オーストラリアで店頭デリバティブを扱う金融機関では、取引情報の報告、清算、証拠金の授受の各業務が、別々の当局の規則から来ます。3 つの義務を全員が負うわけではありません。
何を求める規制か
オーストラリアの店頭デリバティブ規制は、3 つの規則の集まりです。1 つ目は、デリバティブ取引の情報を、免許を受けた取引情報蓄積機関に報告させる規則です。2 つ目は、大きな金融機関に、一部の金利デリバティブを中央清算させる規則です。3 つ目は、清算されない取引で、変動証拠金と当初証拠金を交換させる健全性基準です。
最初の 2 つは、ASICが作り、執行します1。3 つ目は、APRAが、銀行、保険会社、退職年金基金の受託者などの金融機関に課します2。同じ店頭デリバティブでも、報告と清算を ASIC が、証拠金を APRA が所管するのが、オーストラリアの特徴です。
5 法域の実施状況と、会社法の条の概要は、アジア・オセアニアのデリバティブ規制の全体像で扱います。
根拠と所管
報告と清算の根拠は、会社法 2001(Corporations Act 2001)の第 7.5A 部「デリバティブ取引とデリバティブの取引情報蓄積機関の規制」です。ASIC は、デリバティブ取引規則を作る権限と、規則を執行する責任を持ちます。大臣は、報告、清算、取引基盤での取引の義務をかけられるデリバティブの種類を決めます。会社法の施行規則は規則の適用を限ることができ、ASIC は人、施設、取引を規定の適用から免除できます3。
| 内容 | 規則や基準 | 所管 |
|---|---|---|
| 取引情報の報告 | ASIC デリバティブ取引規則(報告)2024(ASIC Derivative Transaction Rules (Reporting) 2024)4 | ASIC |
| 中央清算 | ASIC デリバティブ取引規則(清算)2026(ASIC Derivative Transaction Rules (Clearing) 2026)5 | ASIC |
| 取引情報蓄積機関の免許と運営 | ASIC デリバティブ取引情報蓄積機関規則 2023(ASIC Derivative Trade Repository Rules 2023)6 | ASIC |
| 対象にするデリバティブの種類 | 法人(デリバティブ)決定 2023(Corporations (Derivatives) Determination 2023)。大臣の決定 | 大臣 |
| 清算されない取引の証拠金とリスク軽減 | 健全性基準 CPS 226(Prudential Standard CPS 226) | APRA |
規則や決定の名称の日本語は訳で、正式なのは英語の原文の名称です。
当局は 2 つです。ASIC は、報告義務、清算義務、取引情報蓄積機関の免許を持ちます。APRA は、CPS 226 を銀行法、保険法、生命保険法、退職年金法に基づいて定めています7。
報告された情報を受け付ける機関には、会社法に基づく免許が必要です。2026 年 10 月に ASIC が公表している免許を受けた機関は、DTCC Data Repository (Singapore) Pte Ltd と KOR Reporting Inc. です。免許や運営の規則は、ASIC の取引情報蓄積機関規則にあります6。
CPS 226 の条文は、2026 年 10 月 6 日時点で公開されている版(2023 年 1 月 1 日施行)を確かめました。
対象になる取引と者
報告の義務を負う者と取引
報告の義務は、規則が定める報告義務者にかかります。報告義務者と取引は、次のとおりです8。
| 報告義務者 | 報告する取引 |
|---|---|
| オーストラリアの預金取扱金融機関(ADI)、金融サービスのライセンス(AFS ライセンス)を持つ者、清算・決済施設のライセンスを持つ者 | 当事者である、すべてのデリバティブ取引 |
| 外国会社で、清算・決済施設のライセンスを持つ者 | オーストラリアの者との取引 |
| 外国会社で、オーストラリアに支店のある外国の ADI、AFS ライセンスを持つ者、免除された外国のライセンスを持つ者 | オーストラリアにいるリテール顧客との取引、支店の損益に計上される取引、ネクサス・デリバティブ |
ネクサス・デリバティブは、報告義務者が当事者であり、外国の者のオーストラリアにいる人員が、価格の決定、気配の提示、組成、申込みと承諾、リスクの管理のどれかに関わる店頭デリバティブです。ガイドは、販売担当者やトレーダーが担う機能を捉える基準で、管理、相手方のリスク、事務、財務、資金繰りの部署の機能は含めないとしています9。
