理解度チェック: 金利のエキゾチック
最終確認日: 2026年10月15日
下書きです。公開前の確認のために表示しています。
「金利のエキゾチック」の章の内容を確かめる 7 問の問題です。選択肢を選んで「回答する」を押すと、正解と解説が出ます。「正解と解説」を開いて、先に答えを見ることもできます。
問 1
正解と解説
正解: D
CMS では、受け取る時点の期待値として見たスワップレートが、今の市場から求めた先のスワップレートと一般には一致しません。そのため、評価ではコンベキシティ調整と呼ばれる調整が要ります。
ほかの 3 つは、CMS 以外の金利エキゾチックや仕組商品で評価と売買が難しい理由です。2 つの金利の相関の影響は、複数の原資産を持つ商品に特有のリスクで、原資産が 1 つの商品にはありません。満期の前に行使できる権利は、バミューダン型の商品にあります。金利の期間構造モデルの 1 つの LIBOR マーケット・モデルでこの権利を評価するときは、最小二乗モンテカルロ法などの計算の工夫が必要になります。流動性の低さは、仕組商品を売るときの問題で、評価の調整の理由ではありません。
詳しくは: 金利エキゾチックの全体像
問 2
5 年物のスワップレートを参照する CMS があり、利息は年 1 回、観測日のスワップレートで決まります。観測日が 5 年後の回と、その 1 年後の回では、参照するスワップはどうなりますか。
正解と解説
正解: C
CMS は、観測日が来るたびに、その日から始まる同じ期間のスワップのレートを使います。そのため、回ごとに参照するスワップは別のものです。観測日が 5 年後の回は 5 年後に始まる 5 年物、その 1 年後の回は 6 年後に始まる 5 年物のスワップのレートで決まります。
どちらの回も同じスワップを参照すると考えると誤ります。7 年後に始まるとするのは、観測日の間隔を 2 年と考えた値で、利息が年 1 回なら間隔は 1 年です。
詳しくは: CMS
問 3
架空の例として、10 年スワップレートと 2 年スワップレートの差を対象にしたコールを考えます。期間は 1 年、行使価格は差の期待値と同じで、割引は考えません。2 つのスワップレートは正規分布に従い、標準偏差はどちらも年 100bp(1bp は 0.01%)で変わりません。2 つのスワップレートの相関係数が 0.9 から 0.1 に下がると、このオプションのプレミアムはどうなりますか。
正解と解説
正解: A
差の標準偏差を 、2 つのスワップレートの標準偏差を 、、相関係数を とすると、 です。
相関係数が 0.9 のとき、差の標準偏差は約 44.7bp、0.1 のときは約 134.2bp です。相関が低いほど 2 つのレートが別々に動きやすくなり、差の標準偏差が大きく、プレミアムは高くなります。
相関が低いとプレミアムが下がる、という見方とは逆です。各レートの標準偏差が同じでも、相関が変わると差の標準偏差が変わるため、プレミアムも変わります。買い手は、差が行使価格を超えれば、その分を受け取れます。超えなければ、プレミアム分の損になります。
詳しくは: CMS スプレッド・オプション
問 4
架空の例として、ある会社が、想定元本 1 億円、行使金利 2%、満期 5 年で、1〜4 年後の年 1 回の日に行使できるペイヤーズ・スワップション(固定金利を払い、変動金利を受け取る側でスワップを始める権利)を買いました。3 年後に始まる 2 年物のスワップの市場の固定金利が 3.5% のとき、3 年後に行使すると、固定金利の支払は、割り引く前の合計で市場の水準よりいくら少なくなりますか。
正解と解説
正解: B
行使日が複数あるバミューダン・オプションの形のスワップションでは、行使日が遅いほど、始まるスワップの期間は短くなります。3 年後に行使すると、始まるスワップは 5 年後までの 2 年です。
固定金利は、市場の 3.5% に対し、行使金利の 2% で払えるため、年 1.5% の差です。1 年あたりでは、1 億円 × 1.5% = 150 万円です。2 年では、150 万円 × 2 = 300 万円です。
