000 万円を受け取ることが決まっています。
確認書は、合意した条件を書面に記録し、双方の記録を照らし合わせて誤りを見つけるためのもので、取引を成立させるものではありません。約定した条件は、確認書を取り交わす前でも、後から簡単には変えられません。仮に 139.50 円で決め直せば、受取額は 1 億 3,950 万円で、50 万円少なくなります。相場が逆に 140.50 円に動いていても、条件は 140.00 円のままで、受取額が 50 万円増えることはありません。
詳しくは: 約定