報告の対象にするデリバティブの種類は、大臣の決定が定めます。2026 年 4 月の時点では、電力以外のコモディティ、クレジット、株式、外国為替、金利の 5 つの資産クラスです10。同じ法人内の取引は報告しません。同じ企業集団の関係会社との取引でも、国内の帳簿の報告の水準で連結されない関係会社との取引は報告の対象です11。
総額の小さい運用側には、緩和があります。責任者、受託者、APRA が規制する保険会社などで、マーケットメイクをしない者が、中央清算されていないデリバティブの想定元本の総額を 120 億豪ドル以下に保つと、小規模な運用側の者として扱われます。四半期末に測り、直前の 2 回の四半期末がどちらも 120 億豪ドル以下なら、翌日から小規模です12。
緩和の内容は、次の 3 つです。
清算の義務を負う者と取引
この節の閾値、対象の表、例外、条の番号は、ASIC の意見募集の草案(2025 年 10 月)によるもので、成立後の規則では変わりうるものです。
草案では、清算の義務を負う者は、清算の閾値を満たした金融機関と、自分から義務を負うことを選んだ者です。金融機関は、オーストラリアの ADI、金融サービスのライセンスを持つ者、免除された外国のライセンスを持つ者です。閾値は、総額の想定元本が 1,000 億豪ドル以上である状態が、2 回続けて四半期末に確かめられることです。たとえば 2026 年 9 月 30 日と 12 月 31 日にどちらも 1,000 億豪ドル以上なら、2027 年 4 月 5 日から義務を負います。閾値を下回った場合の終わり方も定められています13。
2026 年の清算の規則は、2015 年の規則に代わります。ASIC の位置づけでは、変更は軽微で、既存の義務は変わりません14。
清算の対象は、一定の条件を満たす金利デリバティブです。ASIC の説明では、豪ドル、米ドル、ユーロ、英ポンド、日本円の金利デリバティブが対象です5。次の表は、草案の条件です15。
| 種類 | 通貨と指標 | 期間 |
|---|---|---|
| ベーシス・スワップ、固定対変動のスワップ | ユーロ(EURIBOR) | 28 日から 50 年 |
| 同上 | 豪ドル(BBSW) | 28 日から 30 年 |
| 金利先渡契約(FRA) | ユーロ(EURIBOR) | 3 日から 3 年 |
| オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS) | 米ドル(FedFunds) | 7 日から 2 年 |
| 同上 | ユーロ(€STR) | 7 日から 3 年 |
| 同上 | 英ポンド(SONIA) | 7 日から 50 年 |
| 同上 | 豪ドル(IBOC) | 7 日から 2 年 |
| 同上 | 日本円(TONA) | 7 日から 30 年 |
| 同上 | 米ドル(SOFR) | 7 日から 50 年 |
オプション性のある取引、元本の通貨が複数の取引、条件つきで元本が変わる取引は、清算の対象から外れます15。
証拠金の義務を負う者と取引
CPS 226 は、APRA の監督する金融機関(APRA covered entity)に適用されます。ADI(外国の ADI を含む)、損害保険会社、生命保険会社、退職年金(RSE)のライセンスを受けた者などです。適用されるのは、その者の帳簿に載る取引で、外国の ADI などは、オーストラリアの支店の帳簿の取引に限られます2。
相手方は、金融機関である者(covered counterparty)です。国、中央銀行、国際開発金融機関、公的機関、国際決済銀行は除かれます。ヘッジだけのためにデリバティブを使う、カバード・ボンドや証券化の特別目的事業体も除かれます16。
さらに、自分と相手方が属する「証拠金グループ」の、中央清算されないデリバティブの想定元本の月末平均が、それぞれ水準を超えている必要があります。変動証拠金の水準は 30 億豪ドル、当初証拠金の水準は、2022 年 9 月 1 日から始まる期間以降、毎年 120 億豪ドルです17。当初証拠金の水準は、次のように段階的に下がってきました。
| 参照期間(3、4、5 月) | 水準 | 適用期間 |
|---|---|---|
| 2016 年 | 4.5 兆豪ドル | 2017 年 3 月 1 日から 2017 年 8 月 31 日 |
| 2017 年 | 3.375 兆豪ドル | 2017 年 9 月 1 日から 2018 年 8 月 31 日 |
| 2018 年 | 2.25 兆豪ドル | 2018 年 9 月 1 日から 2019 年 8 月 31 日 |
