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デリバティブ・コンパス

理解度チェック: 金利オプション

最終確認日: 2026年9月25日

下書きです。公開前の確認のために表示しています。

「金利オプション」の章の内容を確かめる 4 問の問題です。選択肢を選んで「回答する」を押すと、正解と解説が出ます。「正解と解説」を開いて、先に答えを見ることもできます。

  1. 問 1

    架空の例として、A 社は 50 億円を変動金利で借りていて、利払いは年 1 回、期間の長さはどれも 1 年です。A 社は、想定元本 50 億円、行使金利 2.0% の金利キャップ(キャップ)を買っています。ある期間の初めに変動金利が 3.0% に決まったとき、その期間の借り入れの利払いからキャップの受取を差し引いた額はいくらですか。

    正解と解説

    正解: C

    借り入れの利払いは、50 億円 × 3.0% = 1.5 億円です。キャップの受取は、想定元本を MM、期間の長さ(年)を δ\delta、期間の初めに決まった変動金利を LL、行使金利を KK として M×δ×max⁡(L−K,0)M \times \delta \times \max(L - K, 0) で、50 億円 × 1 × (3.0% − 2.0%) = 0.5 億円です。差し引きの利払いは 1.5 − 0.5 = 1 億円で、行使金利の 2.0% 分で止まります。変動金利がどれだけ上がっても、行使金利を超えた分はキャップから受け取り、利払いに充てられます。そのため、キャップを買うと利払いの負担に上限を付けられます。

    1.5 億円は、キャップのない借り入れの利払いです。0.5 億円は、キャップの受取だけを取り出した値です。2 億円は、キャップの受取を払うものと取り違えて、利払いに足した値です。

    変動金利が 1.5% に決まった期間は、差が 0 以下なのでキャップからは何も受け取りません。利払いは 50 億円 × 1.5% = 7,500 万円で、3.0% の期間より減ります。キャップのない借り入れと同じです。ここまでの金額に、キャップを買うときに払うプレミアムは含めていません。金利が上がらなかった場合は、払ったプレミアムが、キャップを買わなかった場合より余分な負担になります。キャップの売り手の損益はキャップの買い手の反対で、金利が上がらなければプレミアムの分だけ得になり、金利が上がるほど支払いが増えます。キャップはオプションなので、買い手の損失は払ったプレミアムまでです。

    詳しくは: キャップとフロア

  2. 問 2

    架空の例として、キャップと金利フロア(フロア)は行使金利、期間、支払日、想定元本が同じで、価格はキャップが 9,000 万円、フロアが 1 億 5,000 万円です。この行使金利を固定金利として払い、変動金利を受け取る金利スワップの価値はいくらですか。

    正解と解説

    正解: B

    行使金利、期間、支払日、想定元本が同じなら、キャップの価格は、フロアの価格と金利スワップの価値の和に等しくなります。このスワップは、行使金利を固定金利として払い、変動金利を受け取る取引です。そのため、スワップの価値はキャップからフロアを引いた 9,000 万円 − 1 億 5,000 万円 = −6,000 万円です。キャップを買ってフロアを売ると、どの期間でも、変動金利 LL が行使金利 KK を上回れば差額を受け取り、下回れば差額を払うためです。価値がマイナスなのは固定金利を払う側にとってで、固定金利を受け取る反対側には 6,000 万円のプラスです。

    max⁡(L−K,0)−max⁡(K−L,0)=L−K\max(L - K, 0) - \max(K - L, 0) = L - K

    この関係は、キャップとフロアの間のプット・コール・パリティです。受け払いそのものから導かれるため、ブラック・モデルとバシュリエ・モデル(正規モデル)のどちらを使っても成り立ちます。2 つのモデルでキャップとフロアの価格がそれぞれ違っても、キャップからフロアを引いた差は同じになります。そのため、最後の選択肢は誤りです。

    6,000 万円は、フロアからキャップを引いた値で、同じスワップで固定金利を受け取る側から見た価値です。2 億 4,000 万円は、キャップとフロアの価格を足した値です。

