架空の例として、銀行が事業会社と、想定元本 200 億円の金利スワップを結び、固定金利 1.5% を受け取って変動金利を払っています。取引の残りは 3 年で、残り 3 年のスワップの固定金利の相場は 1.0% です。変動金利の受け払いは結び直しても同じとし、割引は考えません。事業会社が破綻したとき、銀行の再構築コストはいくらですか。
理解度チェック: エクスポージャー
最終確認日: 2026年9月26日
下書きです。公開前の確認のために表示しています。
「エクスポージャー」の章の内容を確かめる 6 問の問題です。選択肢を選んで「回答する」を押すと、正解と解説が出ます。「正解と解説」を開いて、先に答えを見ることもできます。
問 1
正解と解説
正解: C
銀行の再構築コストは 3 億円です。再構築コストは、同じ取引を今の相場で結び直すのにかかる額です。銀行は元の取引で固定金利 1.5% を受け取っていましたが、結び直すと今の相場の 1.0% しか受け取れません。差の 0.5% は、想定元本 200 億円に対して毎年 1 億円です。残りの 3 年で 1 億円 × 3 = 3 億円になります。
1 億円は、差の 1 年分だけを数えた値です。0 億円は、時価がマイナスの側の再構築コストです。この相場では、事業会社から見た時価はマイナスで、銀行が破綻しても、事業会社は結び直すとかえって有利な条件になります。そのため、銀行が破綻したときの事業会社の再構築コストは 0 です。
相場が逆に動いて、残り 3 年の固定金利の相場が 2.0% に上がったとします。このときは事業会社から見た時価がプラスになり、銀行が破綻すると、事業会社の再構築コストは (2.0% − 1.5%) × 200 億円 × 3 年 = 3 億円です。事業会社が破綻したときの銀行の再構築コストは 0 になります。
詳しくは: カウンターパーティ・クレジットリスクとは
問 2
架空の例として、ある取引の半年後の時価を、10 本の経路でシミュレーションしました。経路ごとの時価は、−5、−3、−2、−1、0、1、2、3、5、8 億円です。この時点の期待エクスポージャー(EE)はいくらですか。
正解と解説
正解: A
EE は 1.9 億円です。経路ごとのエクスポージャーは、時価のプラスの部分で、時価がマイナスなら 0 です。エクスポージャーの合計は 1 + 2 + 3 + 5 + 8 = 19 億円です。EE は、これを経路の数で割った値で、19 ÷ 10 = 1.9 億円です。
0.8 億円は、時価そのものの平均です。時価の合計は −11 + 19 = 8 億円で、8 ÷ 10 = 0.8 億円になります。時価がマイナスの経路を 0 にしてから平均するため、EE は時価の平均のプラスの部分以上になります。3.8 億円は、時価がプラスの 5 本の経路だけで平均した値です(19 ÷ 5)。EE は、エクスポージャーが 0 の経路も含めて、すべての経路で平均します。
詳しくは: エクスポージャーの種類と計測
問 3
ある銀行は、1 つの取引相手に許せるエクスポージャーの大きさを、取引相手ごとの与信枠で管理しています。与信枠と比べる指標として主に使うのはどれですか。
正解と解説
正解: D
与信枠と比べるのは、ポテンシャル・フューチャー・エクスポージャー(PFE)です。PFE は、将来のある時点のエクスポージャーの分布の高い分位点(95% や 99%)で、分布の端を表します。1 つの取引相手に許せる大きさ(リスク許容度)を決めるには、この分布の端を見ます。与信枠は、少なくとも毎日、PFE が上限の中にあるかを確かめて管理します。
EE は、将来のある時点のエクスポージャーの平均です。デフォルトの確率と掛けて損失の見込みを求めるため、CVA の計算に使います。期待エクスポージャーの平均(EPE)は、EE を期間で平均した値で、多数の取引相手をまとめた信用リスクのモデルで、平均的な額として使います。カレント・エクスポージャー(CE)は、今の時価のプラスの部分で、今リスクにさらされている額の把握に使います。将来の時点で CE がどれだけの大きさになりうるかは表しません。規制資本には、規制で決まった方法で求めるデフォルト時エクスポージャー(EAD)を使います。
詳しくは: エクスポージャーの種類と計測
問 4
正解と解説
正解: B