| 2019 年 | 1.125 兆豪ドル | 2019 年 9 月 1 日から 2021 年 8 月 31 日 |
| 2021 年 | 750 億豪ドル | 2021 年 9 月 1 日から 2022 年 8 月 31 日 |
| 2022 年以降の各年 | 120 億豪ドル | その年の 9 月 1 日から翌年の 8 月 31 日 |
これは、CPS 226 の表 2 の記載のとおりです17。物理的に決済される外国為替のフォワードとスワップは、水準の計算には含めますが、交換する証拠金の計算からは除けます18。新しい取引だけが対象で、契約の本来の修正や、グランドファザーされた取引のノベーションは新規にあたりません19。
次の図は、ここまでの条件のうち、証拠金の義務の入口にあたる 4 つの質問を順に並べたものです。
図の説明
CPS 226 の証拠金の義務の入口を、4 つの質問で順に確かめる図です。質問 1、3、4 は「いいえ」で、質問 2 は「はい」で、この図の条件では対象に挙がりません。これらの質問で外れなければ、CPS 226 の対象になりえます。外国為替のフォワードとスワップの扱い18や代替遵守など、図にない条件もあり、結論はこれらにも左右されます。
図の質問を順に補足します。
1 つ目は、取引が APRA の監督する金融機関の帳簿に載る取引かを見ます2。
2 つ目は、相手方が、国、中央銀行、国際開発金融機関、公的機関、国際決済銀行、カバード・ボンドや証券化のうち、ヘッジだけのためにデリバティブを使う特別目的事業体といった、除外される者か、金融機関でない者かを見ます216。
3 つ目は、自分と相手方の証拠金グループの、中央清算されないデリバティブの想定元本の月末平均が、それぞれの水準を超えているかを見ます。水準は、変動証拠金が 30 億豪ドル、当初証拠金が 120 億豪ドルで、図では 1 つにまとめていますが、実際には別に見ます17。
4 つ目は、新規の取引かどうかを見ます。契約の本来の修正や、グランドファザーされた取引のノベーションは新しい取引にあたりません19。
図の質問に当てはめる 2 つの架空の例で考えます。
| 例 | 条件 | 結論 |
|---|---|---|
| 1 | 帳簿に載る新しい取引(相手方は除外されない金融機関、月末平均の想定元本は 40 億と 50 億豪ドル) | 変動証拠金は当てはまりうる。当初証拠金は挙がらない |
| 2 | 例 1 の条件のうち、相手方だけが中央銀行 | 2 つ目の質問で外れ、対象に挙がらない |
例 1 は、4 つの質問で外れません(質問 2 は「いいえ」)。変動証拠金の水準(30 億豪ドル)はどちらも超えるため、変動証拠金の要件が当てはまりうる条件です。当初証拠金の水準(120 億豪ドル)はどちらも超えないため、当初証拠金は、この条件では挙がりません。
例 2 では、中央銀行は相手方から除かれるため、この図の条件では、証拠金の対象に挙がりません。
求められること
報告
ASIC のデリバティブ取引規則(報告)2024 は、報告義務者に、取引と、ポジションの情報を、取引情報蓄積機関へ報告することを求めます4。条件と結論は次のとおりです。
- 報告義務者の取引が報告の対象なら、ライフサイクルの報告(その日に起きた報告対象の取引ごとの情報)が必要です。ただし、小規模な運用側の者は、株式デリバティブ以外では、スナップショット(その日の取引の条件)の報告でも足ります20。
- 取引の識別には、UTI(取引識別子)が要ります。新しい取引やポジションを報告するときは、新しい UTI を作って報告します。変更や終了は、元の取引の識別子で報告します21。
- 報告の期限は、通常 T+2(営業日)です。以前の T+1 から延ばされました。パッケージ取引(外国為替スワップを除く)は T+4 です22。
- 報告は、ISO 20022 のメッセージの XML タグを使って、取引情報蓄積機関に出します。取引と評価の報告のメッセージは auth.030.001.04(DerivativesTradeReportV04)です。担保の報告は auth.108.001.02(DerivativesTradeMarginDataReportV02)です23。
- 報告を第三者に任せることもできます。相手方、清算機関、サービス提供者などを指名できますが、報告義務者は、報告の完全性、正確性、最新性に責任を負い続けます24。
報告の規則の改正は、条文の比較表で公表されています。ASIC のページは、2025 年 10 月 20 日の時点で改正された版と、2024 年 10 月 21 日の版を並べた比較を載せています4。規制ガイドは、2025 年 10 月 20 日から、新しい取引について、UTI の代わりの報告の定めが除かれたと書いています21。