150 万円は 1 年分だけ、450 万円は 3 年後に行使するので 3 年のスワップと考えた値(150 万円 × 3)です。600 万円は、1 年後に行使した場合の 4 年のスワップの値(150 万円 × 4)です。
3 年後の市場の固定金利が行使金利 2% を下回る、たとえば 1.5% なら、行使すると市場より年 50 万円(1 億円 × 0.5%)多く払うため、行使しません。買ったときに払ったプレミアムの分は、使わなければ損になります。
詳しくは: バミューダン・スワップション
問 5
固定金利の払い手が、満期の前にスワップを解約できる権利を持つコーラブル・スワップがあります。同じ条件の通常のスワップと比べて、このスワップの固定金利はどうなりますか。
正解と解説
正解: A
コーラブル・スワップでは、最初に払うプレミアムはなく、権利の対価は固定金利の差に表れます。払い手が権利を持つと、固定金利は同じ条件の通常のスワップより高くなります。架空の例では、通常のスワップが年 2.0% のとき、3 年後から解約できるコーラブル・スワップは年 2.3% です。
スワップションでは買い手がプレミアムを一時金で払いますが、コーラブル・スワップはそうではないため、2 つ目は誤りです。受け手が権利を持つ場合は、固定金利が通常より低くなり、3 つ目はその場合の値です。
権利を持つ払い手は、金利が下がれば解約して低い固定金利で結び直せるため得をします。金利が上がれば、上乗せ分が負担として残ります。
詳しくは: コーラブル・スワップ
問 6
レンジアクルーアルの債券は、参照する金利があらかじめ決めた範囲の中にある日は高い利率、外にある日は低い利率で利息を積み上げます。この債券を買った投資家は、デリバティブで見ると、どの立場と同じですか。
正解と解説
正解: B
利息を受け取る投資家は、観測日ごとに一連のデジタル・オプションを売った立場と同じです。範囲の上端を行使価格とするコールと、下端を行使価格とするプットを、どちらも売ります。売った見返りが、範囲の中の利率の上乗せとして利息に出ます。
高い利率の利息を受け取れることから、オプションを買った立場と考えると誤ります。投資家は、オプションを売る側に立っています。範囲の端にバリア・オプションを売る形もありますが、まれな形で、これも売る側です。プットを買う形は、下端の側の向きが逆になります。
投資家の損益は、金利が範囲の外に出る日で変わります。毎日範囲の中にあれば、利息は範囲の中の利率のままです。範囲の外にあった日が増えるほど、その日の分だけ利率の差の分が減ります。
詳しくは: レンジアクルーアル
問 7
架空の例として、利払いが年 1 回のスノーボール債を持つ投資家がいます。1 年目の利率は 3.0% の固定です。2 年目以降の利率は、前の期の利率に加算分 2.0% を足し、その期の変動金利を引いた値とし、負になるときは 0% とします。変動金利が 2 年目に 4.0%、3 年目に 5.5%、4 年目に 1.0% のとき、4 年目の利率は何 % ですか。
正解と解説
正解: C
2 年目の利率は、3.0% + 2.0% − 4.0% = 1.0% です。3 年目は、1.0% + 2.0% − 5.5% = −2.5% で負になるため、0% です。4 年目は、前の期の利率が 0% なので、0% + 2.0% − 1.0% = 1.0% です。
0% は、3 年目に 0% になると 4 年目以降も 0% のままと考えた値です。3.0% は、変動金利を引かずに足した値(0% + 2.0% + 1.0%)、4.0% は、前の期の利率ではなく 1 年目の利率から出し直した値(3.0% + 2.0% − 1.0%)です。
スノーボールの利率は、それまでの金利の動きで決まります。変動金利が下がり続ければ、利率は積み上がります。たとえば 2 年目から 5 年目の変動金利が 1.0%、0.8%、0.5%、0.5% と下がると、5 年目の利率は 8.2% です。変動金利が上がり続ければ、利率は減り、下限の 0% になることもあります。
詳しくは: スノーボール