エクスポージャーを持たないのは、オプションの売り手です。売り手はプレミアムを受け取った後、相手から受け取るものが残っていません。
オプションの買い手は、プレミアムを払った後は権利を持つだけです。買い手から見た時価は、市場が動いて下がってもマイナスにはならないため、オプションに価値がある限り、売り手に対するエクスポージャーを持ちます。クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)のプロテクションの買い手は、参照組織にクレジット・イベントが起きたときに売り手から支払いを受けるため、売り手に対してエクスポージャーを持ちます。為替予約の買い手は、ドルの相場が予約した相場より高くなって時価がプラスになれば、取引の相手に対するエクスポージャーを持ちます。途中の受け払いがなく満期に全額を交換するため、その大きさは満期に向けて大きくなります。
詳しくは: 商品ごとのエクスポージャーの出方
問 5
結んだ時点の時価が 0 の金利スワップについて、固定払いの側と固定受けの側で、取引の相手に対する将来のエクスポージャーを比べます。イールドカーブが右上がりのとき、エクスポージャーが大きくなるのはどちらの側ですか。
正解と解説
正解: A
エクスポージャーが大きくなるのは、固定払いの側です。固定払いの側は金利が上がると時価がプラスになり、固定受けの側は金利が下がるとプラスになります。右上がりのカーブでは、先の変動金利ほど高く見込まれます。固定払いの側は変動金利を受け取るため、時価がプラスに傾き、エクスポージャーが大きくなります。
どちらの側もほぼ同じ大きさになるのは、イールドカーブが平らで、先の金利の上げ下げを見込まないときです。このときは 2 つの側のエクスポージャーがほぼ対称になり、どちらかの側だけが大きくなることはありません。右上がりのカーブでは、固定受けの側の時価はマイナスに傾くため、固定受けの側のエクスポージャーは固定払いの側より小さくなります。
詳しくは: 商品ごとのエクスポージャーの出方
問 6
架空の例として、銀行が L 社との 1 年後に満期の取引を、割引なし、損失率(LGD)50% で評価します。市場は確率 90% で「平常」、10% で「ストレス」になり、エクスポージャーは平常で 20 億円、ストレスで 60 億円です。L 社の 1 年間のデフォルト確率(PD)は、平常で 1.5%、ストレスで 6.5%、全体で 2.0% です。誤方向リスクを入れた CVA はいくらですか。
正解と解説
正解: C
CVA は 3,300 万円です。誤方向リスクを入れるには、L 社がデフォルトしたときのエクスポージャーの平均を使います。場面ごとに「確率 × その場面での PD × エクスポージャー」を足すと、0.9 × 1.5% × 20 億円 + 0.1 × 6.5% × 60 億円 = 0.27 + 0.39 = 0.66 億円です。これを全体の PD の 2.0% で割ると、デフォルト時のエクスポージャーの平均は 33 億円になります。CVA は 33 億円 × 2.0% × 50% = 0.33 億円(3,300 万円)です。
2,400 万円は、エクスポージャーの平均を、場面の確率だけで求めた 0.9 × 20 + 0.1 × 60 = 24 億円とした値(24 億円 × 2.0% × 50%)です。この値は、エクスポージャーと L 社のデフォルトが関係しないとみなすため、ストレスで PD が高くなる効果が抜け落ちます。6,600 万円は、LGD の 50% を掛け忘れた値です。6,000 万円は、デフォルトが起きるのはストレスだけとして、ストレスのエクスポージャー 60 億円に全体の PD と LGD を掛けた値です(60 億円 × 2.0% × 50%)。平常の場面のデフォルトを数えていません。
仮に PD が平常で 2.2%、ストレスで 0.2% なら、全体の PD は同じ 2.0% です。場面ごとの「確率 × その場面での PD × エクスポージャー」を足すと、0.9 × 2.2% × 20 億円 + 0.1 × 0.2% × 60 億円 = 0.396 + 0.012 = 0.408 億円です。これを 2.0% で割ると、デフォルト時のエクスポージャーの平均は 20.4 億円になります。CVA は 2,040 万円と、関係がない場合の 2,400 万円より小さくなります。
詳しくは: 誤方向リスク