清算
草案では、清算の義務を負う者は、清算の対象の取引を、結んだ後、合理的に可能な限り早く、清算施設で清算します。清算は、清算施設の運営者が、ノベーションで当事者の相手方になり、元の当事者の間の権利義務がなくなるか、ほとんどなくなる形で行います25。
清算の義務がかからない場合は、次の例外です。
- 清算の対象の取引が、清算すべき時までに終了した場合
- 対象の取引を清算するライセンスを受けた施設も、指定された施設もない場合
- 同じ企業集団の関係会社との取引
- 複数当事者の圧縮や、取引後のリスク削減の取組みの結果として結ぶ取引(一定の条件つき)
- 外国の制度で、取引から 3 営業日以内に清算することを求められ、その外国の制度の期限までに清算する場合
取引後のリスク削減の取組みへの例外は、2015 年の規則では、複数当事者の圧縮に限られていましたが、2026 年の規則ですべての取引後のリスク削減に広がりました14。
草案では、清算の義務を負うことになった金融機関は、清算の開始日と終了日を ASIC へ通知します26。ASIC のページには、通知を受けた機関の一覧があります5。
証拠金とリスク軽減
CPS 226 は、変動証拠金と当初証拠金の両方を定めます。
| 項目 | 変動証拠金 | 当初証拠金 |
|---|---|---|
| 交換の頻度 | 毎日算出して請求し、速やかに決済する | 取引の開始時と、潜在的な将来のエクスポージャーが変わったときなど、定期的かつ一貫して算出して請求する |
| 閾値 | ゼロ(時価の全額を担保する) | 証拠金グループごとに、7,500 万豪ドル以下 |
| 授受の形 | 交換 | 総額(グロス)で、両者が差し入れて受け取る |
| 紛争のとき | 争いのない額は交換する | 争いのない額は授受する |
| どの取引を 1 つの額にまとめるか、担保の扱い | 同じ法的に有効なネッティング契約の取引だけをまとめる | 再担保、再質入れ、再利用をせず、受け取る側の自己の資産から分けて保管する |
この表は CPS 226 の定めです27。当初証拠金の現金は、どちらとも関係のない第三者の保管者の要求払預金口座に置けます。変動証拠金と当初証拠金を合わせた額には、少額の移転を省く最低移転額を設けます。その額は 75 万豪ドルを超えてはなりません28。
当初証拠金の額は、APRA が承認したモデル、または標準表のどちらかで計算します29。相手方が証拠金の義務の対象かどうかは、相当な注意を払って確かめます。相手方の自己申告や公表の資料でも、確かめる方法として認められます30。
証拠金のほかに、CPS 226 は、リスク軽減の運用も定めます。取引関係の書面、取引の確認、ポートフォリオの照合、ポートフォリオ圧縮、評価の手続、紛争の解決です。取引の確認は、できるだけ早く行い、書き換えや消去ができない自動の方法で書面にするのが原則とされます31。
施行と改正
| 日付 | 出来事 | 出典 |
|---|---|---|
| 2012 年 | 会社法に第 7.5A 部が入る | 3 |
| 2013 年 7 月 10 日 | 報告の規則(2013 年版)が始まる。取引情報蓄積機関の規則(2013 年版)も同じ日から | 46 |
| 2022 年 12 月 21 日 | 報告の規則(2022 年版)が始まる | 4 |
| 2023 年 1 月 1 日 | 今の CPS 226 が始まる(2022 年 12 月 1 日付の決定) | 7 |
| 2023 年 10 月 1 日 | 取引情報蓄積機関の規則(2013 年版)の期間が終わる。今は 2023 年版 | 6 |
| 2024 年 10 月 21 日 | 報告の規則(2024 年版)で、国際標準に合わせた報告が始まる | 32 |
| 2025 年 10 月 20 日 | 報告の規則(2024 年版)が改正され、新しい取引に UTI の規定が適用される | 421 |
| 2026 年 3 月 16 日 | 清算の規則(2026 年版)が定められる | 33 |
| 2026 年 3 月 17 日 | 連邦の法令登録簿に登録される | 33 |
報告の規則(2024 年版)は、2022 年版の期間が 2024 年 10 月 20 日までで、2024 年版は 2024 年 10 月 21 日からとされています432。
清算の規則(2026 年版)は、2015 年の規則に代わります。2026 年 4 月の ASIC の公表は、新しい規則が適用されると書いています14。意見募集の草案では、施行は「登録の翌日と 2026 年 4 月 1 日のうち遅い日」です13。
