取引所の上場商品や清算を扱う業務では、今の商品や市場が、いつ、どの取引所で始まり、どこへ移ったかをたどる場面があります。

何が起きたか

1985 年(昭和 60 年)10 月 19 日の東京証券取引所の長期国債先物の取引開始から、商品が一つずつ増え、取引所どうしが統合される形で今の姿になりました1。1988 年(昭和 63 年)には株価指数先物、1989 年と 1990 年にはオプションが始まり、1989 年には金融先物の取引所 TIFFE も取引を始めました。

取引所の側では、2013 年 1 月に東京証券取引所グループと大阪証券取引所が経営統合して日本取引所グループ(JPX)が発足しました2。2014 年 3 月には、東京証券取引所の上場デリバティブの市場が大阪取引所に統合されました3。2020 年 7 月には、貴金属、ゴム、農産物の先物・オプションが東京商品取引所から大阪取引所に移りました4。

背景

江戸時代の大坂の堂島米市場は、世界の組織的な先物取引所の先駆けとして知られます5。大阪堂島米穀取引所は、1939 年(昭和 14 年)の米穀配給統制法で廃止されました5。

JPX の「商品の歴史」の表は、堂島の時代ではなく、1985 年の東京証券取引所の長期国債先物から始まります1。以下も、1985 年から追います。

経緯

図 1 は、次の表のうち主な日付だけを古い順に並べたものです。

1985 年10 月 19 日東京証券取引所で長期国債先物の取引が始まった1988 年9 月 3 日日経225先物と TOPIX 先物の取引が始まった1989 年TIFFE の設立。日経225オプションなども始まった1990 年5 月 11 日国債先物オプションの取引が始まった2013 年1 月 1 日JPX が発足した2014 年3 月 24 日東京証券取引所のデリバティブ市場を大阪取引所に統合した2020 年7 月 27 日貴金属、ゴム、農産物の先物・オプションを大阪取引所に移管した
図 1日本の取引所のデリバティブの主な日付
図の説明

出来事は、先物とオプションの取引が始まった時期と、取引所が統合された時期の 2 つにまとまっています。塗りの丸は、国債先物と株価指数先物の取引開始、JPX の発足、貴金属などの移管の 4 つです。2 つの時期の間は長く空いていますが、図では詰めて描いています。

年月日 出来事
1985 年 10 月 19 日 東京証券取引所で長期国債先物の取引開始16
1988 年 9 月 3 日 日経225先物(大阪証券取引所)と TOPIX 先物(東京証券取引所)の取引開始1
1989 年 4 月、6 月 TIFFE の設立、金利先物と通貨先物の取引開始7
1989 年 6 月 12 日、10 月 20 日 日経225オプション、TOPIX オプションの取引開始1
1990 年 5 月 11 日 国債先物オプションの取引開始1
2013 年 1 月 1 日 JPX の発足3
2014 年 3 月 24 日 東京証券取引所のデリバティブ市場を大阪取引所に統合3
2020 年 7 月 27 日 貴金属、ゴム、農産物の先物・オプションを大阪取引所に移管。JSCC と日本商品清算機構の合併48

日経225の実績

大阪証券取引所の沿革によると、日経225先物は 1990 年に、取引代金ベースでシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の S&P500 先物を抜いて世界一になりました。1991 年には、日経225オプションがシカゴ・オプション取引所(CBOE)の S&P100 オプションを抜き、先物とともに世界一になりました9。

TIFFE の設立の前後

金融先物の取引所は、法律の整備とともに生まれました。TIFFE の設立の前の 1989 年 3 月に、金融先物取引法が施行されました。6 月に始まったのは、日本円短期金利先物、米ドル短期金利先物、日本円・米ドル通貨先物です。TIFFE は、2007 年 9 月に商号を東京金融取引所に変えました7。

商号の変更、清算機関の統合、総合取引所

2014 年 3 月 24 日の統合では、大阪証券取引所が大阪取引所に商号を変更しました3。

2020 年 7 月 27 日に、清算機関の JSCC が日本商品清算機構と合併しました8。合併後の JSCC は、大阪取引所、東京商品取引所、大阪堂島商品取引所の上場商品デリバティブの清算業務を始めました8。JPX は、この日のお知らせで、総合取引所として本格的に始動したと述べています4。

その後に変わったこと

2014 年の東京証券取引所のデリバティブ市場の統合を経て、東京証券取引所で始まった TOPIX 先物、TOPIX オプション、国債先物は、今は日経225先物と同じ大阪取引所の上場商品です10。1988 年に別々の取引所で始まった日経225先物と TOPIX 先物が、同じ取引所で取引されるようになりました。

一方、JPX の商品一覧(2026 年 4 月 13 日更新)では、エネルギーの先物は東京商品取引所の商品に分類されています10。2020 年 7 月 27 日の移管で移ったのは、貴金属、ゴム、農産物です。

店頭デリバティブの規制は日本のデリバティブ規制の全体像で扱います。

注

  1. 日本取引所グループ「商品の歴史」(2026 年 4 月 13 日更新)の表の 1985 年 10 月 19 日、1988 年 9 月 3 日、1989 年 6 月 12 日と 10 月 20 日、1990 年 5 月 11 日の行。表は、大阪取引所(旧大阪証券取引所)と東京証券取引所の列に分かれている。 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6

  2. 日本取引所グループ「事業紹介」の「日本取引所グループとは」(東京証券取引所グループと大阪証券取引所が 2013 年 1 月に経営統合して誕生)。 ↩

  3. 日本取引所グループ「沿革」(日本取引所グループ、2024 年 7 月 29 日更新)の 2013 年 1 月 1 日、2014 年 3 月 24 日の行。 ↩ ↩2 ↩3 ↩4

  4. 日本取引所グループ「貴金属先物等の市場移管及び清算機関の統合の完了について」(2020 年 7 月 27 日)。 ↩ ↩2 ↩3

  5. 日本取引所グループ「堂島米市場」の本文と年表。世界の組織的な先物取引所の先駆けとして知られるという説明と、昭和 14 年(1939)の米穀配給統制法による大阪堂島米穀取引所の廃止の記述。 ↩ ↩2

  6. 日本取引所グループ「沿革」(東京証券取引所、日本取引所グループ発足以前)の 1985 年 10 月 19 日(国債先物市場の開設)の行。 ↩

  7. 東京金融取引所「取引所のあゆみ」の 1989 年 3 月、4 月、6 月、2007 年 9 月の行。 ↩ ↩2

  8. 日本証券クリアリング機構「JSCCとは」の「沿革」の 2020 年 7 月の行と、冒頭の 2020 年 7 月 27 日の合併の説明。 ↩ ↩2 ↩3

  9. 日本取引所グループ「沿革」(大阪取引所、会員組織時代、2015 年 3 月 20 日更新)の 1990 年、1991 年の行。 ↩

  10. 日本取引所グループ「商品一覧」(先物・オプション、2026 年 4 月 13 日更新)の大阪取引所の表の「国内株価指数」と「国債証券」、東京商品取引所の表の「エネルギー」。 ↩ ↩2