    詳しくは: キャップとフロア

  3. 問 3

    架空の例として、A 社は、想定元本 50 億円、スワップの期間 4 年、行使金利 1.00% のペイヤーズ・スワップションを買っています。スワップの支払いは年 1 回で、期間の長さはどれも 1 年です。満期に、市場で同じ 4 年のスワップを結べるスワップレートは 1.40% でした。A 社が行使して持つスワップは、市場で同じスワップを結ぶ場合より、固定金利の支払いが毎年いくら少なくなりますか。

    正解と解説

    正解: D

    ペイヤーズ・スワップション(ペイヤーズ)は、固定金利を払うスワップを始める権利です。満期の市場のスワップレートが行使金利より高ければ、買い手は行使して、市場より低い固定金利で払う側になれます。この例では、市場より 1.40% − 1.00% = 0.40% 低い固定金利で払えるため、差は毎年 50 億円 × 0.40% = 2,000 万円です。

    7,000 万円は市場のスワップレートで払う毎年の固定金利(50 億円 × 1.40%)、5,000 万円は行使金利で払う毎年の固定金利(50 億円 × 1.00%)で、どちらも差ではありません。8,000 万円は、毎年の差を 4 年分足した、割り引く前の合計です。

    この差は満期の後に受け取るお金で、満期より前に払ったプレミアムとは受け払いの時点が違います。毎年の差を今の時点まで割り引いて足した額がプレミアムを上回れば買い手の得、下回れば損です。満期のスワップレートが 1.00% 以下なら、ペイヤーズの買い手は行使せず、払ったプレミアムの分だけ損をします。レシーバーズ・スワップションの買い手は逆に、スワップレートが行使金利より低いときに行使します。売り手の損益は買い手の裏返しで、プレミアムを受け取る代わりに、行使されれば市場より不利な固定金利のスワップを持ちます。

    詳しくは: スワップション

  4. 問 4

    架空の例として、想定元本、満期、期間、行使金利が同じペイヤーズ・スワップション(ペイヤーズ)とレシーバーズ・スワップション(レシーバーズ)があります。ブラック・モデルでボラティリティ 30% の価格は、ペイヤーズが 48,100,402 円、レシーバーズが 93,946,937 円です。ボラティリティだけを 40% に上げると、差(ペイヤーズの価格 − レシーバーズの価格)はどうなりますか。

    正解と解説

    正解: A

    同じ満期、スワップの期間、行使金利のペイヤーズを買い、レシーバーズを売ると、満期のスワップレートがどうなっても、行使金利で固定金利を払うスワップを持つことになります。スワップレートが行使金利より高ければ自分がペイヤーズを行使し、低ければ相手がレシーバーズを行使するためです。そのため、2 つの価格の差は、行使金利を固定金利とする先スタートの固定払いのスワップの価値に等しくなります。想定元本を NN、アニュイティ(行使で始まるスワップの各支払日の割引係数の和)を AA、フォワード・スワップレート(満期に始まるスワップの時価を今の時点で 0 にする固定金利)を FF、行使金利を KK とすると、次の式です。

    Vpayer−Vreceiver=NA(F−K)V_{\text{payer}} - V_{\text{receiver}} = N A (F - K)

    右辺にボラティリティは入らないため、差はボラティリティで変わりません。30% のときの差は 48,100,402 − 93,946,937 = −45,846,535 円です。記事の例は、想定元本 100 億円、満期 2 年、スワップの期間 3 年、行使金利 1.50% です。40% に上げると、ペイヤーズは 69,848,655 円、レシーバーズは 115,695,190 円になり、差は同じ −45,846,535 円です。

    ボラティリティが上がると、ペイヤーズもレシーバーズも価格が上がります。片方だけが上がるとした 2 つの選択肢と、0 に近づくとした選択肢は、この向きを取り違えています。ボラティリティが上がると、ペイヤーズとレシーバーズのどちらでも買い手は得をし、売り手は損をします。

    詳しくは: スワップション