証拠金の代替遵守
CPS 226 は、BCBS と IOSCO が定めた清算されないデリバティブの証拠金規制(2019 年 7 月 23 日時点)を「BCBS-IOSCO の枠組み」として定義に置きます。Attachment D は、その枠組みと CPS 226 に成果が比較できる外国の規制を挙げます34。
APRA が挙げた外国の証拠金の規制を全体として(in their entirety)守り、所定の条件を満たす取引には、CPS 226 の証拠金の要件は適用されません。これが「代替遵守」です。リスク軽減の要件は別です。
挙げられている当局は、カナダ、欧州委員会、香港金融管理局、日本の金融庁・農林水産省・経済産業省、シンガポール金融管理局、スイス、英国の FCA と PRA、米国の CFTC と連邦の銀行当局などです。カナダから英国の PRA までの当局の規制については、同じ証拠金グループの者の間の取引には代替遵守を使えません。この条件は、米国の当局の規制には、資料では、かかるとされていません35。
実務への影響
ADI である W 銀行の架空の例で考えます。W 銀行は、ADI として報告義務者に当たり、当事者であるすべてのデリバティブ取引を報告します。CPS 226 の APRA の監督する金融機関でもあります。
証拠金は、「証拠金の義務を負う者と取引」の条件を満たす取引で交換します。W 銀行の帳簿に載る新しい取引で、相手方が除外されない金融機関であり、W 銀行と相手方の証拠金グループがどちらもそれぞれの水準を超えるときです。
清算の義務は、草案の枠組みでは、清算の閾値を満たしたときだけです。閾値に届かなければ、自分から選ばない限り、義務はありません。届けば、草案の枠組みでは、対象の金利スワップの清算の義務を負います。
この記事が書いていないこと
清算と報告の閾値や期限の国別の比較と、清算の規則(2026 年版)の適用の開始日の確定は、この記事では扱いません。
注
-
ASIC "OTC derivatives" の冒頭の段落。ASIC が、報告と清算の義務を定めるデリバティブ取引規則を作り、執行する責任を持つとしています。 ↩
-
APRA "Prudential Standard CPS 226" の "Application" の第 2 項、第 3 項、第 5 項。Prudential Handbook の版(2022 年 12 月 1 日付の決定、2023 年 1 月 1 日施行)。 ↩ ↩2 ↩3 ↩4
-
ASIC "Regulatory Guide 251"(2026 年 4 月)の RG 251.7 から RG 251.11。第 7.5A 部は 2012 年に導入。権限は第 901A 条、大臣の決定は第 901B 条、制限は第 901C・901D 条、免除は第 907D 条。 ↩ ↩2
-
ASIC "Derivative transaction reporting" のページ。2024 年規則、2013 年と 2022 年の規則の期間、大臣の決定、施行規則第 7.5A.70 条から第 7.5A.74 条の小規模な者の免除、改正の比較表。 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7
-
ASIC "Central clearing of OTC derivatives" のページ。清算の規則の名称、対象の通貨(豪ドル、米ドル、ユーロ、英ポンド、日本円)、清算の義務を負う金融機関の通知の一覧。 ↩ ↩2 ↩3
-
ASIC "Derivative trade repositories" のページ。免許の要件、取引情報蓄積機関規則 2023、免許を受けた 2 機関、2013 年規則の期間(2013 年 7 月 10 日から 2023 年 10 月 1 日)、指定された機関が現在ないこと。 ↩ ↩2 ↩3 ↩4
-
APRA "Prudential Standard CPS 226" の前文(2022 年 12 月 1 日付の決定 No. 2、2023 年 1 月 1 日施行)と "Authority" の項。 ↩ ↩2
-
RG 251.59 から RG 251.63。規則第 1.2.5 条が報告義務者を定めます。RG 251.64 は、デリバティブの種類を扱うライセンスを持たない AFS ライセンス保有者と、代理清算で清算参加者と顧客が共に清算機関の当事者である場合の清算参加者を除きます。 ↩
-
RG 251.65 と RG 251.66。ネクサス・デリバティブの定義は規則第 1.2.3 条。 ↩
-
RG 251.40 と RG 251.41。大臣の決定が定める資産クラスは、電力以外のコモディティ、クレジット、株式、外国為替、金利。 ↩
-
RG 251.58。連結されない関係会社との取引は報告の対象、同じ法人内の取引は対象外。 ↩
-
RG 251.68 から RG 251.71。小規模な運用側の者(small-scale buy-side entity)の定義は規則第 1.2.3 条。想定元本は、中央清算されないデリバティブの総額(gross notional outstanding)で、A$12 billion 以下。 ↩
-
ASIC "Attachment 1 to CS 33 Draft ASIC Derivative Transaction Rules (Clearing) 2026"(2025 年 10 月)の第 1.1.2 条、第 1.1.5 条、第 1.2.4 条、第 1.2.7 条。意見募集の草案。 ↩ ↩2
-
ASIC "Market Integrity Update, Issue 176 – April 2026" の "Updates to OTC derivative clearing and reporting rules"。2026 年規則が 2015 年規則に代わること、変更は軽微なこと、例外の拡大。 ↩ ↩2 ↩3
-
草案の第 1.2.3 条。ベーシス・スワップと固定対変動のスワップ、金利先渡契約、OIS の各表。第 1.2.3 条第 6 項が、オプション性、通貨が複数の取引、条件つきの元本の除外を定めます。 ↩ ↩2
-
CPS 226 の第 13 条から第 14 条と表 1(変動証拠金。水準は各期とも A$3 billion)、第 19 条から第 20 条と表 2(当初証拠金)。Prudential Handbook の版。 ↩ ↩2 ↩3
-
RG 251.55 から RG 251.57。規則第 2.2.8 条。 ↩
-
RG 251.132。通常の期限が T+1 から T+2 に延ばされ、パッケージ取引(外国為替スワップを除く)が T+4。 ↩
-
ASIC "Derivative transaction reporting" の "ISO 20022" の節。規則第 2.2.4 条が、第 S1.3 部の項目を含む ISO 20022 のメッセージ定義の XML タグを使う報告を求めます。 ↩
-
RG 251.72 と RG 251.73。規則第 2.2.7 条が報告の委任を、第 2.2.6 条が責任を定める。 ↩
-
草案の第 2.1.1 条から第 2.1.6 条。第 2.1.1 条が清算の義務、第 2.1.2 条から第 2.1.6 条が例外。 ↩
-
草案の第 3.1.1 条。清算の開始日と終了日の通知。 ↩
-
CPS 226 の第 16 条から第 18 条(変動証拠金)、第 22 条から第 29 条(当初証拠金)。 ↩
-
CPS 226 の第 30 条。変動証拠金と当初証拠金を合わせた額の最低移転額は A$750,000 を超えてはならない。 ↩
-
CPS 226 の第 32 条。APRA が承認したモデル、または Attachment A の標準表。 ↩
-
CPS 226 の第 73 条から第 95 条(リスク軽減)。取引の確認は第 78 条から第 80 条、照合は第 81 条から第 83 条、圧縮は第 84 条から第 86 条、紛争の解決は第 91 条から第 95 条。 ↩
-
RG 251.6。報告の制度は 2013 年からあり、国際標準を採り入れた更新後の報告は 2024 年 10 月 21 日に始まりました。 ↩ ↩2
-
Federal Register of Legislation の "ASIC Derivative Transaction Rules (Clearing) 2026"(F2026L00262)の登録簿の記録。作成日 2026 年 3 月 16 日、登録 2026 年 3 月 17 日。 ↩ ↩2
-
CPS 226 の定義("BCBS-IOSCO framework")。 ↩
-
CPS 226 の第 64 条から第 66 条と Attachment D。条件は第 66 条。第 1 項 (a) から (j) の規制には、同じ証拠金グループの者の間の取引に使えないという条件がかかる(第 2 項)。米国の当局の規制には書かれていません。 ↩
-
RG 251.153 から RG 251.160。AFS ライセンス保有者の重大な違反の通知は RG 78 による。第 901E 条の違反が民事罰の規定の違反であることだけでは、重大とみなされません(施行規則 7.6.02A)。 ↩